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10 配下の取引

<やった! やった! ダンジョンクリアよ! すごいじゃない!>

<レベルアップ! レベルアップよ!>


 アムリスからのシステムボイス。


 奪われたスキルも回収できたようだ。

 力の戻りを感じている。

 スキル回収のおかげか、それとも別な理由なのか。

 それはまあいい、とにかく戻ってきた分も取り返せたのだから。


 あと、無効化してしまった自然治癒も効果発揮しておこう。

 これから回復すると言っても、今の内にしておきたい。

 忘れてそのままで明日を迎えるってことはしたくないし。


(戻ってきたのはスキル回収のおかげよ。なかったら戻ってこなかったはずだから)


 心の中からアムリスの解説。

 そっか、無かったら奪われたままで、取り返しのつかないことになっていたってことか。

 とにかく戻ってきてよかったよ。


 で、西堂さんの様子を見る。

 今はメイルオンさんが近くに寄っていて、回復している。

 後のことは任せてもよさそうだ。


 と、西堂さんからモンスターが現れる。

 紫色の方までの長い髪で、頭上の髪が犬耳のような形を形成していた。

 黒い翼と尾もある、おそらく西堂さんのパートナーであるサキュバス。

 俺と同じようにサキュバスを中に入れていたようだ。


「あらあら、聖菜も負けるとはね。完全にこっちのペースだったのに」


 名前はテオリスだったろうか。

 その彼女が西堂さんを見て呟く。


「完全に誘惑されてしまったよ、俺は。おそらく嘘の言葉だろうけどそれは悔しいところだな」


 テオリスの言葉に俺は言葉を乗せる。


 自分への反省の意味もある。

 俺としてもなんとか反省して、次はないようにしたいけど。

 でも、気持ちを強く持つ以外にまともそうな対策もないって言うのも事実。


「あら、聖菜がタイプって言うのも、あなたの赤ちゃんが欲しいって言うのも、心からの言葉なのよ。私は中にいたから分かるの」


「え? そ、それでも俺は乗せられないからな……」


 胸が高鳴るも、俺はその言葉に反論する。


 あと今更だけど、淫気も少し和らいだ感じだ。

 割と頭がぼうっとしないし、思考も出来る感じ。

 これはダンジョンクリアしたおかげかも。


「で、聖菜を配下に加える? 加えないの?」


 突然の別の話題をテオリスから振られる。

 冒険者を倒したから、加えることは可能。


 それに対してはこう答えるしかない。


「そ、それは……加えるつもりはない!」


 俺からの拒否の意思。

 あんなことして俺を弱らせてきたんだ。

 また俺を弱くしそうな人は加えられない。


 アムリスも出てきて、視線をテオリスに向ける。


「そうよ、そうよ! 配下に加えたら照日を誘惑して奪うつもりでしょ!? そんな人を配下なんて!」


 強い口調でアムリスも反論。


 西堂さんと俺が触れる機会は極力減らしたい。

 ましてや配下にすれば機会が増えて誘惑してくるだろう。

 誘惑してまた俺の力を奪われることなんて、ごめん被る。


 テオリスはその言葉に笑って反応する。

 残念の表情もなく。


「そうなのね? じゃあ、サキュバスのまとめ役がいなくなって、そのうち外に出ていくかもしれないわよ。このダンジョンは決定戦の間ずっと残るから」


 ダンジョンが残るだって?。

 事実ならなんてことだ。


 はったりってことはないよな?

 聞けることは聞いておこう。


「それってどういうことだ?」


「このダンジョンはね。リーダーを倒しても消えないの。で、モンスターは増えていくダンジョン。最も、弱いモンスターは結界があってダンジョンの中にいるままだけどね」


 他のダンジョンは消えるのに、このダンジョンは残るってことか、厄介だな。

 モンスターが出て行けば町に被害が出るから、それも困ること。


 でも、残ってモンスターが増えるってことは、安定して倒せるモンスターを確保できる場所でもあるんだよな。

 レベルとか上げたい人にはここみたいなダンジョンが貴重か。


「弱いモンスターは……か」


 話の中で弱いモンスターの限定。

 引っかかるな。


「ただ、強かったら話は別。そのモンスターは外に出ていくことが可能。で、私がこのダンジョンのリーダーで、他のサキュバスとも話も付けやすい……言いたいことは分かる?」


 その引っ掛かりをテオリスが話す。


「つまり、配下に加えずサキュバスを町へと出すか、サキュバスを出さないよう配下に加える。これの選択ってことか」


「物分かりがよくて助かるわ」


 テオリスから二択の強制。


 こういう場合は二択にある問題を同時に潰せる選択をしたい。

 でも、それはなさそうだ。


「照日……どうするの?」


 アムリスからの問い。

 俺だって配下に加えたくはない。

 配下に加えなければ、強いサキュバスが出てくる。


 それがいつ出るかも分からないから、見張りも必要。

 かといって見張りがいても防げるか疑問。

 男だと対処も大変だろうし。


 だったら問題を制御しやすい方を選ぶしかない。


「分かった。配下に加える、テオリスと西堂さんを」


「ふふふ、よろしく。ご主人様って呼べばいいかしら?」


 決断に冗談を交えてテオリスは喜ぶ。

 対してアムリスは不満を表情に出す。


「ごめんよ、アムリス。こうするしかなさそうだし」


「いえ、謝らなくていいのよ、照日。配下に加えなければ大変になるから」


 アムリスは謝罪に対して、不満を押し留めて言葉を出す。

 やはり、こういう表情であるから、俺の方から謝りたい。


「でも、増えていくサキュバスを抑え込むなんて可能なのか? そっちの方で」


 一つ疑問を俺からテオリスに投げる。


「まあね。欲求不満なサキュバスは出てくるけど、そこは抑え込める。何せ、抑え込むふたも確保できているから」


「ふたか……そんなものがあるのか?」


 奥の通路へ歩いて、テオリスは手の先を通路へ向ける。


「フロアの奥にね、さらわれて絞られている男がいるのよ。さらわれたって言っても、本人たちは帰るつもりはないわよ」


「ああ、そういう訳か。欲求不満の解消相手がいると」


 男たちがダンジョンのふた代わりになると。


 しかし、さらわれた男たちは帰る気もないのか。

 気持ちはわかるし、無理に帰れとも言わないけど、それでいいのか。

 まあ、いてもらった方が俺も助かるんだけど。


「本人たちが帰りたいなら、聖菜が他を連れて来てってことも可能だから。ちなみに現在進行形で絞られている最中よ、見たい?」


「い……いい! そんな事のために来たんじゃないから」


「愛し合ったサキュバスと人間が子作りしている最中よ。見学したくない?」


「見ない! 見ないから!」


 そういう誘いに乗りたくはない、気になるけど。


 ふとアムリスを見る。

 納得はしている様子だが、複雑ではあった。


 そこで、テオリスが近づいてくる、アムリスの方へと。


「そう、困った顔しないでよ。ちょっといいかしら?」


 テオリスはアムリスの耳に口を近づけた。


 何かを話しているようだ。

 複雑な表情が少し赤い顔へと変わる。

 変わった後にアムリスはテオリスを見る。


 その後に俺へと視線を向けた。


「て、照日……配下に加えるのも悪くない……かもね」


 アムリスから同意のような言葉を聞く。

 納得はしてくれたのはいいけど、顔はこっちで視線だけは逸らして始めたのは気になる。


「ん? しっかり納得できたならいいけど、弱み握られているとかじゃないよな?」


「ち、違うの、弱みじゃないから! そこは大丈夫」


 そうは言うけどやはり気になる。

 ただ、探っても答えてくれそうにないので、後回しにするしかないか。


「まあ、ともかくこのダンジョンはこれで大丈夫そうだ。あとはダンジョンのアイテムを回収してってことだけど、そういえば佐波さんは大丈夫?」


 佐波さんの方も気になる。

 俺と同じように淫気を吸い続けたわけだから。


 彼女はふらついていたようで、俺の空気で何とか回復が出来た。

 ダンジョンを出ればいいけど、残っている空気もせっかくだから使いたい。


 あと、ダンジョンにもアイテムがあって回収も出来た。

 ちなみに奥の部屋だったので、テオリスに回収を任せる。

 俺があの部屋に行くのは忍びなかったし。


 回収できたアイテムはスキルの書二つ。

 これを使えばスキルが獲得でき、攻撃魔法詠唱短縮LV3のようだ。

 使うのは佐波さんとアムリスにか。

 それと、二つの特殊そうな剣だ、回収できたのは。


 これにてダンジョンの問題も解決して、俺達は帰還することとなる。

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