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3 自然治癒へのもう一つの対処

「くそ、やっぱりダメか。このスキルは無効化できない……」


 俺は苦言を呟く。

 今は急性衰弱スキルを無効化しているところだが、うまくいっていない。


 厳密には無効化は成功しているが、その後すぐに発揮する。

 自然治癒は働いているが、それ以上の強さの耐久力減少スキルがあって、耐久力が自然に減っている。


 このスキルは不味い。

 今の俺の耐久力は23000/24500だ。


「ふふふ、天川君を倒せばジャクソン様の祈願、決定戦をめちゃくちゃにすることが達成できますわね」


 早乙女が浮きながら語る。

 俺から離れた位置へと移動したジャクソンに。


 あの二人はそんな目的のためにやっていたのか。


「だな。あいつを倒せばさらにLVが上がって、ギルドの連中や王様へも反逆できる」


「でも、他の男女から血を吸うのはダメですよ、ジャクソン様。私以外の血を吸うなんて許されることではないですから」


「それは何度も聞いた。んな真似はしないからよ」


「それと、予定はなかったですけど、天川君の血は急に欲しくなりました。勝利の締めは天川君の血で祝杯を挙げることにします」


 会話をしつつ早乙女はジャクソンの方へと寄っていく。

 戦闘中なのに無駄話とは余裕な物だ。


 この時間で回復しようか。

 アクアヒールは消されたわけではないから、使用可能だ。


「ところで、いつもの無駄話は良くないだろ? 相手は優勝候補だ」


「ああ、いけない。私の忠誠のせいで時間をつぶしてしまって、申し訳ありません。それでは早速」


 早乙女は杖をアイテムボックスから出して、俺を見る。


 流石にアクアヒールまでは待ってくれないか。

 この回復は詠唱時間の短縮が適用されないから、大きな隙を狙ってやるしかない。


 杖で空を突くと、早乙女の周りに四つの黒い円が現れる。

 その円から黒いモンスターが総勢四体出てくる。

 先ほどさらっていたモンスターと色も似ていて、どうもあのモンスターで自身をさらわせたと理解できる。


 モンスターは翼の生えた人型が四体。

 それらがジャクソンと共に俺へと向かってきた。


「来たか。ならば、両者HP公開」


 俺は剣を構えて念じると、俺と早乙女に耐久力とLVが表示される。

 相手の方はLV250で耐久力が29000だ。

 レベル差はあれどそれはよくあること。


 しかし、今回は見るからに早乙女が援護タイプ。

 今までは冒険者が直接戦闘を仕掛けるタイプが多かったが、今回は違った戦いだ。


「敵が増えそうなら俺も加勢するよ」


 トルーハさんの申し出。


「助かります、トルーハさん」


 俺は礼を言って、ジャクソンの方へと結晶の刃を伸ばす。

 戦っている相手はジャクソンと早乙女、それとあの四体のモンスターだけではない。

 他のところからモンスターの加勢が来る可能性だってあるからだ。

 長期戦は覚悟して、同時にモンスターの加勢も考慮しないといけない。


「やってくれるじゃねえか!」


 ジャクソンは俺の刃をかわしてから、手に握った黒いオーラを俺へと放つ。

 当たって変なスキルが付く可能性がある。

 なので、俺はそれをかわした。


「やってくれたのはどっちだ? 散々お前が街への被害を出しておいて、どれだけ人に危害を加えて……」


 俺は反論を返す。


 にしても今回の敵、それにこんなに苛立ちを覚えるのは久しぶりだ。

 かつてのフェリア以来か。

 かと言って、あの時ほどの苛立ちに比べると一歩二歩劣るかもしれない。


 その後にジャクソンはマントに包まる。

 瞬間、俺の横へと黒い渦が出てきて、ジャクソンの拳が飛んでくる。


「んなこと俺が知るか! 俺の目的は決定戦をめちゃめちゃにすること、被害がどれだけ出たって俺は別に困りはしないんだよ!」


「ったく……自己中な冒険者は多かったが、それもここまで来るとはな、呆れるよ」


 俺はジャクソンの拳をかわして、言葉も返す。


 傍ら、トルーハさんは二つの青く光る珠を出して、飛んできた黒いモンスター二体を迎撃した。

 攻撃を受けて、黒いモンスターは光になる。


 その後にもう一回ジャクソンはマントの裏の黒地から鋭利なとげの数々を俺へ伸ばした。


「勝手に呆れていろよ。呆れているところで潰してやるからよ。それにもう一つおまけに言っておく」


「何だ?」


 俺はその針をかわした。


「てめーは初対面だが、今まで会った中で一番気に入らねえ」


「そうかい。俺もお前が普通に気に入らないが、今までの冒険者と同じように勝たせてもらう」


 ジャクソンからの挑発と考えて俺は冷静に言葉を返す。

 怒りに飲まれていつもの自分を見失うのは良くない。


(照日! あのピンクがまたモンスターを出そうとしているわよ! 今度は六体も来そう!)


 アムリスの言葉。

 早乙女の方を見ると、黒い円が今度は六体も出ていた。

 この調子でモンスターを増やされると、数で押し潰されるかもしれない。


 向かっている二体のモンスターもいる。

 それはトルーハさんが白い光の球を当てて、光になった。

 彼だっていつ対処できる限度が来るか分からない。


「だったらこっちも数を増やそう。まだあの人がいるんだから」


 俺は呟きつつ、召喚する人を思い浮かべる。


(あの人? 狐燐さんね。あの人だったら……)


 ガティークさんに頼むことも可能だが、頼れるのは短時間だけ。

 シュンやミュサもいるけど、そちらは佐波さん達を任せたい。


 指輪も光始めて、足元に魔法陣が出てくる。

 召喚はしばらくこちらに残る方。

 その陣から狐燐さんが出てきた。


 ジャクソンもそんなことをしている俺へマントの裏から黒い針を伸ばそうとする。


「すまない、狐燐さん。人手が欲しいから急に呼ばせてもらいました」


 マントから延びた針の攻撃を剣で防ぎつつ、俺は謝った。

 急な上にトルーハさんの上という狭い土台だ。

 戦場としてはとてもいい代物とは言えない。


「いえ、こういう状況もあり得ると思って待機していました」


 そう言って、狐燐さんは剣を持った俺へと瞬時に化ける。

 俺は針を弾いた。


「では、トルーハさんと共に周りのモンスターの露払いをお願いします。俺はあの男に専念しますので」


「分かりました。その御役、引き受けます」


 狐燐さんがそう言ったと同時に、俺は結晶も精製して、その結晶を狐燐さんの剣へと渡す。

 黒い円から出たモンスターも俺へとすでに向かっていた。


 そして、俺の耐久力は23000から20000へと変化していた。

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