第151話 嵐のような二日目の終わり
キカザルを外に運び出し、予備プールに漬けたのだった。
俺もパンツ一丁になりドボン!
これを見たオカ研女子たちが、「殿方があられもない姿に~!!」ときゃいきゃい騒いでいた。
三人とも免疫が無かったらしい。
すまんかったな!
とりあえず、プールの水はサウナ帰りには素晴らしい水風呂であった。
ぬるま湯くらいなのかも知れないが、十分に体が冷めた!
「キカザル、大丈夫か?」
「あ、ああ……! ジョジョ、あんたの活躍は見てたぜ! あんな恐ろしい化物相手にも真っ向から勝つ……! やっぱあんたはナンバーワンだ!」
「ああ。だが今回は危なかった。キカザル、お前のハンカチがあったからこそ掴み取った勝利だ!」
「ジョジョ!」
「キカザル!!」
プールの中で、がしっとハグをした。
オカ研女子たちには刺激が強かったらしく、三人ともクラクラ倒れている。
いかーん!
倒れたら連れて帰るのが大変だろうが!!
外に出た俺とキカザルで、女子を分担して運んでいくことになった。
俺が黒須とメガネを両脇に抱えてだな……。
「いやあー。女子をおんぶすることになるとは思わなかったぜ……。普通に汗臭い」
「そら、オカ研はオーデコロンとか使ってなさそうだしな。というか、メガネは線香の香りがするし、黒須からは謎の香気が漂っている……」
「うう……、オカルトを呼び寄せると評判の護摩の香りを模したコロンを……」
一応変なオーデコロン使ってたのか!
こうして、パンツ一丁の俺と諸肌脱いだキカザルで、濡れた衣類とオカ研を運ぶ……という妙な姿になってしまったのだった。
途中で、厚木先生と遭遇した。
「うわーっ! お前たち、何と言う格好で何をしているんだ! 不純異性交遊……ではどうみてもないな」
「おわかりいただけましたか」
俺は厚木先生の察しの良さに驚愕した。
「彼女たちは応援団に協力してくれることになった、オカルト研究会です」
「なんと! 新たな協力者が現れたのか! そうかそうか……。お前たちが応援団に入ってきてくれてから、どんどん仲間が増えて、応援団が大きくなっていく……! 私は……私はとても嬉しい!」
感激していらっしゃる。
「彼女たちをこうやって重しにして外を走ることで、我々の心肺機能が鍛えられるわけです。なあキカザル」
「おう、その通りです!! いやー運動になるなあー」
「なるほど……! 全てが応援団としての訓練になっているのか! そうかそうか、無理しないで頑張るんだぞ!」
ニコニコしながら去っていく厚木先生なのだった。
「なあジョジョ。先生ってもしかして節穴……」
「だろうな……。お陰で助かった」
こうして俺たちの宿舎に戻り、今回の進捗についての報告会を行うことになったのだった。
ワイシャツとスラックスがびしょびしょなので、これを天日で乾かす。
その間、俺は応援団長の学ラン姿だ。
「やだ、ジョジョ、硬派でかっこいい」
青菅は何をやっても褒めてくれそうな気がする。
「城之内くんが1日半で、三人の使徒を倒したんだよね。地図を使ってチェックしていくと……」
ここは宿舎にある会議室。
自由に使うことができるが、他の生徒たちと譲り合う必要があるのだ。
幸い、この宿舎にはバレー部しかいない。
みんな夕方まで練習だから、会議室は応援団が独占できるわけだ。
響が広げた地図は、この青少年の家の全図である。
俺達が活動している間に入手してくれたらしい。
「第十六宿舎。ここはテニス部が使っていたから、彼らの第十五宿舎と合わせてクリアでいいと思う。テニスコートもそうだね」
クリア、と書かれた駒をその場に置いていく響。
こんなものも作ってたのか!
「これは私が作りました。フェルト製なんですけど、磁石を入れて重りにしたんですよ」
赤佐お手製だった!
「倒した使徒は、坂又さん。テニス部OBだけど外部者だよね。警察関係者だそうだけど、それは多分関係ないと思う」
赤佐が付箋にシャチのイラストを描いて、地図にペタッと貼った。
「次に、こっちの湖。音取湖だね。女子バレー部の人がここまで連れてこられて、使徒は城之内くんを認識した上で誘い出していた。つまり、ここからは城之内くん狙いになったと見ていいと思う」
バレー部が使っている第二体育館と、音取湖に駒が置かれた。
蛇のイラスト付箋が、湖に貼られる。
「こっちは完全な部外者。学校関係者ですらない。なのに合宿所に入り込めてた」
「そうだな。あいつはなんだったんだろうなあ……」
蛇拳使いの事を思い出す。
最初に戦った螳螂拳使い、府城の完成形のような男だった。
「そしてついさっきが、プールだね。専用プールで、サウナ……? の力を使うプール清掃員との戦い。これもなんと、部外者だよね」
「そうなる。三人とも、学校と直接的に関わる訳では無い存在だ。そいつらが使徒としての力を得てNTR行為を働いていたことになる。……ということはまさか」
「うん。僕が思うに……この合宿所全体が、生徒を生贄にするための儀式場みたいなものなんじゃないかな……!」
「な、な、なんですってーっ」
オカ研が復活!
黒須は鼻息も荒く、地図を覗き込む。
「こ、こ、この全図が……オカルト! 私達は今、オカルトの中にいるんだ……」
まあそのようなものである。
「とにかく、この2日間で城之内くんは合宿所の三割を攻略したことになる。そして僕の予測だと、使徒はあと7人……!!」
「7人!!」
かなりの数である。
その全てが部外者の使徒であると考えると、黒幕にとってこの合宿とは一大イベントなのだろうな。
これは気を抜けん……!
俺が難しい顔をしていると、会議室の扉がガラッと開いた。
「すみませーん! 復活した応援団に、インタビュー! 放送部でーす!」
聞き覚えのある声が……!
振り返ると、そこにはコケティッシュな女子生徒が立っていたのだった。
どこかで見たことがあるような。
そしてこの耳に心地よい声は……。
「黄瀬さんじゃん!」
青菅の声で思い出す。
合宿のしおりを読み上げていた彼女か!!
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