第13話 ジダチ隊、敵に遭遇す!
「ジダチ隊……ひっでえ名前だ」
「私もちょっとあんまりだと思います」
「だが他にいい案が無かったじゃないか。これで行こう。わかりやすいし」
「なんでジョナサンが一番最初に来てるんだよ?」
「ダイオンが一番に来ると、ダジチかダチジになって発音しづらいからだ」
「ぐうっ、かなり納得できる返答が来た……!!」
「ジョナサンさん、なにげに頭が切れますよね」
そのような話をしながら、敵の巡回警備を名乗る侵略部隊を探し、辺境の村をうろつくのである。
こうしている間にも、王国をまるごと時間凍結してしまう魔道士ボナペテーの企みは進んでいる。
俺としてはこれを助けたいのだが、そうするとこう……フラグ管理過多で俺のタスクが破裂してしまう!
『王女の不貞は許さないのに、王国ごと凍結されることは容認するのですねえ……。分かりません』
「セレスもフラグ管理というものを理解するのだ。いいか? ここにいるチエリも実はNTRフラグの存在するサブヒロインなんだ。さらに冒険者編にもサブヒロインが存在し、この間撃退したサキュバスも、魔道士を倒すとサブヒロインになる……」
『何を言ってるんですかあなたは』
「俺も自分で言っていて頭がおかしくなりそうだが、このゲームは本当にそうなんだ……。むしろ異世界NTRパルメディアに唯一いないヒロイン格の女がお前だセレス。誰だ? 声がやたらいいだけの女神か……?」
『罵倒されてるのか褒められてるのか悩ましいところですねえ! 私が権能を失っていなかったら、とりあえず天罰を叩き込んでいるところですよ』
俺がセレスとそんなやり取りをしていたところ、村でダイオンとチエリが聞き込みを進めてくれていたようだ。
優秀!
「お前が肩に向かってぶつぶつ言い始めたから、こりゃダメだと思ったんだ」
「その魔力の輝き、やっぱり意志があるんですね? ジョナサンさんの使い魔みたいなものでしょうか」
『使い魔ですって!? 私は女神ですよー! 混同しないでくださーい! 許しがたーい! むきー!』
セレスが珍しくあったかくなっている。
あったまるというのは、このようにカッとなっている状態のことだな。
だが、やっぱりα波が出ているような美声なので、俺はニコニコと聞いていられる。
「それで情報はどんな感じだったんだ? 俺の予想だと、侵略者どもは恐らく山賊を使って村を荒らそうとするはずなんだ」
「お前……なんでそれが分かった!? 俺が聞き込みをしてきた情報とそのままだぞ!」
「やはり只者ではありませんね、ジョナサンさん!」
簡単な理由である。
領土に山賊が出た。
それは即ち、巡回警備を名乗る連中からすると、その土地に介入する言い訳になる。
実効支配に便利だから、山賊を雇って村を襲わせ、村を救う名目で襲いかかって山賊を殺し、その後に村人を不法侵入者ということで撫で斬りにし、帝国の民を入植させる……!!
合理的シナリオぉ……!
全ての食事を、日本の見覚えあるご飯に変えちゃう人間と同じ人のシナリオとは思えん。
では、俺たちは山賊を先に撃退し、侵略者どものやって来る理由を無くしてやろうということになった。
では、村のお世話になる……。
「俺はこれで……。また夜には出てくるから」
ダイオンが村の娘さんと一緒に消えていったぞ。
あいつ、あっという間に女の子を落としたのか。
マリーナ姫から遠ざけておいて正解だったな……。
「ダイオンさんって女の人相手にだらしない人なんですね……! ちょっと引いちゃうかも……」
チエリが顔をしかめている。
うんうん、そういう潔癖症の女の子然としたチエリだが、ダイオンに落とされるルートが存在するからね。
俺は表向きの言葉など信用しないぞ……!
だが、せっかくだからチエリのNTRフラグを破壊する活動もしておこう。
当分、マリーナの方は安全になることだし。
時間凍結されるからな。
「チエリ、一緒に行動しよう。ダイオンは強いから一人でも大丈夫だ。でもチエリは魔法医見習いだから、直接戦闘力は低いだろ? 僕も一応騎士の見習いだから、君を守れると想うんだ」
「ジョナサンさん……! さっきまでのちょっと傍若無人な振る舞いが嘘みたいに紳士的になって……! その二面性にキュンと来ます!」
ジョナサン(本物)のマネをしてるだけなのだが、チエリの妙なツボに入ってしまったようだな。
俺たちは、とある老夫婦の家にお邪魔し、そこで山賊を待つことになるのだった。
彼らから夕飯をごちそうになり、最近の帝国の侵略でいかに困っているか、都会に出ていった息子や娘たちが全く帰って来ず、いかに親不孝であるかなどを聞かされた。
後半どうでもいいな?
なお、食事は豚の生姜焼きだった。
だからなあ、この世界の食事なあ……!
俺が現実世界の和食レストランで食べたのと同じ味がするんだよなあ!
「一宿一飯の恩義ですね! これは私達で守らないと……!」
「ああ、そうだね。明らかに調味料の類も調理法も発達してなさそうなこの世界で、現実世界並の味の濃いご飯がどんどん進む豚生姜焼きを出せる技術は気になるところだが、美味いものを食べさせてもらった以上は戦わないとね」
こうして俺たちは、山賊の襲来を待つ。
チエリは緊張しているようだが、俺はどのタイミングで来るかが分かっているのでリラックスなのだ。
老夫婦がそろそろ寝ようか、と言った辺りで山賊の襲撃がある。
「なあ婆さん、そろそろ寝ようかね」
来た!!
俺はその言葉に合わせて、外に飛び出した。
驚く老夫婦!
驚くチエリ!
「ジョナサンさん、何を……」
「ウグワーッ!!」
飛び出しざまに繰り出した、俺のフライングクロスチョップが、家の外にやって来ていた山賊に炸裂している。
山賊は断末魔をあげながらぶっ飛んで動かなくなる!
「敵襲だ! チエリ、備えろ!」
「はっ、はいぃ!!」
ここから、帝国の襲撃シナリオがスタートするぞ!
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




