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9 諦めない心はお互いに

 日町の諦めない宣言を俺は聞く。


「やっぱりそうか。戦うと」


「ええ、そうよ。まだできることだってあるから、私は」


 そう言うと日町の指輪が光る。


「まだ、召喚できるモンスターがいるのか?」


「違うわよ。ゴーテック、グレイターメシア」


 その日町の言葉で魔法陣が出てくる。

 魔法陣から、スパナを持った男性が現れる。


 ゴーテックの名は俺も聞いたことがあった。

 何しろその男はガンワークのギルド三闘士で、ゴーレムの精製に長けた人物だ。

 ギルド三闘士について書いてあったパンフレットを見ていて、俺もどんな男か分かっている。


「おお、灯里。あれで逆転だな。任せておけ」


 ゴーテックは肩を回して答える。


「もうこれしか打破できる手段がないのよ。時間は稼ぐからお願い」


 その言葉の後、すぐに日町は俺へと駆けていく。


 グレイターメシアについても分かる。

 時間がかかるが、契約者が乗って操縦できるでかいゴーレムを出す技だ。

 なので、放置すれば厄介なことになるのは間違いない。


 俺としてはゴーテックへ先に攻撃を加えたい。

 ちょっとでも攻撃できれば、ギルド三闘士は退いてくれるからだ。


「なら俺は定石どおりに、あっちを狙わせてもらう」


 俺はゴーテックに手に平を向けて粘着化を念じる。

 粘着化した空気を今度は圧縮した。

 やることは圧縮空気砲。


 しかし、日町はそれを許さない。


「させないわ。炎魔法、フレイムサークル」


 日町は魔法を唱えると、ゴーテックの周囲に円がかかれる。

 その円は真上に炎を巻き起こした。


 俺は圧縮空気砲を放つ。

 だが、飛んで行った空気は炎にかき消されてしまった。

 ゴーテックへの変化は全くない。


「ただでは攻撃させないってことか」


「そういう訳」


 日町は剣で突いてくる。

 それを俺は剣で防いだ。


 さっきの圧縮空気砲はダメだった。

 次は結晶を飛ばすか。

 それともアムリスに頼んでストーンハンドをぶつけるか。


 いや、もしかすると日町を撃破した方が早いかもしれない。

 あのフレイムサークルは炎の壁としてもなかなか手ごわい可能性もある。

 ならば、こっちは直接本体を狙った方がいい可能性も出てくる。


 それにこっちだってギルド三闘士がいるのだから。


「ならこっちもだ。あちらさんから呼んでと要望が来ていたから、いい機会だ」


 俺の指輪が光る。

 念じる相手はガティーク。


「やはりあなたもギルド三闘士が?」


「そういう訳だ。ガティーク、ガイアパニッシュ。遠慮なく俺を巻き込んでくれ」


 俺の近くに魔法陣が出て、ガティークがハンマーを持って現れてきた。

 心なしか彼女の表情は満足気味のようだ。


「おう、来たか。そういう指示なら、ウチが遠慮なくやっちゃうぞ」


 そう言うとガティークは大きなハンマーを遠慮なく振りかぶる。


 ガイアパニッシュは叩いた地面から岩を真上に巻き上げる技だ。

 俺と日町は近接している状況。

 こうであれば、俺も日町も岩の巻き添えに会うのは見えている。


「な! あなたも巻き添えを食うわよ!?」


「俺は何とかなるからな。後、逃げる必要はないからな」


 俺の言葉と同時に片手で日町の腹に手で触れる。

 掌で空気を粘着化した状態でだ。

 空気は日町に付着したことになって、俺の手から逃げられなくなったわけだ。


「あ、そんな……」


 腹に視線を向けて、日町は話す。

 更に俺は結晶を精製するために剣に魔力も込めた。

 ガティークのハンマーが振り下ろされて地面が揺らぐ。


 地面の揺れに二人は姿勢が揺らぐ。

 震度としても強い数値が出るかもしれないほどの揺れだ。


 同時に俺と日町の足元から岩が真上に飛び出す。

 二人が乗っている地面も同じく飛び出した。

 地面も飛び上がる上に事前に姿勢も揺さぶられた。

 お互いにいつ落ちてもおかしくはない。


「それじゃこれで蹴りをつける」


 その俺の言葉の後に、精製された結晶は日町を包んでいく。

 結晶は相手の上半身を腕ごと包んで拘束する。

 これで、相手は攻撃できない。


 俺はその状態で上に飛んで、日町も同時に連れて行く。

 剣を両手で持ち、更に魔力を剣に注ぎ込む。

 結晶の体積は増して、拘束した相手ごと結晶を地面へと向けた。


 重力に逆らわずお互いは真下へと落下する。

 次第に落下速度が増していった。

 そこで結晶に爆弾化を念じる。

 相手と地面が衝突するまでに来ていた。


「あうっ!」


 受け身も取れずに日町は痛みの声を出す。

 今の位置は日町が仰向けで倒れて、距離を置いた真上に俺が逆さの状態でいるという状況。


 俺は結晶から剣を引き抜き、蹴り飛ばして距離を置く。

 すでに結晶は赤い線が走っていた。


 蹴り飛ばして少ししてからだ。

 日町を包んでいた結晶は煙を上げて爆発した。

 拘束もしているし、逃げる手段もないだろう。


 俺は着地をすると、黒い煙も消え始めていた。

 その煙から気絶した日町が現れる。

 耐久力は0となっていた。


「おお、流石だな。ウチを呼んでくれてありがとうよ」


 ガティークは腕を振って俺に声をかける。

 体は光に包まれていた。

 もうすぐ消えるのだろう。


「ああ、これで約束は果たしたからな」


 俺の言葉の後にガティークの包む光は散り始める。


 対して、ゴーテックの方は肩を落として、消えようとしていた。

 契約者が負けてしまっては大技も何もあったものではない。


 この結果にメイルオンさんも文句なく頷く。


「勝者、天川照日」


<レベルアップ! レベルアップよ!>


 勝者の宣告。

 これにて三連続で俺は勝てたという訳だ。


 この言葉の後に大波先生は拍手で歓迎してくれた。

 先生の顔も笑顔だ。


「流石だ、照日君。君の実力はよく分かった」


「あ、いえ、それほどでも……」


「謙遜はいらないぞ。私の自慢の生徒を三人とも一人で倒したんだから」


「その、ありがとうございます」


 先生の評価に俺は言葉を詰まらせる。

 そつのない言葉は出せたけど、いまだに褒められるのは慣れない。


「私もこれで心置きなく配下に付けるものだ。戦った彼らも配下になるつもりだし、力になってくれるはずだ」


「彼らも強かったので頼りになりそうです」


 先生の生徒だからきっと俺への協力も抵抗なくしてくれるはずだ。

 近くの町の見回り等もやってくれるはずだし、冒険者の人手が増えるのはありがたい。

 どれくらい戦えるか分からないが、先生も正式に協力してくれるのもなおいいことだ。


「というわけだ。照日君の実力は十分に分かってもらえたはずだ。どうだ?」


 先生はそう言うと入口の方へと顔を向ける。

 その先を俺も見ると、女性が見えた。

 その姿はスーツ姿で茶色の短い髪である。


「ええ、十分に分かりました。実力も申し分ないです」


 その女性から返答を聞く。

 もしかすると先生の言っていた人か。

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