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7 誘惑から断ち切れるか

 西堂さんと俺の戦闘が始まる。

 動いたのは俺が先だ。


「先にこっちだ! 両者HP公開!」


 そう俺が言うとともに剣で突きを放ち、魔力を込める。

 イメージは槍。


 西堂さんはラケットを構えているだけで、特に攻撃をする様子もない。

 サキュバスの翼や尾は今は使わないのか、消したようである。


 槍は伸びていき、西堂さんは横に避ける。

 それを追うように結晶を伸ばす。

 速さは結晶精製の速度が速い。


 結晶が相手に届くと思ったが、そう簡単には行かない。


「まだまだ捕まらないわよ。私を捕まえるのはあなたを誘惑してから」


 相手はラケットを振るうと結晶に当てる。

 するとだ。

 俺の作った結晶は先から根本まで全て破損してしまった。


「な、なんだ!?」


 攻撃をつぶされて驚きの声。

 破壊された割には俺の手に力を感じなかったから、何かあるのか。

 これも彼女の持っているスキルのおかげか。


 ともかく、今は後回しだ。

 耐久力も公開したし、それをひとまず見よう。


 視線を向けると、西堂さんの耐久力は3350、それとLVは23だ。

 LV差は俺の方があるし、力の差という点は俺が有利。

 当然、油断はできないが。


「次は私からよ、水魔法、フロストボール」


 そう言って西堂さんは足元に魔法陣を出す。

 手元に現れるは1M未満の白い球。

 その球目がけてラケットを振るうと、三つの白い球に分かれて飛んで行く。

 三つとも俺の方向ではなく、分散していくようにだ。


 あの球に当たると冷気で身動きが取れそうにないかもしれない。

 だが、厄介なのはそっちではない。


「……」


 俺は無言で見ていた。

 西堂さんのスカートをだ。


 激しく動くのだから、下半身に目を奪われてしまう。

 ふと、めくれたスカートの中はどんな光景があるのか。

 無意識に期待していた俺がいた。


(照日! 何ぼっとしているのよ!)


 アムリスからの喝。

 そうだ、なんで俺はスカートなんかに。


 俺は顔を横に振って、気持ちを整理した。

 玉を避けないと。


 白い球は俺の斜め前から来ていた。

 その球を後方に下がって避ける。

 すると、白い球が当たった床は白く凍結させられていた。


 間違いなく、俺に当たれば自由を奪われる。


「それと、私からの気持ちよくなれる贈り物」


 西堂さんは投げキスをすると、手に桃色のハートが出てくる。

 それを下げてからラケットで弾いた。


 あれに当たりたくはない。

 一気に劣勢になるだろうし。


 俺は十分に距離をとる。

 その後に剣に魔力を込める。

 今度は大きな塊ではなく、何個かの結晶に分けて。


「一つ潰されるなら、分けてしまえば!」


 まずは試しにだ。

 俺は結晶の一つだけを粘着化させる。

 そして、相手にその結晶を飛ばした。


 粘着化した結晶はハートに当たり、落ちる。

 残りの結晶は相手の方だ。


 対して西堂さんは避けるそぶりをいったん見せてから、立ち止まる。

 逃げ切れると踏んだが、無理と考えてか。

 相手は一つの結晶に向けてラケットを振って弾く。


「ああん!」


 西堂さんに当たった結晶は三つ。

 攻撃を受けて後ろによろけた。


 どうも潰せる攻撃は一つだけらしい。

 というよりも、弾ける攻撃は、か。

 先ほどの結晶は跳ね返したという感じだし。


 これで相手の耐久力は2400。

 次からはもっと結晶の数を増やしていけそうだ。


「突破口は見えた! 一気に攻め込んでいく!」


 俺は魔力を込めて結晶を作る。

 今度の数は十だ。


「やだあ……焦られたりしたら」


 西堂さんは下を向きつつ呟く。


「西堂さんに恨みはないけど、急ぎたいんだ!」


「君にできる初めてのサービスするしかないじゃない」


 俺の言葉に対して西堂さんはスカートの横を両手でめくる。

 そして、ゆっくりとその手を真下に下げる。


 突然の行動に俺の動きは止まっていた。

 行動の理由が分からない。

 だが、妙な期待もあったのかもしれない。


 スカートの中から現れたのは白い下着。

 おそらくテニスではく見えてもいい下着だろう、それを脱いでいたのだ。


 その光景に俺の攻撃は止まってしまった。


 見えてもいい下着を脱いだということは今スカートの中は見られると困る下着。

 それとも、何もはいてない状態か。


 じゃあ、それで動き回れば、どうだ。

 スカートがめくれて中の光景が見えるんじゃないか。

 俺が攻撃を緩めれば見える機会があるんじゃないか。


 その想像にいつの間にか俺の頭はいっぱいであった。


 だが、ここで乗せられそうなことに気づく。

 いや、ダメだ、乗せられては。

 攻撃を、攻撃をするんだ。


「と、ともかくだ。俺は攻める! 攻略の糸口はあるんだからな!」


 俺は言い聞かせるように剣を振るって結晶を飛ばす。

 十個の結晶にも事前に粘着化を念じてだ。

 方向は相手に全てを集中させて。


 西堂さんは何もする様子もなかった。

 弾くつもりか。

 でも、それではすべてを弾けないはずだ。


 すると、西堂さんは手を前にかざす。

 十個の結晶が当たる直前まで来ていた。

 なのに別の手に唇を触れている余裕まであった。


「水魔法、フロストボール」


 魔法陣が出て、西堂さんの手の前に白い球が現れる。

 それもいくつかの結晶を包むようにだ。

 集中もさせていたため、後から飛んで行く結晶も白い球に吸い込まれていった。


 俺の投げた結晶はあの白い球に全て包まれている。

 攻撃もこれで防がれてということ。


「あ、しまっ……」


「行くわよ、それっ!」


 白い球を上に移動させて、西堂さんは上に飛ぶ。

 そしてラケットを振り下ろして、球に当てた。

 球から出てくるのは凍った俺の結晶十個と四つの白い玉。


 結晶の粘着化も解除されていて、俺の遠隔操作も効かない。

 それと、一つでも当たれば拘束されるはずだ。

 やることは決まっていた。


 のだが。


「あ……」


 俺はただ西堂さんを見ていただけだった。

 落下していく相手のスカートに目が無意識に行っていたから。


 今のスカートはほぼ真上にまくれていて、下着を隠す役目が果たされていない。

 それなのに、ふとももと体の向きがうまい具合に合わさって、下着が俺の位置から見えなかった。

 だが、尻の丸みと綺麗な太もも、それは俺の目を奪うに十分。

 むしろ、それがいいかとも思えるほどに。


 逃げるか防ぐだけのこと、それが出来なかった。


(照日! 壁で防いで、魔法でもいいから!)


 アムリスからの指示。

 そうだ、まずは防がないと。

 壁だ、壁を作ろう。


 呆けている間に白い結晶や球はそこまで来ていた。


 俺は床に剣の先を置いて、魔力を注ぐ。

 イメージは俺を覆う直方体の壁だ。

 結晶はすぐに壁として精製されて、俺の前にはばかる。


 結果として、相手の白い球と結晶は精製した壁で防ぐことが出来た。

 数までは分からないが、とにかく、これでここまで届くことはない。


「危なかった……」


 俺は一息を付いた。

 戦いは終わってないが、これで一難は去ったのだから。

 次は壁を払って、攻撃に行こう。


 そう思っていた時だ。


 ふと、俺の横から白い球が浮遊していた。

 もう壁も取り払おうとしていた時に。


 更に分かったことがある。

 白い球は一部欠けていて、そこには別の色が見えていたこと。

 その形を思い浮かべると、ハートに近い。


(照日! 避け……)


 アムリスからの指示。

 だが、白い部分が完全に取れて桃色のハートが俺に向かってくる。

 それも避けられないくらいの速さで。


 そういえば、さっき大きな球を弾いた時に西堂さんの唇にも手が触れていたな。

 あの時に紛れて仕込んだものか。

 やられた。


 俺は悪あがきとして避けようとするも、最終的にハートに当たってしまう。

 小さくなったハートが散る。


 そして俺の視界は急に桃色が濃くなった。


「あ、ああ……なんてことを……」


 俺の心臓が高鳴り、頭に熱が生まれる。

 ハートにだけは当たってはいけなかった。

 なのに結果的に当たってしまう。


 当たってしまえば次に起こるのは。


「私の愛、伝わったみたいね。嬉しい」


 西堂さんの言葉。

 声からしてすぐ近くにいるのは分かる。


「くっ、来るな……」


 拒絶の言葉と同時に剣を振ろうとする。

 しかし、振ろうとする力も全くでなかった。


 抵抗の一つもしないといけない。

 だが、その力はどこかひっかかるように出なかった。

 これからのことを期待してなのかは分からない。


「大丈夫よ、まだ吸わないから。まだ、君の愛を引き出せてないから」


「な、なんだ……俺は聖堂さんを愛しては」


 俺の言葉のすぐあと、西堂さんは俺の首の後ろを両手で掴む。

 周りの視界は朧げ。

 だが、彼女の浮かべる笑顔ははっきりと見える。


「し・つ・れ・い」


 俺の首に力を入れて、西堂さんは飛び上がる。

 上昇する姿も見えて、膝も上向きだった。

 上昇も止まって、俺の前にある光景が見える。


 彼女は脚をVの形であげていた。

 そうするとスカートの中だって下着を隠せずにめくれてしまう。

 その腰の部分が今俺の視界の前で停止していた。


 そうだ、俺は西堂さんの下着が覆う股間を真正面で見ていたのだ。


「んむ!?」


 下着が俺の顔の前で密着する。

 同時にふとももも俺の方に重みをかけて、顔を柔らかく包んでいった。


「君の見たかった私の下着で誘惑するの。それで愛を引き出すわけなの」


 股間を覆う紫色の下着。

 俺の目の前にはそれだけしか見えなかった。

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