第146話 ネトラレブレイカー湖上の決戦!!
ボートを借りた俺達である。
目指すは湖上にて怪しげに揺れるボート!
男の背中しか見えないということは、女は船底に寝そべる姿勢であるということだ!
「事が始まっているな! それとも、その素振りで俺を誘い込んでいるのか……!!」
「ジョジョが一人でものすごい勢いで漕いでる! パワフル~!!」
「ひぃぃ~! わ、私、ボートに乗るの初めてで怖いんですけどぉ……! 置いていってくれてもよかったのに……!」
「ダメ! 関わった女子を一人きりにしてNTRされる危険があるからな! 俺の近くが最も安全なのだ!」
「ジョ、ジョジョったら情熱的! あたしには全然そんなこと言ってくれないのに!」
「青菅は勝手についてくるだろ」
「だってー!」
「わ、わ、私やっぱり! 明るいうちは屋内に籠もってますぅぅぅぅ」
そんな感じで騒ぎつつ、湖の中央に浮かぶボートに突撃!
ほどほど近づいたところで、突然向こうのボートで、男が上半身を起こした。
むっ、体格のいい蛇皮柄シャツの男が、謎の手つきを……。
あれは蛇拳!!
俺は素早くオールを立てて、防御を行う。
すると、10メートル以上の間合いを無視して男の突きが到達した!
オールが砕け散る!
「ぬうっ!!」
「防いだか、敵対者め!!」
「どうやらまんまと誘い込まれたようだな……」
俺はボートの上に立ち上がる。
向こうもボート上に立った。
袖無しの蛇皮柄シャツに、黒いタイトなパンツルックの男だ。
その姿こそが、ヤツの力の形というわけか。
蛇拳使い!
水上において、あのリーチは脅威!
「なになになに!? もう始まったの!?」
「ひぃ~! ひぃぃぃ~!」
女子たちは伏せていてくれないか!
俺が漕いでいた時の慣性で、ゆっくりと動くボートの上。
蛇拳使いと対峙するのだ。
「見事に引っかかってくれたなあ。まさか昨夜、俺がこいつで楽しんでいる間に坂又を殺すとはな……。最近、我ら使徒が連続で殺されている。何者がやっているのかとあのお方は怪しんでおられた。ただの人間に、俺達が殺されるワケがないからな」
水面を隔てて、およそ7m。
いけるか?
俺は呼吸を整える。
「それで、こいつを使ってお前をおびき寄せたというわけだ。こいつの所属する部活の顧問が、清居のターゲットである女教師だったしな! しかしあの教師、とんでもない体をしているな……! こいつがもうじき完落ちするから、そうなったら次はあいつを狙うとするかな……っと、喋り過ぎたようだ。水上というお前の移動力を奪う舞台。そして俺の蛇拳の射程は20m! この、お前を倒すためだけに用意された場所に、のこのこと現れた時点で……なにぃ!?」
「ようやく気付いたようだな! 俺がじりじりと船を進ませていたことに! 浸透勁を用いた震脚で、船を無視して水面だけを揺らし、前に進んでいたのだ! 既に彼我の距離は3m!!」
「怪しい技を使いやがる!! もはや口上はせんぞ! ジャッ!!」
蛇拳、飛ぶ!
奴の前腕が猛烈な勢いでしなり、伸びて激しい突きとなる!
「ツアーッ!」
俺はこれを柔拳の受け流しで巻き取る!
うおおっ!
合気を纏った受けの中で、蛇拳が暴れる!
「合気か! 面白い! だが! 俺の蛇拳はそのようなものでは捌けんぞ! 所詮は人間相手の小手先の技よ! ジャジャジャジャッ!!」
「ぬうっ、受け流しを連続の突きで無効化したか! これまで爆砕してきた使徒の中では、やる方のようだな」
俺は受け流しの姿勢を変える。
常に腕を揺らしながら、相手の攻撃を待つと見せかけて……。
一瞬だけ隙を作る!
「馬鹿め、隙あり!! ジャッ!!」
「馬鹿は貴様だ!! ツアーッ!!」
あえて作った隙に突きこまれる蛇拳!
そこは俺の狩り場である!
俺の肘が! 膝が!
交差拳が迎え撃つ!
「ウグワーッ!!」
カウンターによる拳破壊!
これを食らって、間男がのけぞった。
慌てて腕を巻き戻している。
なるほど、身動きできぬ水上では厄介な技だ。
身動きができないとすればな!
「お前は柔拳を小手先の技と言ったな? いいだろう。ではお前はこの小手先の技で死ぬがいい! ツアーッ!」
存分に練り上がった気の力で、俺は軽気功を放つ!
それは湖上に立つことすら可能にするのだ!
「なっ、なにぃーっ!? 水面に立つだと!? できの悪いフィクションの忍者じゃないんだぞ!!」
「いかにも! これは気の応用!」
ゆっくりと、水面を歩きながら蛇拳使いのボートの周りをぐるりと巡る。
「どうやら閉じ込められたのは、お前の方のようだな!!」
「ば、ば、化物めえ!! ジャッ! ジャジャジャッ!!」
奴の腕が、足が、全身がしなる!
なるほど、肉体全てを蛇に見立てて、射程20mの突きとすることができる恐るべき拳法使い!!
だがそんなものは、自由自在に動ける状況なら怖くもなんとも無いのである!!
嵐のように襲い来る攻撃の間を、俺は水面を蹴立てながら突き進む!
受け流すのではなく、弾く!
「ツアーッ!! 腕!!」
「ウグワーッ!?」
相手の打ってきた力にこちらの力を乗せて、反発!
合気と気功の組み合わせである!
「足! 肩! 頭!」
「ウグワワワーッ!? バカな! 攻撃が全て弾かれ、しかも俺だけがダメージを受け……しまっ」
「ゼロ距離だ!! チェーンパンチ! ツアーッ!!」
密着から前進する力を使って、秒間十発の連続打撃!
これは、パンチの威力足で水中に沈もうとする時に、もう片方の足を前に踏み出し、そちらが沈む時にもう片足を踏み出すという動きの上で成り立つ!
放つこと十秒!
合計百発の打撃が蛇拳使いの上半身を穿った!
「ウグワーッ!?」
ボート上から吹っ飛ぶ蛇拳使い!
足場がなければ、奴の拳法は無力!
俺は奴のボートを足場にして、飛び上がった。
姿勢はドロップキック!
「ひぃーっ!?」
ボートに乗っていた三年生女子が、沈む寸前の凄まじい揺れに悲鳴を上げる。
それだけの衝撃を加えながら行った飛翔は、吹っ飛ぶ蛇拳使いに一瞬で追いつく加速を産んだのだ!
到達と同時に、蛇拳使いの頭部に踵落とし!
同時にもう片方の足をしならせ、鞭のように蹴り上げる!
ダブルキックによるサンドイッチだ!!
「ツアーッ!! 空中交差脚!!」
「ウグワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! ひ、人の身で我ら使徒を凌駕する怪物……!! お前は……お前はああああああああ!!」
「ネトラレブレイカー!! 間男、死ぬが良い」
蛇拳使いは爆発した。
水面が猛烈に揺れる。
だが、十分に練り上げた軽気功は、水面への着地を可能とするのだ!
「ジョジョがなんかとんでもない戦い方してる……!! なんだあれー」
「お、お、オカルトですよオカルト!! 城之内くんはマスクを被らないと拳法使いになるんです!!」
いかん!!
マスクを被り忘れていた!!
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