第152話 インタビュー・ウィズ・ネトラレブレイカー!
突然やって来たのは放送部の面々である!
どうやら放送部、合宿中はラジオ番組みたいなのをずっとやっているらしい。
俺達はNTRをブレイクすることで忙しく、全く聞けていないが……。
「ということで! 応援団の皆さんを取材に来ましたあー! あと、謎のマスクマンは応援団員だという確かな情報があったからね」
応援団を率いる美少女、黄瀬翔子がにやりと笑うのだった。
この女、一筋縄ではいかなそうだな……!!
軽く室内を見たあと、俺に注目している。
「君が応援団長の城之内雪之丞くん? ジョジョって呼ばれてるんだよね」
「な、なぜそれを! 俺の情報を調べたのか……!?」
「有名だもん! 君があちこちで大暴れしてるって、色々な部活のグループチャットで評判だよ?」
な、なんだってー!!
俺は隠密行動をしていたはず。
それがどうしてバレてしまっているんだ!
「……というカマかけをしたんだけど……。なーるほど。君があの覆面くんなわけだ」
「さっ、策士!!」
まんまとこの女の策に乗ってしまった!!
黄瀬は放送部を率いて応援団に入ってくると、ちょっとお茶を取りに席を外していた青菅の椅子……俺の隣にどっかりと座った。
「あーっ、あたしの席~!!」
「ということで~! 本日は予定を変更して、巷を騒がせる謎の覆面くんにインタビューっていう形式でどうかなあ?」
放送部の面々が、いいと思いまーす!とか抜かす。
いいわけがあるかー!
「俺の正体が割れてしまえば、間男を相手取るために余計な手間暇がかかる可能性があるんだ。隠密行動をしているんだからな……」
これを聞いて、ちょっと笑っていた黄瀬。
俺がずっと真顔なのを見て、笑みが消えた。
「……マジ?」
「俺は常に本気だ」
「ヒェー」
なんだその悲鳴は!
「そう言えば、あの覆面の男が暴れて誰かが消えたあと、そこは平和になっているって聞いてるんだよね。テニス部は今年からOBが来ての無茶な宴会は無くなったっぽいし。女子バレー部もなんだか昨日よりも調子が良さそう」
「耳が早いな」
合宿二日目で、三人の間男を倒した俺だが。
その痕跡を辿って二日目の夕方にはここを訪れた黄瀬。
三猿に匹敵する情報収集能力を持つ女だと考えていいだろう。
「では謎の覆面くんに質問です」
「なに!? むっ! 既に配信が始まっている!!」
俺は愕然とした。
映像を入れるのは待ってくれているようだ。
仕方あるまい。
俺は腹を決め、覆面を被った。
「ネトラレブレイカーだ!! 俺のことはそう呼ぶがいい」
「オーケー、ネトラレブレイカー。インタビューいいかしら?」
「もちろんだ黄瀬翔子」
戦闘モードの俺は、声色から違う。
俺と黄瀬の間に、妙な緊張感が漂う。
「な、なに、この空気……!」
青菅が戸惑っている。
赤佐なんか自分の口を精一杯抑えて、声が出ないように頑張っているではないか。
多分そこまで気遣いしなくていいぞ。
「あなたは合宿以前にも、入田先生や清居先生失踪事件に関与していると噂されています。これは本当?」
「真実だ。奴らは間男であり、女性をNTRすることで世界に不安と混乱を振りまく邪悪な存在だった。故に俺が正面対決により爆砕した」
爆砕宣言にざわつく放送部!
「なるほど……。でもそれは法に触れることだとは思わなかった? 悪を成した人であっても、私刑は禁じられているわよ」
「相手が人間であればだ。奴ら間男は、使徒と呼ばれる人知を超越した化け物たちだ。これを罰することができる法は存在しない」
「ええっ……!? そんなバカな……」
「では、失踪した奴らは死体が発見されたか? 人間は耐久力を超える技を仕掛けられたとき、死体を残さず爆発するか? 少なくとも、テニス部OBであるシャチの坂又の爆発は多くの連中が見ていたはずだ」
「……先回りをされたわね。確かに、私の取材ではあなた……ネトラレブレイカーが坂又氏と交戦。ここからはとても信じられないのだけれど、畳を割って地中に潜った坂又氏と、それを追いかけたあなたが最終的に空中で戦い、一撃を受けた坂又氏が爆発したという証言が複数人から得られたわ」
「何人かは意識があったようだな」
「いいえ、テニス部のほぼ全員があの戦いを見ていたの。そして彼らはあなたを庇ったわ。ねえネトラレブレイカー、あなたは一体何者なの? 何が目的で、この学園で戦っているのかしら」
「知れたことだ」
俺が笑う番だった。
「俺の名はネトラレブレイカー! それ以上でも、それ以下でもない。間男どもは震えて眠るがいい。俺が貴様らを爆砕するため、いつか現れるだろうからな!」
「ありがとうございました。これでインタビューは終わりです。皆さん、いかがだったでしょうか? 学園に突如現れた覆面の男ネトラレブレイカー……! 彼への独占インタビューでした。真夏の夕刻、少しは背筋が寒くなる怪談になったかしら? では、いただいたメッセージを読むのは今夜の配信! みんな、お楽しみにね」
放送が終わったらしい。
最近の放送部は本格的だなあー!
俺は感心してしまった。
まるでアワチューブの配信ではないか。
放送部の人々がフーっと息を吐き、機材を片付け始めた。
これで本当に終わりか。
俺はレコーダー機能などが動いていないのを確認した後、マスクを脱いだ。
そうすると、黄瀬が満面の笑顔で握手を求めてくるではないか。
「ご協力ありがとうー! ほんっと、最高だった! 刺激的な配信になったと思うわ! ネトラレブレイカーねえ。ふんふん! 最近学園で起きてる怪奇現象に名付けるネーミングとしては、ばっちりじゃないかな。いいと思う!」
俺も握手に応じた。
彼女もかなり頭を使って喋っていたらしく、手のひらには汗がにじんでいた。
ナイスファイト!
「ああ、それから。俺に関して言及したということは、あんたにも間男の魔手が伸びる可能性がある。その様子だと、今は大丈夫なようだが……。何かあったら、このQRコードに連絡してくれ」
「ご心配ありがとう。大丈夫だと思うけどね」
にこにこしながら、QRコードを読み込む黄瀬なのだった。
これで、いつでも俺直通のヘルプを出せるぞ。
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