表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/143

7 燃える心は段違いの攻撃力を生む

 俺は杭の攻撃を剣を盾に両手で受け止めていた。


「なかなかに重い一撃だ」


 俺からの呟き。


 カイエンの一撃は重い。

 それも上から押し付けて動きを抑えるかのような力の入れ具合。

 なので、俺は剣を斜め上に構えて防御していたが、ずらして離れることが出来なかった。


「なんだ? それくらいでへばっていちゃ、やりがいがないからな?」


 カイエンからの言葉。


「ああ、同意だ。だから別な手で行く」


 俺は片方の手で空気に触れて粘着化させる。

 空気も爆弾化もさせて。


 その空気を相手に付着させて、攻撃している腕に絡ませる。

 腕に絡んだ空気は胴にも絡みついて、拘束の形だ。


 絡んだ空気に腕を離すように念じると、俺へと加わる力が弱くなった。

 これで俺も離れることが出来る。


「ああ、こんなことが出来たっけな。お前は」


「さて、どう出る?」


 俺は相手から離れて、問いかけた。

 相手は俺よりも力が強い。


 慎重に行った方がいいのは分かる。

 なので、更なる小手調べとして、距離を置いて縛られた状況をどう出るか確認する方針をとる。

 だが、ただで終わらせるつもりもない。


「こうするんだったら、俺は……」


「炎魔法、ブラストボム」


 カイエンの言葉に入るように俺は魔法を唱える。

 魔法だけでなく、爆弾化した結晶もだ。

 炎の球、爆弾化した結晶を精製、それを相手へと向かわせる。


 それらが距離を縮める。

 しかし、カイエンは何もしなかった。

 何もしなければ、攻撃を受けるというのに。


 爆発音が響いて、煙が上がる。

 見たところ、まともに攻撃を受けたという状態。

 だが何もせずにあそこまでなったということは、何かあるに違いない。


「痛えな……防御できたが、防ぎきれなかったってことか」


 カイエンは呟く。

 煙が晴れると、球体の液体が現れた。

 黄色い液体がカイエンを攻撃から覆って守っていたのだ。


 また、耐久力は15000から13500へと変わっていた。

 少しは攻撃が通っていて、全く攻撃が通じない訳ではない。

 そこは悪くない。


「……その液体、防御にも使えるのか」


 姿を変えた時に見せた液体。

 液体の意思があるかは分からないが、防御してくれるとはなかなか便利そうだ。


「この液体、リグースって名前があるんだぜ。俺のパートナーで器用に動いてくれて、こいつのおかげで何人もの冒険者を返り討ちにした」


 液体の中でカイエンは腕を自由に動かし、話す。

 空気の拘束も剥がしたと見える。


「粘着化での拘束も無理そうだな。これだと」


 こちらの攻撃手段が潰れたのは残念だ。

 液体のおかげか、自力でかは分からないが、拘束の手段は通用しないようだ。


 カイエンをまとう液体は渦巻きつつ、剥がれる。

 同時に彼も俺へと向かってきた。


「次もこっちからだ! さっきのようにいくと思うなよ!」


 カイエンは俺へと向かっていく、杭を後ろへ下げる。

 先ほどと同じ攻撃をするのだろう。


 その杭をよく見て見ると、少し変わったことがあった。

 杭が熱を帯びているかのように、赤味を帯びている。

 湯気も少し出ていることから、熱だと思われる。


「直接受けるのは不味いからな。だったらこっちは……」


 俺は結晶を床に精製して、防壁を作った。

 それもいつもより厚い壁を魔力をより注いで。

 カイエンの力から守るためには厚くしないことには防げない、そう判断してだ。


 壁が出来て、轟音が響く。

 攻撃をしたと分かる。


 壁にヒビが入る事もなく、なんとか一撃は防げたようだ。


「さっきよりも固いが、それだけで防げると思うなよ?」


 壁越しのカイエンの言葉。

 先ほどから防戦一方の展開。

 こちらも攻撃へと移りたいところだ


 と思っていたところ。


 目の前の結晶にひびが急に入る。


「な?」


 液体が結晶の壁をあっさりと破っていった。

 そして、俺を貫く。

 ひびが入ってから俺を貫くまで瞬時の出来事。

 防御も出来なかった。


 俺は急激に力が抜けていき、後方へと倒れていく。

 結晶の壁だって今まで以上に厚くした、それなのにこうも破ってくる。


 驚きもあったが、かなり痛い。

 だが、それでもと俺は液体に触れて粘着化も念じてみる。

 液体は俺の思った通りに動いてくれない。

 あの液体の粘着化も無理そうだ。


 結晶の壁は崩れていき、俺は仰向けで倒れた。


「壁があるからって攻撃できないわけじゃないんだよ、こういう風にな。それにやっと、俺の心のエンジンが燃えてきたんだ。あっさり負けるなんて詰まらねえからな!」


 杭を斜めに構えながらのカイエンからの語り。

 杭の熱もさらに上がっているのか、明らかに赤味が強まっている。


 さらに俺の耐久力は9800/19100となっている、あの一撃を受けただけでだ。

 攻撃力が今まで戦ってきた相手とは段違い。

 自然治癒のスキルもあるとは言えど、真正面から相手をしていてはそのスキルがあっても負けへと直行だろう。


 慎重に立ち回らないとこの勝負は負ける。


「心配するなよ……負けるつもりだって俺はないから。その程度の攻撃にビビっているようじゃ、俺の勝ちには程遠いしな」


 俺は傷を抑えて立ち上がり、声をかける。

 敵なりの期待が相手にはある。

 ならば、期待には答えてもいいことだ。


 ふとカイエンの耐久力を見ると12500へと変わっていた。

 先ほどまでは13500であったのに。


「そう言ってくれて嬉しいぜ! まだまだエンジンが最大まで回ってないんだからな!」


 カイエンに変化があったことは気になっていた。

 それは俺が魔法を使ってから攻撃をしていないのにカイエンの耐久力が減っていたこと。

 彼の言葉の後、さらに杭が熱を帯びて、湯気が出る。

 その後に、耐久力が12500から12000に変わる。


 どうも、耐久力を犠牲にして熱を生み出しているようだ。

 スキルなのかは分からないが、短期決戦で俺を倒すつもりだと考えられる。

 粘って長期戦を挑むにも、攻撃力が段違いすぎてそれは不利だ。


 カイエンは遠くから杭での突きを放って、液体を一直線に俺へ飛ばす。

 液体の突撃も早い。

 その突撃を俺は何とか横にかわしつつ、相手との距離も取る。

 液体も熱くなっていて、当たれば先ほどよりも被害が出ることが見えている。


(照日……どうするの?)


 アムリスの心配の声が心から響いてくる。


 心配はもっともだ。

 相手は今までにないくらいの攻撃力の持ち主だ。

 まともに当たって撃ち負ければ、一瞬で負ける可能性がある。


 だが、それでも俺は負けるつもりがない。


「心配はいらない、打破する方法は俺にあるんだからな」


 小声でアムリスに語る。

 確かに相手の攻撃力は手強い上に、下手をすれば俺は負ける。


 しかし、今回は俺の剣だって強化されているし、魔法もスキルだって数が多い。

 それを有効活用しての状況打破手段は考え付いた。

 だからこそ、アムリスにああ言えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ