第137話 合宿所は盛りだくさんなのだ!
到着!
森の中にある合宿所だが、ここは防風林らしく、坂道を下っていけば海がある。
砂浜完備の海水浴場で、遊ぶこともできるのだ。
さらに奥に行けば海につながる淡水湖があり、ここも雰囲気があってよろしい。
これはつまり……。
物陰NTRの舞台となる場所が山ほどあるということである!
頼むぞ三猿。
お前たちの情報収集が頼りだ。
俺は別のことをやらねばならんからな。
「うおーっ! 美夜子せんせー!!」「夏場は美夜子先生が上のジャージを脱いでるからいい季節だぜーっ!!」
ラガーマンどもが集まってきて盛り上がっている!
そう!
厚木先生こと厚木美夜子女史は、ジャージを一枚脱ぐとすっごいワガママボディだったのである!!
なんで体育教師なんかやってるんだ!
グラビアモデルとかそっちで食っていけただろ!
と思うレベルだ。
なるほど、部活動でも発散しきれぬ性欲をみなぎらせた男子には、目の毒であろう。
「おいおいお前ら、落ち着け! 合宿所とは言っても学校の外なんだぞ。みっともない真似をしてはいけないからな!」
厚木先生はラグビー部の叡智な視線に気付かず、笑ってたしなめる。
いかん!
ラグビー部の中でも特に性欲を持て余したようなやつが、今にも襲いかかりそうだ!
これは、抱きついて胸を揉んだりするセクハライベントが起こってしまうのではないか!?
「おっとーっ!? 何も無いところでつまずいちゃいました美夜子先生~!!」
「来たな!? その手は食わんぞツアーッ!!」
既にラガーマンの動きは読んでいた!
奴が厚木先生に抱きつこうとした隙間に俺が入り込み「ツアーッ!!」虎撲子を喰らわせた。
「ウグワーッ!?」
俺より20kgは重いであろうムキムキのラグビー部員が、螺旋を描きながら吹っ飛んでいく。
俺の足元には、威力を増すために踏み込んだ跡が生まれている。
震脚簡単バージョンである。
「て、てめえ……!!」「小原をぶっ飛ばしやがった……!?」「この体格差でか!?」
ラガーマンたちの空気が変わる。
「セクハラはいかんぞ!! この俺! 応援団団長城之内雪之丞の目が黒いうちは、貴様らに手出しをさせんからな!!」
「うわーっ! ジョジョかっこいいー!!」
青菅が後ろでぴょんぴょん飛び跳ねた。
「いや城之内、それでも暴力はいけないぞ」
おっと、厚木先生に注意されてしまった。
俺はぶっ飛ばされて白目を剥いている小原のところに近づくと、彼の手を取って柔拳の擒拿術を仕掛けてやった。
中国拳法の関節技で、今回は指を使って激痛を与える技だな。
「ウグワーッ!? ゆ、ゆ、指がーっ!!」
「目覚めたようだな小原くん!! セクハラはいかんからな……」
「て、て、てめえ……!!」
「文句があるようなら、俺を倒すことだ。俺は常に厚木先生を守るからな……!」
ラガーマンたちからの熱視線を感じるぞ!
敵を作ってしまったかな?
だが、NTRに繋がるセクハライベントを許すわけにはいかんからな。
「みたか? あいつのアタック」「あの体格であのパワー、得難い才能だぞ」「やつならラインを任せられる」
あれえ?
別の意味の熱視線になっているぞ!!
ノーノー!!
俺は応援団とネトラレブレイカーで忙しいのだ!
お前らに構っている余裕など無いのだ。
それに、手加減とは言え虎撲子なんかラグビーでは反則だろう。
「ジョジョ、いきなり合宿初日からかましたな!?」
「やるなー! しかも先生を守るために飛び込んだだろ? かっけー!」
「すげえぜ! 俺も体を張って女を助けてー」
三猿大いに盛り上がる!
で、横で響と赤佐が「いつもの城之内くんだね」「ですねー」とかほっこりしているのだった。
厚木先生は俺が小原くんを助け起こしたので、「若きスポーツマンの友情、良き良き」と満足しているのだ。
もしや目が節穴なのでは?
さて、ここからは青少年の家の、応援団に割り当てられた部屋へ向かうだけ。
ほう、男子ルームと女子ルームが?
六人部屋で、女子ルームは赤佐と青菅と、女子バレー部の四人が同室らしい。
あの「あひー」って言ってた女子もいるの?
世界は狭いな……。
こちらは、俺と響と三猿、そしてなぜかさっきぶっ飛ばした小原くんである。
「お前、ジョジョって言うの!? あれ凄かったなあ。中国拳法? マンガで読んだわ。まさか自分で食らうことになるとは……。あれ? でもマンガの技よりも威力低くね? ま、まさか……手加減してくれたのか?」
「小原くん、あんた、格闘センスが高いな!?」
まさか一撃食らっただけで、手加減されたことを理解するとは!
ラグビー部にしておくには惜しい。
いや、体格はまんま高校生ラガーマンなんだが。
「小坂くん、俺達と同室になったからには、運命共同体をやってもらうことになるぞ」
「な、なんだなんだ!?」
俺と響と三猿に囲まれ、戸惑う小坂。
この中で一番体はでかいんだが、それでも年の近い男が五人周りにいるからな。
「俺達は、応援団であると同時にとあるチームを組んでいる」
「チームだと……!? い、一体なんなんだそれは!」
ノリがいい人だなあ。
「ときめき学園NTRブレイカーズ!! 学園のあちこちで行われるNTRを発見し、この技で砕く活動だ!!」
「な、なんだってー!!」
「ジョジョはすげえんだぜ!! 既に入田と清居を粉砕してる!」
「あー、僕と真美奈の間に入ろうとしていた府城くんも、城之内くんに倒されてるね」
入ろうとしたというか、入りこまれてたけどな。
「あっ、それってつまり……!」
パワフルなスポーツマンであると同時に、ノリが良くて察しもいい男、それが小原である。
真の陽キャとも言えるこの男、すぐに状況を理解した。
「うちの部にも、彼女を寝取られて凹んで戦力にならなくなるやつがいるんだよ。そっか、あいつみたいなのを生み出さないようにする活動なんだな!? いいじゃんいいじゃん! 手伝うぜ!」
「そうか! では、この活動は基本的に秘密裏に行われる。間男に感知されたら、奴らが正体を見せなくなってしまうからな。俺達は一般生徒を装ったまま、学園内に潜むNTRを潰していき……最終的には黒幕を叩く!」
「ひゅーっ! ヒーローみたいじゃん! 俺もそういうの好きなんだよなー!」
なんかノリノリで、ラッキースケベを狙う陽キャのラガーマン小坂が仲間になったのだった。
俺の虎撲子を受けても、指関節を食らっても、今みたいにすぐ活動できるようになるタフな男だぞ。
絶対剛拳の才能あるだろこいつ。
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