第134話 夏が来るのだ!
連続で三人の使徒を屠られて、学園に巣食う黒幕は慎重になったようだ。
NTRの噂を聞かないし、男子裏SNSは閑古鳥である。
府城と入田が消えてしまって、そっち方面で活躍するやつがいなくなったんだな。
いいことだいいことだ。
厚木先生も大変明るい表情をしており、俺達応援団の指導にも熱が入っている!
「よし、いいぞ! 声は出てる! 後は四人で演舞を合わせるんだ! イワザルは上手いな! キカザル! 早い!」
「耳で聞いた瞬間に動いちまうんだよー! ちょっと置いたほうがいいのかあ?」
「キカザルは一番近い歌のリズムで覚えるのがいいかもなあ」
ワイワイと集まって話し合う。
うーん、青春だ。
「みんなー! 練習が終わったら勉強会だよ! 迫る期末テストを攻略するために、ここは絶対落とせないからね!」
応援団の部室には、何故か畳の間があり、そこにちゃぶ台やザブトンがある。
そこで響が期末テスト対策を教えてくれるのである。
俺達に掛かりきりで、響の成績は大丈夫なのか心配ではあったのだが……。
「僕は夜に、通信の講習受けてるんだよ。後は人に教えてると、それだけ教える側も知識の定着が早くなるから。お陰で僕も成績が上がってるんだ」
おおーっ、と感心する俺+三猿なのだった。
さらに、赤佐が脳の働きをよくするために糖分たっぷりの紅茶を淹れてくれる。
「ああ~」
「ミザルが溶けた!」
「応援団練習で汗かいた後のアイスティやばいよな」
「レモンティーにしてありますから」
赤佐の言葉に、三猿が「天使!!」とか反応するのだった。
彼女と青菅の二人は、応援団のマネージャーという形になる。
響は表向き、応援団の事務部門。
表に出て大声出して、太鼓を叩いて旗を振るのは俺と三猿だな。
これがなかなかいいポジションなのだ。
その部活の人間関係や、コーチがセクハラタイプかどうか、マネージャーの表情の輝きはどうか、変な玩具を装着してて動きがおかしくなってたりしないかなどをチェックできる!
運動部よ、常に俺が目を光らせているからな!!
こうして体が応援団生活に慣れてくるうちに、六月が終わり……。
うだるような暑さがやって来た!
夏だ!!
「こちらの世界では、春夏秋冬がハッキリしているんだな……。現実の日本では冬と夏しか無くなって久しいが……」
「私、ずーっと暑いのもずーっと寒いのも好きですよミノリー。そういうのはなんだかんだで実る理由になるんですよ。暑いと裸みたいな姿ですから手っ取り早いですし、寒いと暖を取るためにくっつくので実れますからねミノリー」
「さすが、実りの化身……!!」
久々にセレスらしい言葉を聞いた。
チンチラ暮らしが長くなってきたが、チンチラモードをある程度コントロールできるようになってきたらしい。
そのうち、またマスコットモードのセレスになれるのかも知れない。
姿を消したセレスを肩に乗せて登校する途中……。
「そう言えば最近見なくなったよね」
「何をー?」
「放課後に廊下を走るマスクマン」
「あー! あれって実在したの!? 最新の七不思議とか言われてたけど……」
「ほんとほんと! 入田も清居も、みんなマスクマンにやられていなくなったんだって! 中庭で清居がマスクマンにやられたの見た人たくさんいるんだって! 虹がかかって綺麗だったらしいよ!」
「それって何を見てたのかなあ……」
俺のことが話題になっているではないか。
出番がないということは、平和ということなんだぞ。
一部の教師がいなくなったことで、人員不足が問題視されていたようだが……。
なんだかんだですぐに、使徒が抜けた穴は埋まってしまった。
世の中、教員免許持ちのおじさんなんか無限にいるのである。
しかも俺はときめき学園の教師の求人を見てぶっ飛んだ。
教員免許さえあれば、かなりいいお給料で雇ってもらえるではないか。
だが、これはきっと、黒幕が雇ったやつから使徒にすべき人間を選ぶための罠なのであろう。
補充人員として新たな敵が教師としてやって来る可能性もあるのだ!
「ああ、補充された教師かい? 実は他校で勤務時に、パワハラに遭って辞めた教師がいて、そういう人達をうちでは多く採用してるんだ。優秀な方々だぞ」
厚木先生に聞いたら、そんな答えが来たのだった。
だったら安心か。
しかしこうやって、身近に学校の内情を教えてくれる教師もいる!
応援団、NTRを爆砕するためには最高の環境ではないか。
「あれー? ジョジョ、なんかホクホクしてるじゃん」
「城之内くん、何かいいことがあったんですか?」
あーっ!
青菅と赤佐がなんか俺にまとわりついてくるではないか!
「まずい、まずいぞセレス! 赤佐は今彼氏の響がいるんだ。俺に色目なんか使っちゃいけないんじゃないか」
「なんだか覚えがあるような状況になってきてますねミノリー」
「パルメディアの状態はほんとうにまずい。こっちの世界での俺は常時賢者モードだし、モテは完全に無駄になってしまうのだが……? というかこっちは本当に重婚絶対ダメな世界だからな?」
「愛があってもダメな感じですかミノリー?」
「ダメだなあ」
「厳しいですねミノリー」
「なんかセレスちゃんと相談してる」
「私達を助ける時は勇ましいんですけど、こういう可愛いところもあるんですよね」
ネトラレブレイカーの心、女子知らず……!
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