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7 試練の相手

俺は試練の相手としてまさかの人、マーシナルライオンと出会った。


「そうだ、君の町のご当地ヒーロー、マーシナルライオンだ」


この言葉と共にマーシナルさんはポーズをとる。

そのポーズも遠くから見ていた時に見せたものと全く同じ。

間違いなく、マーシナルさんである。


「それは分かりましたけど……なんであなたがここに?」


「それは簡単だ。私も冒険者だからだ。最も他とは違った冒険者ではあるが」


「他とは違う……そうだ、優勝候補ってまだ四人としか戦ってないんだ。もしかして、その優勝候補がマーシナルさんでは?」


ここで俺は優勝候補の存在を思い出す。

倒した相手は幸前、レックス、一応だが大波先生、早乙女の四人しかいない。

それを考えるに、もう一人がマーシナルさんだと考えられる。


「そうだ。が、80点の解答だ。私は優勝候補でもあり、王に成る道の門番でもある」


「そうだったのですか。俺とアムリスの名前も知っているから違和感がありましたが、それだったら腑に落ちます」


「門番でもあって、町に出て来たモンスターから守る存在でもあったのだが、今回の騒動の規模があまりにも凄かったのでな。私でも対処できないものだったから、あの時の君には感謝だ」


門番についてをマーシナルさんは語る。

彼は後ろからモンスターに気付かなければ、あの時の騒動で町を守りきれたとはいいがたい。

これだけを見ればあまり脅威ではないとも感じれる。


ただ、俺の中ではどうしても違和感があった。


「……門番ですか。きっと俺でも簡単には勝てないですよね?」


「そうだ、確かに私はスキルはない、数多くのモンスターを相手にできない。それでも門番としてこの場に立てることは忘れないでほしい。これでも私は前回大会の準優勝で、アムリス君の父親から私は門番を託されたのだから」


その言葉と共にマーシナルさんはアムリスへと視線を移す。


「パパとも知り合いなんだ……私、知らなかった」


「天川君の世界に来たのもアムリス君が生まれる前だからな。だから、知らなくて当然だ。最も、私はアムリス君の国の人間という訳でもないが」


「そうなんだ……」


アムリスの納得と共にマーシナルさんは俺へと再度視線を向ける。


「で、私がここに来たのは試練を受けるかどうかの意思確認のため。聞く必要はないかもだが、天川君に聞いておきたい」


マーシナルさんからの確認。

ここまで来て、俺の言葉はこれしかない。


「当然、受けます。俺に託した人だっていますし、俺を王として待っている人だって」


「分かった。では、また改めてこの闘技場に来てくれ。この場の整備もあるからな」


「分かりました」


その言葉の後にマーシナルさんは背を向けて、移動を始める。

メイルオンさんも同様に整備のために戻るよう指示もあって、俺もまたこの場を去った。




そして、俺は再び控室へと戻って、待機し始めた。

部屋には俺とアムリスだけだ。


「そういえば、ヴェルナとの戦いで魔導書も貰ったでしょ? あれの存在は覚えているわよね、照日」


アムリスは一回りして、確認する。


「ああ、使う機会がなかったけど、覚えているよ。アムリスに覚えてもらった、強大魔法クエイクウエイブだろ?」


「そうよ、なかなかサポートの機会がないけど、すごい魔法だから頼りにしてよ」


アムリスからの言葉。

クエイクウエイブも一度確認のために発動済みだ。

どんなことになるかも分かっている、その効果とリスクもだ。


「大魔法の名があるからな。でも、魔力の消費も凄そうだよな」


「うん。私だったら戦闘中に一回しか使えないし、詠唱も時間がかかるけど、消費相応の期待はしてね」


「分かった。もしかすると頼りにするかもしれないから……あれ、ノックか?」


俺は会話の最中にドアからのノックの音を聞く。

ドアへと向かって開けると、そこにいたのは幸前だった。


「やあ、天川君。用があってここに来たよ」


幸前は手を上げて挨拶をする。


「幸前か」


「このトーナメントではスキルの回収ができなかったけど、君には僕のスキルを渡しておきたくて」


その幸前の言葉に驚き、その間に俺の部屋へと入ってくる。

まさか、ここでスキルが手に入るとは思わなかった。


「え? いいのか?」


「ああ、こうして僕のスキルがあればきっと頼れるだろうし、僕のスキルが君にあれば、少しだけ僕も王に成ったと思えるからね」


「ああ、それもそうだな」


「これは僕の、それとフェリアの自己満足でもあるけど、ぜひ受け取ってほしい」


幸前はこの言葉と共に黄色の結晶を渡す。


「これが幸前のスキルってことか」


「ああ、この世界に来る前にギルドで僕のスキルを結晶にしてね。それを握って回収を念じれば、僕のスキルが回収できる」


「この世界に来る前にか……ってことは、その時から俺に渡すつもりだと言えるか?」


「そうなるね。でも気にすることはないさ」


あそこまで言った幸前なのだから、俺が悪いと思うのは逆に幸前に悪いこと。

だが、それとは別に気掛かりになったこともあった。


「まあそれもそうなんだけど、だったら俺も幸前と同じように事前にスキルを渡せるようにしておけばなって。俺も幸前が王に成るのは問題がなかったから」


幸前のギルドとは違えど、ガンワークであればスキルの結晶を作ることも可能だったはず。

惜しいことをしたと今になって後悔が出てきた。


「なるほど。でも結果的にそれはいらないことになったからね。さて、今の内にスキルを貰ってほしい」


「分かった。これを握って……」


俺は聞いた通りの手順を言葉に出しつつ、踏む。

そしてスキル回収を念じた。


<幸前さんのスキルを回収するわよ。いいわよね?>


俺の脳裏にアムリスのシステムボイスが響く。

問題がないと念じる。


<じゃあ、回収するわよ。結晶を握ったままでいてね>


そのシステムボイスの後に結晶が黄色く光った。

結晶から力が流れ込んできた。

おそらくは、幸前のスキルと魔法。


せっかくなので、ステータスオープンも念じたほうがいい。

出てきたウインドウを覗くと、幸前もまた同じく覗く。


「うん、ちゃんと入ってきているようだね。僕の薄膜化も光源化も、魔法混合化も回収できている」


「そうだな。もしかして魔法混合化でアークスラッシュをやったのか?」


「そういうことだ。今回の戦いでは使う暇もなかったけど、これから十分活躍させてほしい」


「分かった。ありがたく使わせてもらう」


増えていくスキルと魔法を見つつ、俺は礼を言う。

同時に俺の使っていた魔法も強いLVの物に置き換わっていく。

幸前の使っていた魔法は俺よりもLVが高かったようだ。


「じゃあ、僕からも簡単にスキルの解説をしておこう。使い方が分からなくて、使えないようでは困るだろうし」


「ああ、ありがとう」


「それと、今はフェリアも待たせているからね。実はちょっと離れた通路で立って待っているんだ」


「なんだ、もしかして問題解決の途中だったりとかか?」


「察しの通りでね。待たせると怒られるかもしれないので、悪いけど簡単に説明するよ」


幸前からの肯定の言葉。

フェリアも待っているようでは時間をかけて説明してもらうのは確かに悪い。


それから俺は幸前からスキルの説明を聞く。

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