第133話 厚木先生のNTR爆散RTA!!
疑ってしまった詫びに、権田原先生にカステラを差し入れたのだった。
「これを権田原先生に。俺は新たな応援団の団長の城之内というものです」
「あら!! あなたが新しい団員なのね! 前の団員は、学年主任の嫌がらせでいなくなっちゃったものねえ……」
「なんですって。詳しく」
「あら、アタシとしたことが! こんなことを生徒に話すなんて……!」
ムキムキな黒いランニングシャツ姿の権田原先生。
明らかに只者ではない筋肉の盛り上がりである。
「いえ、構いません。それは我ら応援団にとっても自衛となる知識です。どうぞ詳しく。詳しく……!!」
「そお? だったら秘密にしてね? あなた、口が硬そうだから大丈夫だと思うけど……」
つまりはこう言うことだった!
学年主任の清居という男がおり、彼は厚木先生に日常的にセクハラを行っていた!
権力によって、相手に有無を言わせぬタイプの間男だな。
そして清居のセクハラを見た応援団が正義感から諫言を行ったところ、清居はあろうことか応援団にあること無いこと罪をでっち上げ、きらめき学園の離島キャンパスに転校させてしまったそうなのだ!
本当にこの世界は法治国家か?
無法が過ぎないか?
流石の俺も唖然としてしまった。
「悪ではありませんか!?」
「そうなのよぉー!! アタシも左遷されたら、ボディビルの大会に出るのが難しくなるから……!」
「ほう、権田原先生はボディビルを? 道理でいい体をしておいでだ」
「アラヤダ。ありがと! まだね、大きくしてる最中なのよ。もう少ししたら水を大量にとってカットを作っていく感じになるのよね。ところであなた……ワイシャツの上からも分かる筋肉の起こり! ……どう? ボディビルやってみない? あなたならナチュラルの天下を取れるわよ!」
「すみません先生。俺は格闘技をやっているので、ボディビルの体作りはリスクが高いのです」
「あら、そうだったの!? だったら確かにそうね。アタシが見たところ、レスリング……それもプロレスの体の作り方に見えたから声を掛けたんだけど……」
この教師、鋭い!!
ひと目で俺の肉体の特性を見抜くとは。
「まあいいわ。気をつけてね。清居センセはねちっこくて陰湿だから。ちょっと前にはこの部屋にも盗聴器が仕掛けられてたのよ?」
「ちょっと前には?」
「アタシがデカい声張り上げて清居の耳をぶっ壊しかけたから、慌てて盗聴器を外したみたい」
できるな、権田原先生。
彼がNTR的に安全な理由だが……。
彼は自分が鍛え上げ、仕上がった筋肉をじっくり鑑賞する事が至上の趣味なのだ。
つまりナルシスト系の人なのである!
だが、彼は残念ながらサラリーマン。
人事権を持つ清居を相手に戦うことが困難なのだ。
厚木先生にしても、色々弱みを握られているのであろう。
では、その清居を排除して厚木先生を身軽にしてやろうではないか。
応援団を脅かすものもいなくなるだろう。
NTRブレイカーズ、始動だ!
まあ、今回は黒幕が明らかだから、こちらから彼らに共通チャットルームで報告だけして仕留めに行くとしよう。
「ごめん部活には行けません。今間男と戦う戦場にいます。厚木先生を穢さんとする間男の正体を突き止めたのです。本当は部活で練習もしたいけれど、でも……今は少しだけ、間男爆砕に意識を裂こうと思います。俺が間男を粉砕することが、きっと未来のNTR被害者をなくすことに繋がるから」
「ポエットですねミノリー! そして勇者は珍しく一人で行くのですかミノリー」
「おう。今回の敵は環境を支配するタイプの使徒だろう。つまり、その環境内で異物を排除していく。名前が知れてしまえばあとは簡単、仕留めるだけだ。奴の悪行も、一般教師にまで知れ渡っているようだしな」
俺は覆面を脱いで、一般生徒に偽装。
職員室に向けて突き進む。
さて、学年主任の清居は……。
「留守か。すみません。清居先生に用があったのですが」
近くにいる男性教師に聞いてみる。
すると彼は、清居の名を聞いて顔をしかめた後……。
「……多分、また保健室じゃないかな」
また……?
もしや保健室を良からぬ目的で使っているとでも言うのか?
「ありがとうございます。行ってみます」
「行っても無駄だと思うよ。どうせ施錠されているだろうし……」
「ありがとうございます」
黒だ!
俺は早歩きで保健室へ向かう。
途中で、周囲の空気が重くなる。
これは……。
「魔法的なものが働いていますねミノリー」
「結界のようなものか。ふん……ツアーッ!!」
俺は地を蹴って飛び上がり、発剄によるシャイニングウィザードを空に向けて放った!
それを受けて、空気が一瞬だけ抵抗。
直後に粉々に砕け散った!
守りを撃ち抜くシャイニングウィザードは、結界破壊にも最適!!
「これで気付かれたことだろう! 一気に行くぞ! 覆面よーし!!」
ダッシュしながら覆面を被る!
そして保健室前でターン!
壁を蹴って震脚!
勢いを付け、施錠されている保健室めがけて俺は飛翔した!
「フライングクロスチョップ!!」
ガシャアアアアアアアンッ!!と音を立てて保健室の扉が砕け散る!
俺は内部へと前転しながら侵入!
「なんだ!? なんだーっ!? 私の領域が破られたと思ったら、侵入者!? 何者だーっ!!」
そこには、なんか下半身剥き出しの中年男が!
学年主任の清居である!
ベッドの上には、あられもない格好の厚木先生が!
危ないところだったな!!
彼女はぎゅっと目を閉じて、されるがままの状態をこらえていたようだが……。
なに、目を開く前に決着をつける!
「そのまま! 目を閉じていろ! いま全てが終わる! ツアーッ!!」
地上から飛び上がりながらのアッパーカット!
「ウグワーッ!? なんだ! 何だ貴様ーっ!!」
アッパーを食らって吹っ飛びながら、顎が砕けず喋る余裕もあるとはな!
間違いなく使徒!
俺は高速で身構えて練気!
さらに震脚で床を蹴った!
砕けるリノリウムの床!
「なに!? なになになに!? 何が起こっているんだー!?」
我に返ったらしい厚木先生の声が聞こえる!
だが、既に俺の姿はそこにはいない。
吹っ飛んでいる清居に合わせて、俺もまた超高速跳躍をしていたのである!
足を揃えて、自らを巨大な一本の矢とする!
「ツアーッ!! ミサイルキーック!!」
「くおおおおおーっ!! 領域……」
清居がまた結界を発動したが、それを粉々に打ち砕き、さらに空中で加速するミサイルキック!
つまりは高高度のドロップキックなのだが、こういうものは心意気で威力が変わるものだ!
この一撃は清居に突き刺さり、そのまま壁に叩きつけ、壁面と窓ガラスを砕きながら中庭へ!
「ウグワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! このっ、私がッ、なんでっ、いきなりっ、お前っ」
軌道が放物線状に落下!
清居の真下には、中庭の噴水と、中央に屹立する小便小僧の姿がある!
「御託を述べる暇など与えん! 終わりだ!! 落ちろっ、ツアーッ!!」
空中で俺は、清居を蹴り落とした。
落下する清居は小便小僧によって……胴体を貫通!
「ウグワアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
そのままやつは、破裂して砕け散った。
爆発の勢いで、小便小僧から出る水が撒き散らされる!
この光景を呆然と見ていたのは、放課後に中庭でイチャイチャしていたカップルたちだ。
彼らは降り注ぐ水を被って濡れながら……。
「あ、虹……」
清居の爆発が生み出した噴霧が、太陽の輝きを七色に映し出す。
悪は滅び、美しい光景が生まれたのだった。
「よし! これで厚木先生は安心だろう」
俺は周囲が呆然としている間に立ち去るのだった。
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