第106話 冒険者の国、ポンドールへ!
魔導ワゴン、ゴー!!
「うおーっ! なんなのじゃ!? 魔導ワゴンの速度が明らかにアップしているのじゃ! これは、夕方にはポンドールに到着する!!」
「な、なんだってー!!」
確かに、魔導ワゴンが高速道路を走るような速度で荒れ地を行く。
こりゃあすげえ!
グラングラン揺れるが、俺の三半規管はチタン製なので特に問題はない。
「うっぷ! ぎもぢわるい……」
「死にそうですわ……」
「ヒール!!」
「あっ、治った!!」
「魔人である私にもこの魔法が効果を現しますの……!?」
一瞬で問題は解決してしまったようだな!
なお、席の後ろの方でデーモンウォリアーが小さくなって乗り込んでいる。
「デーモンウォリアーはもう少しで降りるの? アルシェを見つけて声かけてくれるの?」
こくこく頷くデーモンウォリアー。
ありがたい!
頼むぞ!
昼頃にデーモンウォリアーが降りていった。
すぐ先に、不死王が展開するポータル。
俺達にバイバイして、彼は去った。
ここで俺たちは昼ご飯である!
「旅先じゃが、魔導ワゴンには調理する装置が存在しておるのじゃ」
ネイアがワゴンの後方でごそごそしている。
出てくるのは、なんか火を付ける装置。
そして大きいヤカン。
形状的に見覚えのある、カップ状の入れ物。
「ま、まさか……!!」
「保存食なのじゃが、こういう状況口にするのも乙なものじゃろう」
「カップラーメンだーっ!!」
『ははあ、保存食なのに一つの容器で事足りるのですか? えっ、お湯を入れるだけで!? ああ、なんだか美味しそうな香りがしてきましたねえ!』
「ほんとだー! 不思議! こんな保存食初めて!」
「食に関しては、人は不死者を超えますねえ……。本当に大したものです」
「へえ、面白いじゃない。王宮にいると、変わったものを食べる機会なんかなくってね……」
女子たちは好意的な反応である。
いや、俺もまあまあ懐かしくて、いいと思うんだけどね!
だが、食べ慣れないものばかりのファンタジー世界でカップラーメンに出会うならば感動するだろう。
パルメディアで食べたものはどうだ?
どこかで食べたことがある、味の濃い日本の食べ物ばかりだったではないか!
食に関してホームシックを覚えることは一度も無かったぞ!
むしろ食生活は常に故郷だった!!
「それはそうと、俺はこの豚骨ラーメンを選ぶぜ!!」
「おおっ、ジョナサン殿、通じゃのう! ニオイは強いがなれると堪らん骨のスープパスタじゃぞ」
豚骨ラーメンは現代日本では至極メジャーでな!
ちなみに、プラスチック製のフォークか割り箸を選べるらしい。
うーん。もう突っ込まないぞ……。
なお、カップラーメンは美味かった。
たまにはこういうジャンクな昼食もいいな。
俺は一個では足りないので、味噌味とシーフードも食べたのだった。
昼休憩を終え、走り出す魔導ワゴン。
窓を全開にし、ちょっとしたドライブ気分だ。
俺はここで気がついた。
見慣れているはずの空に、妙なシルエットが被さっている気がする。
それは半透明な……巨大な手だ。
なるほど、世界を覆う手か。
超越者そのものの手だとは思わないが、この世界そのものを超越者が何らかの力場みたいなもので覆っているらしい。
レベルアップし、超越者に近づいた俺は、それが視認できるようになったというわけだ。
「セレス、あの手が超越者のものだとすると、あいつは世界のどこにでも目を届かせることができるな」
『ええ。だからこそ、パルメディア中にやつの使徒が降りてきているのです! ただまあ、超越者はワンオペですから。使徒を一体一体自分で作って、自分で考えて派遣しないといけないわけですねえ。この間みたいに、力だけ与えて能力は特に考えてない……みたいな使徒がいると私たちに蹴散らされるわけです』
「なるほどな……。それはそれで大変だ」
普通の都市ならば量産型で十分だろう。
だが、俺がパーティに加えてレベルアップさせた仲間を相手にするなら、量産型では足止めにもなるまい。
日暮れ頃、ポンドールが見えてきた。
凄いぞ。
ここまで前なら、早馬でも三日はかかる距離だったのに。
一日で到着してしまった。
そしてポンドールで火の手が上がっている!
早速使徒だ!
「では俺は先に出撃するので、みんな後から適当に追いついてきていい感じで仕事をするように。行くぞ!!」
『はいはーい。お先~』
セレスが俺に同化。
その直後に縮地で超加速だ!
びゅんと走って、門番たちを蹂躙していた使徒にチョップを食らわせた。
「ツアーッ!! これは挨拶だ! ……と思ったら」
『ウグワーッ!?』
「袈裟懸けに叩き切ってしまった!」
「ジョナサン!?」「魔人殺しのジョナサンだ!」「いや、不死者殺しのジョナサン!」
称号がレベルアップしている!!
叡智のことばかり気にして、称号に注目してなかったな……。
なお、街の中には三体の使徒がいた。
これだけで、ポンドールは壊滅しててもおかしくはなかったのだが、みんなギリギリのところで守りに徹して持ちこたえていたようだった。
「よくやったな! 俺が間に合ったぞ!」
『貴様があのお方の言っていた害虫か!! ぬはははは! 俺様は貴様を倒すためめの力を授かった刃の手足のシュテッケン……』
「ツアーッ! チョップ連打! さらにビッグブーツ! うおーっ!! ドロップキック!」
『ウグワーッ!? 間断無い攻撃!? 刃が怖くはないのか! ウグワーッ!! 刃が欠けた! 折れた!? 馬鹿なーっ!!』
刃物は!
物を受け止めるようには出来てないのだ!!
口上してる余裕があったら斬りかかるべきだったな!
シュテッケンとやらは両手両足を刃こぼれさせられた後、俺の卍固めを受けて『ウグワーッ!?』と爆発したのだった。
他の使徒は、実体化した中学二年生くらいの見た目のセレスが、『あちょー!』と真っ向から組み伏せ、使徒は地面で全身をもみじおろしにされて『ウグワーッ!?』と散華したのだった。
無惨過ぎる。
最後の使徒は、ヴェローナからの超長距離狙撃を食らって『ウグワーッ!?』と揺らいだところを、ナルに背負われて接近してきたマリーナに触れられ……。
「ヒール……オーバーロード!!」
『ウグワーッ!? か、体が勝手に膨れ上がって……ウグワワワーッ!!』
暴走したヒールで内部から破裂して死んだのだった。
無惨過ぎる。
うちの女神とヒロインたち、あまりにも戦い方がフェイタリティ過ぎやしないか?
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