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4 有利の状況は一瞬で

 俺はフェリアも倒して、幸前から盾を奪うことに成功した。

 その盾は今、俺の傍で浮いているシュンが持っている。


「てるちゃん、この盾どうする? 借りパク路線で行く?」


 シュンからの疑問。

 その答えはすでに考えていた。


「いや、俺が持っていても奪われるかもしれないからな、シュン。この盾は……こうする」


 俺は盾に触れて粘着化し、真上の天井へと飛ばして貼り付けた。

 盾自体が粘着化されていて、幸前が手を出せば、手の自由を奪われる。


「ははーなるほどー」


「シュンは下がっていてくれ、何かあったら引っ張ってくるから。」


 俺がまとわせた空気を操作しシュンを遠ざけて、アムリスは俺の中へと入ってくる。


 そして忘れてはいけない、幸前を。

 会話の中で幸前が下から突っ込んできた。

 瞬間、斬撃を放ってきて、俺は防ぐ。


「足の空気がここまで厄介だなんて……放置した僕の考えが甘かったか……」


 通過して壁に足を付けた幸前は失敗を呟いた。

 その失敗のおかげでここまで大きく有利になれたので、助かったのだが。

 最も、一瞬の油断で大きくひっくり返るのも分かるので、気は抜けない。


「粘着化したものを取り除くのは難しいからな、対抗手段は少ないさ。それと再度、霊降下もさせておこう」


「だが、僕はまだまだ負けてはいない。土魔法、ストーンエッジ」


 幸前が魔法を唱えると、前方に三つの鋭い岩が出る。

 それもアムリスが唱えられるストーンエッジよりも数倍大きい岩で、俺に向かって飛んでくる。

 何かのスキルで出来る芸当なのだろう。


「さっきから魔法の一つ一つがでかいな、今まで見たことない大きさだよ」


 向かってきた岩に対して拳を向けると同時に反射化を念じる。

 岩は真逆の方へと向かっていくが、別の岩から幸前が姿を見せて俺へと突撃してきた。

 幸前からの斬撃を剣でいなすと、俺を通り過ぎる。


 霊降下も効果が出ていて、幸前の後ろに霊が憑りついている。

 霊を弾き飛ばした盾も今は上なので、取り除く手段はない。


 その中で、ガティークからの視線を感じる。


「てるやん! 盾もなんとか呼び出せる!」


「そうか、幸前の攻撃は厄介だからな。ガティーク、すぐ頼む!」


「じゃあ、いくぞ……いでよ、ガティークシールド!」


 ガティークが魔法を唱えると、目の前に光が集まり、大きな盾へと形成される。

 縦と横の幅は一般家庭のテーブルと同じくらいか。

 ガティークが消えると、盾が俺の前へと移動してくる。


 その後に幸前からの突撃が来た。

 しかし、幸前の前へと盾が阻んでいき、斬撃を数回受けるも壊れる様子もなかった。


「自動で防いでくれる盾、これで俺もさらに有利になれる」


 俺は盾の感想を話しつつ、幸前へと結晶の刃での斬撃を四回放つ。

 彼は避けるすべもなく斬撃を受けてしまった。


「くっ……でも、僕だって呼んだんだ。忘れてないかい? ヴェルターさんを」


 幸前から名の出たヴェルター。

 彼女もまたガティークと同様に時間のかかる魔法を出そうとしていた。

 それもおそらくそろそろ出るだろうが。


「忘れてないさ、ただ手が出せなかっただけで」


「そうかい? 敢えて手を出せなかっただけじゃないかい?」


「それもあるかもしれないが、それは幸前もだろ?」


 手を出して、ヴェルターの攻撃を阻むべきだったかもしれない。

 だが、それはガティークの意思にそぐわないだろうし、できれば意志をくみ取りたい。

 攻撃の手を出しにくかった気持ちもわずかにある。


 その気持ちが幸前にもありそうな様子も見受けられた。


「どうだろうね? では、ヴェルターさんからの攻撃が出せると宣言しよう。それと土魔法、ストーンエッジ」


 幸前の言葉の後に俺はヴェルターへと目を移す。

 彼女は大きな剣を魔法陣から出していた。

 長さは3Mはあると見える。


 その剣と鋭利な岩が俺へと急速で向かってきた。

 縦が先に岩を防いで砕いた後に、向かってくる剣にもぶつかっていく。

 剣と盾、それらが一歩も引かずに摩擦のような音を出し合っていた。


 幸前もその光景を黙って見てはいない。

 俺へと再度突撃していた。


「このままの状況で押して、勝ちたいところだな。それと、両者HP公……」


「おっと、まだ見せてない僕のスキルを見てほしい。幕を作るスキルなんだ」


 俺の言葉に割って入るように、幸前は手を横に動かす。

 すると、黒い幕が現れて俺を包み始める。

 速い行動の上に不意を突くような行動。

 剣と剣がぶつかって俺の剣も動かせなかったことで、斬撃で対処できなかった。


「な、そんなスキルも……!」


 黒い幕が俺の顔を覆い、視界を黒で染める。

 しかし幕自体も軽く、幸前も離れて剣の自由が効いている状態。

 すぐに俺は切って、さえぎる幕を退けた。


「忠告をしておこう、ヴェルターさんの剣は切れ味が素晴らしくて、受ける覚悟をした方がいいと」


 幸前は離れた壁に足を付けて、忠告をしていた。

 一瞬、言葉の意味が分からなかった。

 まるで俺が攻撃を受けることの予測をできていたかのようで。


 しかし、それもすぐにわかる。

 ガティークシールドが縦にひびが入っていて、すぐにでも割られることを。

 避けないといけない。


「トルーハさん、あの剣を避けな……あ……」


 俺は指示を出そうとするもトルーハさんの姿に驚く。

 彼の頭にも幕がかかって、取り除こうと四苦八苦していた。

 あの時、俺だけでなくトルーハさんにも幕をかけた事が分かる。


「さて、僕も攻撃するか。炎魔法、フレイムスネイク」


 幸前からもフレイムスネイクを唱えてくる。

 その数と大きさは先程と同じ。

 更には魔法の剣も飛んできて、俺は剣と魔法を同時に防ぐ必要が出てきた。


「ならば、これだ。水魔法、アクアスプラッシュ」


 俺は剣に魔力を込めて、結晶のドームを精製する。

 トルーハさんも覆うような大きさで、水もまとったドームを。


 ドームに剣が刺さり、炎が当たる。

 その剣もさらに奥へと進んでいき、俺へと届くまでの時間もほとんどない。

 更には周りも炎が数多く当たって、ひびが入っていた。

 俺は魔力を注いでドームの厚みを進行形で増しているが、それでも追いつかない。


「よ、ようやく取れた……って、状況がかなりまずくないか?」


 かなり遅かったが、トルーハさんも幕を退くことが出来た。


「取ってあげればよかったですけどね! もうそれどころじゃないんですよ!」


「魔法も魔法だし、逃げられそうにないか……」


 トルーハさんは周りを見て残念の言葉を出す。

 そんな中で剣が完全にドームを突き破ってきた。

 避けるより、防御しかない。


「くっ……もう一度結晶での防御を……」


 俺はもう一度新たなドームを貼って防御しようとする。

 だが、その結晶のドームを簡単に切られて意味をなさなかった。

 同時に俺とトルーハさんはは剣の斬撃に巻き込まれてしまう。


 更には水をまとったドームも壊れてしまい、フレイムスネイクの一つも俺へと向かってくる。

 斬撃を受けて防御も出来ない。

 炎が向かってきたが、それも避けれず当たってしまう。

 俺の体に炎が走った。


「ぐ、が……」


(照日!)


 俺からの苦痛の声にアムリスが声を上げる。

 攻撃を受けて俺もトルーハさんも落下を始めた。


 ふと、幸前の方が気になった。

 視線を向けると、炎の一つも向かってきていて、その後ろで俺に向かって彼は突撃してきた。

 俺への追撃のつもりだろう。

 だが、まだできることだって俺にあるはずだ。


「まだ、だ……」


 俺は先に当たってくる炎に対して、拳を当てて反射化を念じる。

 炎は足場もない幸前へと向かっていく。

 この状況で炎を避けることは出来ない。


 結果的に俺とトルーハさんは斬撃と炎を受け、幸前は反射した炎を受けて宙を落下していった。

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