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第34話 ツンとデレの比率の好みは人によって様々である


従妹である穂乃佳にMPを削られまくってダウンしてかれこれ数十分が経つがー


「…はははは……」


ー俺は未だにMPを回復させる事ができず、ソファーでウジウジしていた。


何とか気力を振り絞り、桐生達に「誘っておいて悪いが、今日は急用ができて遊べなくなった」とメールだけは送ったが。


多分、急に親父から「実は冬夢は捨て子で俺が拾ってきたんだ」と告白されてもここまでショックは受けないだろう。


別に昔のように俺の事を「お兄ちゃん」と呼んで、慕って欲しいとまでは言わない。

いや…本当の事を言うと「お兄ちゃん」って呼んで欲しいし、慕っても欲しい。

でもまあ、そこは我慢しよう。妥協しよう。

実際、俺と穂乃佳は従兄妹の関係であって兄妹の関係ではないからな。


しかし…穂乃佳さん。責めて1人の人間として扱っては貰えませんかね? 贅沢は言いませんから。


俺だって立派…かどうかは微妙ですが、人間なんです。

2本足で立ちますし、言葉も話します。火だって使えちゃうんですよ?



などと非常に残念な事を考えているとー


「……アンタ何やってんの?」


ー穂乃佳がリビングに入ってきた。

もちろん俺を見る目には侮蔑がこもっている。



ああ……血も涙もない人ってこういう人の事をいうんだな。

いっその事、Mに目覚めてしまおうか。

そうしたら、どんなに冷たく接されても快感しか感じなくってーーって、落ち着け俺。何を考えているんだ。変態の道へ向かうにはまだ早すぎるだろ。


と、おかしな事を考える俺。

どこか精神やられてきているのかもしれない。



「まあいいや。アンタが何をしてようとアタシには関係のないことだし。気持ち悪い行動をとっていたら見なければいいことだし。アタシ、なるべくアンタが視界に入らないように努めるけど、やっぱりアンタの協力がないと完全にアンタを視界から消すのは難しいんだよね。だからさ、アンタもアタシの視界に入らないように気をつけてね」


「……はい…」



再びソファーに倒れこむ俺。


さっき穂乃佳は俺の事を人間扱いしていないとか言ったが……前言撤回。

穂乃佳は俺の事、人間扱いしてくれてます。

だって…犬とか豚とかだったらもう少しマシな扱いしてくれますもん。存在否定なんてされませんもん。


ああ…和と響が恋しい。何だかんだで優しかった2人が恋しいよぉ。

和&響 カムバーーック! 早く帰ってきて、このボロボロなった俺の心を癒して!


しかし、当然そんな叫びも麗奈家にいる2人には届かない訳で。


俺は渋々、ソファーに埋めていた顔をあげる。

そこにはやはり俺を冷め切った目で見つめる穂乃佳がーー


「あれ……」


ーーいなかった。



「うーん…お母さんの言ってた、ここら辺では結構有名なショッピングモール…歩いていける距離なのかな?」


玄関からそんな穂乃佳の声が聞こえてくる。


どうやら前に和や響と買い物(生活必需品を買う為にだ)に行った、あのショッピングモールに行こうとしているらしい。

この辺で有名なショッピングモールと言えばそこしかない。


俺はソファーから立ち上がる。

穂乃佳が外出するのであれば、俺もついて行かなくちゃならない。


昌繁さんに言われたのだ。

「娘がどこか外出するときは、悪いけど一緒について行って欲しいんだ。万が一の事があったら、取り返しがつかないからね」と。


昔の俺なら「万が一だなんて、そんな事は起きる訳がない。心配のし過ぎですよ、昌繁さん」などと言っていたかもしれないが、今は違う。

ミス アビゲイルの自作自演だったとはいえ、響が襲われそうになる…なんて事があったからな。

そりゃあ意識は変わるさ。


慌てて玄関に出ると、穂乃佳はちょうど靴を履いているところだった。


「穂乃佳、今からショッピングモールに行くんだろ?」


「何アンタ。まさかついて来る気? そういうのマジやめてくんない? キモいし迷惑だから」


「…いや……昌繁さんにそう頼まれーーって穂乃佳⁈」


俺の話を一切聞かず、外に出て行く穂乃佳。


「……マジかよ。俺、まだ何の用意もしてないのに…」


俺はダッシュで2階にある自分の部屋に向かった。



穂乃佳がショッピングモールに着く前に追いつかないと…。


あそこは広いからな……ショッピングモールに穂乃佳が入ってしまえば、ほぼ確実に一緒になる事は不可能である。

普通なら携帯で連絡を取り合う事ができるが、俺は穂乃佳の電話番号もアドレスも知らない。

昌繁さんに聞けば教えてくれるかもしれないが、電話やメールをしたところで無視されるのがオチだ。

俺だってそのぐらいはわかる。


「はぁ〜……もしかしたらこの3日間で精神崩壊してしまうかもしれないな…」


過去最高のスピードで外に出る用意を済ませた俺は、穂乃佳を追いかける為に家を飛び出すのであった。







「あれ……おかしいな…」


俺はショッピングモールの入り口で周りを見渡す。


ここまで自転車で飛ばして来たのだが、穂乃佳とすれ違う事はなかった。

俺の家からショッピングモールへ行く道は1つしかないんだけどな…。


いや待てよ……同じ道を通りながらも俺とすれ違う事なく行く方法があるじゃないか!


「ったく…穂乃佳のヤツ、バスに乗ったな?」


俺の家のすぐ近くにバス停があるのだ。

しかもそのバスはこのショッピングモールの前に止まるのだ。

バスの行き先表示にも「ショッピングモール経由〜○○行き」とわざわざご親切に書いてある。


穂乃佳が家から出た時、たまたまバス停にバスが止まっていたんだろうな。

そして行き先表示にショッピングモールの名前が入ってるのを見た穂乃佳はそのバスに乗った。


これなら俺が自転車を飛ばしてもすれ違う訳がない。

ショッピングモールまで、バスなら5分で着くからな。



「……ここで晩ご飯の買い物済ませようと思ったんだけどな。穂乃佳を探すか」


俺はショッピングモールへと入って行った。






「でも…やっぱりそう簡単には見つからないよな」


穂乃佳が行きそうな所ー例えば服屋であったりとか、アクセサリーショップであったりだとかーを重点的に探してはいるものの、全く見つける事ができない。


穂乃佳が一点にずっと留まってくれていたら、そこまで見つけるのには苦労しないのだが…。

まあ、そんな事はあり得ない訳で。



「かれこれ30分以上は探してるし…一旦休憩がてら本屋にでも行くかな。今日発売の買いたいマンガもあるし」


穂乃佳探しを断念する俺。

仕方ない事だ。今日はGWでいつも以上に人が多い。



「ねぇ〜パパ〜あれ買ってよ〜」


「我慢するんだ。この前、別のを買ってあげたばかりだろ?」


「あれ、クラスのみ〜んな持ってるんだよ〜? 持ってないの僕だけなんだよ〜?」


こんな家族連れもいるしー



「タッちゃん、あそこのパスタ屋さんがとっても美味しいんだって。お昼ご飯、あそこで食べよ?」


「多分、昼頃になったら物凄い人が並んですぐには食べられないだろうから…今から食べようか?」


「うん! タッちゃん大好き!」


「俺も好きだよ。あーみん」


こんなカップルがいたりもする。くそっ…羨ましい。



「おいそこのお前、今俺の事睨んでただろ?」


「は? 何でアンタなんか睨まなきゃいけないの? そういう変な言いがかりをつけて絡んでくる奴って、マジでキモいんだけど。やめてくんない?」


「キ、キモい? この俺がキモい? 調子にのんじゃねーぞ! このボケが!」


「そうだ! お前の方がキモいんだよ!」


「そんなアホなことしてるから、いつまで経っても彼女の1人もできないんじゃないの? とっとと帰って自分の残念っぷりを反省したらどう?」


「このヤロー! 減らず口をたたきやがって! もう我慢ならねー!」


「そんな口を利いた事を後悔させてやるよ!」


「ちょ! ちょっと! やめてよ!」


2人の男に引っ張られて、どこかに連れて行かれる女の子もいる。


………って…


「あれ、穂乃佳じゃないか!」


おいおい…何やってくれてるんだよ穂乃佳。


俺は思わず天を仰いだ。


昌繁さん…あなたの心配していた万が一な事態が起こってしまいました。


そんな普通ではあり得ない緊急事態に直面しながらも、俺の心はとても落ち着いていた。


前に響が襲われそうになっているところを助けた事があるからな。

慣れたというか要領をつかんだというか…どう言い表せばいいかはわからないが、とにかく前の俺みたいにパニックってはいない。


それにしても…穂乃佳の姿が昔のー俺の家にやってくる前の響の姿にかぶって見えてしまう。

どうしてだろう? 同じような状況下にあるからかもしれないが…それだけじゃないような気がする。


「何が似てるんだ? ………あ! そうか」


答えは思いのほか、あっさりと出た。


あの誰にも助けを求めようとしない姿が昔の響に似ているのだ。


ここはショッピングモール。人がたくさんいる。

大声で助けを求めればすぐにあの男達は取り押さえられるはずだ。なのにどうして助けを求めないんだ?


多分…怖すぎて声が出ないのだろう。

あんなに口の悪い穂乃佳ではあるが、あいつはまだ中3になったばかりの女の子なのだ。

あんな男達に絡まれたら怖いに違いない。


そう考えると穂乃佳の事がとても愛おしく思え、必ず助けてやろうという気になった。



「ついでに…後でサングラスでも買ってやろう。あの目つきの悪さを隠す為に。トンボみたいなでっかいやつをさ。穂乃佳なら似合いそうだ」


俺はこっそり穂乃佳と2人の男の後をつけていった。







「あいつら…どこまで行くんだ?」


俺は3人の後をつけながら呟く。


3人はショッピングモールの1階に来ていた。

ちなみに穂乃佳が捕まった場所は4階である。


適当に近くの物陰にでも隠れるのかな? などと最初は思っていたが、どうやらそうではなさそうだ。



…もしかして車か?

あの2人、どこからどう見ても20代前半だし…だとしたらヤバイ。車に連れ込まれたら終わりだ。

早く助けないと!


でもどうやって助ける?

響の時とは違って、2人とも結構ゴツい。まあ、流石にミス アビゲイルには遠く及ばないが。

だから前みたいに不意をついて体当たりしても、すぐに囲まれてしまうだろう。

さて…どうしたものか?


って…そんなに考え込んでいる暇はないよな。

とにかく行動だ!


「あの〜すいません」


俺は後ろから男達に声をかける。もちろん笑顔は忘れない。


「ああ?」


「誰だお前?」


物凄くウザそうな目で見られても笑顔を忘れない。

穂乃佳にさんざんウザがられてるからな。このぐらい全然平気である。


穂乃佳も男達にならい俺の方を向く。


「なっ……」


俺がここにいる事がそんなにおかしいのだろうか。

穂乃佳は目を丸くして絶句した。


そんな穂乃佳の反応を見て、男のうちの1人が俺に尋ねる。


「おいお前、こいつと知り合いなのか?」


「ええまあ。俺とそいつは彼氏彼女の関係なんですよ。そいつ、おっちょこちょいでして…俺が少し目を離した隙にどっか行ってしまって…いや〜見つかってよかった」


そう言って、俺は男達の間に割り込み穂乃佳の手を取る。


「はぁ? アンタ何意味わかんなーーむぐぐっ⁈」


俺は穂乃佳の口をふさぎながら、男達に何度も頭を下げる。


「すいません。こいつ、口が物凄く悪いんですよ。不快な思いをされましたよね? 本当にすいませんでした」


俺は顔を上げ、トドメとばかりに今日1番の笑顔を男達に見せる。


「それでは俺達はこれで失礼しますね」


俺は穂乃佳の手をそのまま引っ張って(もちろん口をふさいでいた手は外してある)その場を早歩きで後にする。

横で穂乃佳が何かわめいているが無視だ。



ふう〜…救出成功ーー


「おい! 待てコラ!」


「何勝手にどっか行こうとしてんだよ!」


ーーでは流石になかったみたいだ。


後ろを振り返って見ると、男達は走ってこっちに向かって来ていた。


「これはヤバイな。穂乃佳、走るぞ」


「はあ? アタシ、ヒールはいてるから無理なんですけど」


「ヒール?」


穂乃佳の足元を見てみると、確かにヒールをはいていた。


何でこんな切羽詰まった状況なのに、穂乃佳はこんなに焦ってないいんだよ!

俺は内心焦りまくりなのに。


若干、穂乃佳の態度にイラつきながらも、俺はしゃがみ背中を穂乃佳の方に向ける。


「ほらよ」


「はぁ? 何よこれ?」


「見てわからないのか? おんぶだよ、おんぶ!」


「バカじゃないの? おんぶなんてー」


「うるせえ! さっさとおんぶされろ! 自分のおかれてる状況がわかってんのか! ふざけるのもいい加減にしろ!」


苛立ちが募りに募って、ついつい強い口調になってしまう俺。


「チッ…」


舌打ちしながらも俺の背中に体を預けてくる穂乃佳。


俺は立ち上がり、ショッピングモールから飛び出すのであった。








「くそっ…どこ行きやがった…」


「この辺に隠れたと思うんだけどな…」


俺と穂乃佳は今、ショッピングモールの駐車場でとある車の陰に隠れて男達の様子をうかがっている。

流石に料理部員の脚力では男達を巻く事ができなかったのだ。


「どうすんのよこれ。アンタがこの状況にしたんだからアンタがどうにかしなさいよね。このままじゃ身動ききとれないじゃん」


「……仕方がない……本当は使いたくないんだが……最終兵器、使うか」


俺はその先に起こりうるであろう光景を想像し、げんなりしながらも携帯を取り出す。


「携帯? それのどこが最終兵器なの?」


「まあ黙って見てろ」


そう言って俺はとある人物に電話をかける。



「あ〜もしもし? 今、大丈夫ですか? ……え? 全然問題ない? それは良かったです。実はですね俺、今2人組の変な輩に追いかけ回されてるところなんですよ。それで力をお借りできないかなぁ、と思いまして。……え? 場所ですか? 駅前のショッピングモールです。……はい。よろしくお願いします」


俺は携帯をしまい、ため息をつく。



「ついにやってしまった……」


「なに? 誰と電話してたの?」


「え〜っと…知り合いと言うかなんと言うか…」


「まあいいわ。アンタの知り合いの事なんてどうでもいいし。それよりこれ以上近づかないでくれる? 気持ち悪いから」


「……ごめんなさーー」


穂乃佳に対して謝罪をしかけた、まさにその時ー



「冬夢ちゃんをいじめる腐った野郎はどこのどいつだぁぁぁぁぁっ!!!」


駐車場に野太い声が響き渡る。


予想を遥かに超える到着時間に驚きつつも、俺は車の陰から顔を出し男達を指差して言った。


「ミス アビゲイル! こいつらです!」


そんな俺の声に反応したミス アビゲイルの目は男達を確実にロックオンした。

いつものおネェ言葉じゃない為、物凄く怖い。


ああ…名も知らぬ男達よ…ご愁傷様です。



「貴様らかぁぁぁっ!!! アタシの冬夢ちゃんに手をだしたのはぁぁぁっ!!!」


「ひいっ」


「何なんだよお前はっ⁈」


ミス アビゲイルから溢れ出る危険なオーラを感じ取ったのか、男達は逃げ出そうとする。


しかし、残念な事にもう逃げられないのだ。

1度ミス アビゲイルに目をつけられたら。


「今から貴様らにはお仕置きをしてやるからなぁぁぁっ!!!!!!」


一気に男達と距離を詰めたミス アビゲイルはあろう事か、2人を片腕に1人ずつーちょうど、お神輿を担ぐかのように担いだのだ。

男達が必死に抵抗するも、ゴリゴリマッチョなミス アビゲイルはびくともしない。


もう…見た目といいやる事といい…相変わらずめちゃくちゃな方だよ。


そんな男達を担ぎ上げたまま、ミス アビゲイルはこっちに向かってきた。


「ありがとうございます。ミス アビゲイル」


俺はミス アビゲイルに頭を下げる。

横にいる穂乃佳は完全にフリーズしてしまっている。


まあ、それもそうだ。

俺も最初見た時は呆然としてしまったからな。


「このぐらいお安い御用よ。それよりそっちの子は誰なの?」


「俺の従妹の穂乃佳です」


「……」


目で穂乃佳にミス アビゲイルに挨拶をするように促すも、やっぱり完全無視。

何回もされてる事ではあるが、一向に慣れないな、これは。


悲しくなって深くため息をついた俺と俺の事を冷たい目で睨んでいる穂乃佳を交互に見つめ、ミス アビゲイルは楽しそうに笑った。



「冬夢ちゃんも色々と苦労してるみたいね。後でアドバイスメールを送っておくわ。この女心を極めたアタシのアドバイスよ。間違いはないわ」


「はぁ……」


曖昧に頷く俺。

イマイチ信憑性に欠けるよなぁ…その発言。

でもアドバイスはとってもありがたい訳で…。後でしっかり読み込んでおこう。



「じゃアタシは失礼するわね。最後に……冬夢ちゃん、愛してるわ~♡」




とんでもない事を大声で叫びながら、バチンと風が起きそうな程にゴツいウインクをした後、担ぎ上げた男達と共に帰って行くミス アビゲイル。

そんな事を大声で叫ばないで下さいよ。周りの人の目線が物凄く痛いです。特に穂乃佳の目線がよく刺さる。



それにしても…この後、ミス アビゲイルはあの男達にどんなお仕置きをするんだろうか?

………うん。だいたいわかるけど、想像するのはやめよう。

俺があっちの世界を知るには早すぎる。



「ねえ…あれ…アンタとどういう関係なの? まさかアンタあっち系? 冗談抜きでキモい」


いつの間にか俺から2mぐらい離れた穂乃佳が俺に聞いてくる。


「いや。ややこしい関係であるのは事実だが、決して穂乃佳が想像しているような関係ではないからな!」


「じゃあどういう関係なの? はっきりと言いなよ」


「え~っと…」


言えない。「あの人は俺の同居人の上司で神様なんです」だなんて言える訳がない。



「……やっぱり説明できないような関係なの? マジありえない。5m以上アタシに近づかないでよね。ただでさえ人間の最底辺を這って生きてるような感じだったのに……もう完全に人間失格ね。このゴミ!」


俺の事をぼろっカスに言った後、どこかへと歩き始める穂乃佳。

俺は木っ端微塵に砕けた心を直す暇もなく、穂乃佳の後を慌てて追う。


「ちょ、どこ行くんだよ?」


「はあ? 家に帰る以外、何があるの? 後、5m以上近づかないでって言ったでしょ? 人の言う事も聞けないの?」


「はい……すいませんでした…」


完全に心が修復不可能となり、がっくりと膝をつく俺。

早く……早く和達5人のメイド服が見たい。

あれが今見れたら、MP全回復なのに……ああくそっ! 写真を1枚も撮らず気絶した俺が憎いっ! もし願いが叶うのならばもう一度、あの5人のメイド姿を崇めーー



「♪〜♫~♪」


クリー○ハイプの左耳が俺のズボンポケットから聞こえてくる。

慌てて家を飛び出したもんだから、うっかりマナーモードにするのを忘れてしまっていた。


「ミス アビゲイルからメールか…もうお仕置き終わったのか?」


そんな事を呟きながら携帯を取り出す。

そしてミス アビゲイルのメールを読んだ後、俺は思わず「ありえない!」と叫んでいた。

なぜならーー


『あの2人にお仕置きする前に、冬夢ちゃんにアドバイスメールを送っておくわ。

あの冬夢ちゃんの従妹だっていうほのかちゃんだけど……あれはただかまって欲しいだけなのよ。

冬夢ちゃんの事、物凄く嫌ってるように見えるかもしれないけど、実はそうじゃないのよ。

あれはアピール。かまって欲しいっていうね。

素直じゃないからああいうキツイアピールになっちゃってるけど、本当は甘えたいんだわ。

アタシには正確にはわからないけど、あの子、まだ中学生でしょ?

中学生っていったらまだまだ甘えたい年頃よ。

冬夢ちゃん、ほのかちゃんの事、響ちゃんの時みたいに助けてあげたんでしょ?

顔や口には出さなかったかもしれないけど、内心とっても嬉しかったはずだわ。

もしかしたらデレデレなほのかちゃんが見れるかもしれないわよ? この幸せ者~』


ーーと書いてあったからだ。



俺はがっくりと肩を落としつつ携帯をしまい、5m以上穂乃佳に近づかないように気をつけながら家へと向かうのであった。


後々、ミス アビゲイルの言った通りになる事も知らずに。





吾妻 深千流(以下深)「深千流と」


吾妻 弥千流(以下弥)「弥千流の」


深・弥「かみるーらじお!」


深「こんにちは。鳳凰学園高校3年、放送部部長をやらせて頂いている吾妻 深千流です」


弥「はろ~! 鳳凰学園高校2年の吾妻 弥千流だよ~。ちなみに、わたしは放送部副部長やらせて貰ってま~す」


深「“かみるーらじお!”とはもっと読者様に“神√”を知って頂きたい! という思いから生まれたラジオです」


弥「ゲストを呼んでフリートークをしたり、リスナーの皆からのお便りを読んだり、質問に答えたりしちゃうよ~」


深「さて“第34話 ツンとデレの比率の好みは人によって様々である”いかがでしたでしょうか?」


弥「今回は結構展開が早かったね〜。その分いつもより文字数も多いけど…」


深「3話で頑張って終わらせようと詰め込んだみたいですけど……どうやら3話には収まり切らないようですね」


弥「まあ、一部の人には大人気のアビゲイルもでてきたしいいんじゃないの〜?」


深「ミス アビゲイルさんの魅力って何なんでしょうね? 私、いまだにわからないんですが…」


弥「それは同感。あのオカマ+ゴリゴリという暑苦しいキャラのどこがいいんだろうね〜。もしかして、読者のみんなの中にゲイがー」


深「こら! 弥千流! 読者の皆様に失礼でしょ!」


弥「でもそれ以外に考えられる? お姉ちゃん?」


深「それは……」


弥「でしょ? だからいっその事、神√の路線をラブコメからBLに……」


深「それは流石にとんでもない事になりそうですから無理です」


弥「だよね〜。という訳で、意味不明なグダグダトークが終わったところで質問コーナーにいってみよー!」


深「今回はペンネーム“戮月天祢”さんからの質問です。『深千流さん弥千流さん。ヒロイン達の家族構成を教えて下さい。お願いします』との事です」


弥「そういう事はこの情報通のわたしに任せなさい!」


深「ではまず、美都ちゃんからですね」


弥「これはお姉ちゃんでもわかるよね〜。付き合い長いし」


深「ええ。美都ちゃんは一人っ子ですよね」


弥「そうそう。ちっちゃい頃からずっとお姉ちゃんみたいな姉が欲しい〜って言ってたよね〜」


深「確かによく言ってましたね。悠里さんはもう読者の皆様もご存知ですよね」


弥「だよね〜。中2の弟である秀明君がいるよね〜。この前、かみるーらじお! にもでてきて貰ったし、神√本編にも出てきてるしね〜」


深「麗奈さんはどうなんですか?」


弥「えーっと…れいなりんは……美都ちゃんと同じく一人っ子だね〜。水沢一族は代々、長女でああれ長男であれ一番最初に生まれた子供に後を継がせる決まりがあるんだって〜。で、1人産んだらそれ以上は産んではならないっていう決まりもあるらしいよ〜。あそこの家、大きな会社やってるしね〜」


深「まさにお金持ち…って感じですね」


弥「続いてなごみんは……歳の差がだいぶ離れたお兄ちゃんがいるみたいだね」


深「お兄ちゃんですか?」


弥「そうそう。お兄ちゃん。ちなみに歳は23歳。物凄いエリートらしくて、トントン拍子で出世中なんだってさ。また、病的なシスコンで結構有名らしいよ。今は仕事で忙しいから大丈夫だけど、休みの時にはもしかしたら一ノ瀬の家に押しかけてくる…なんて事もあるかもね〜」


深「響さんはどうなんですか?」


弥「ひびきんは……見た目がそっくりのこれまた歳の差が結構ある妹さんがいるみたい。ちなみに歳は11歳ね」


深「見た目とかは似てるんですか?」


弥「ここに資料がないから何ともいえないけど……噂によるとそっくりらしいよ。ただ、性格はひびきんと真逆で物凄い人見知りするんだって〜」


深「なるほど……よくわかりましが…弥千流、一ついいですか?」


弥「何? お姉ちゃん?」


深「そんな情報……どこから仕入れてくるんですか? 美都さんや麗奈さん、それに悠里さんの情報ならまだわかりますが……和さんや響さんの情報はどこから?」


弥「う〜ん……それは企業秘密かな〜? でも確かな筋からの情報だからデタラメじゃないよ〜。安心して〜」


深「問題はそこじゃないんですよ……弥千流。……本当はもっと問い詰めたいところですが、今日は報告があるので諦めましょう。

ほら、弥千流報告をよろしくお願いします」


弥「はいは〜い。前回話していた神√キャラによるブログが完成したよ〜。その名も『唐揚げLOVERS ~唐揚げ好きの唐揚げ好きによる唐揚げ好きの為のブログ~』だよ〜。基本的に毎日更新予定だから、よかったら見てね〜」


深「小説ページの下や作者のページにリンクがありますのでそこからどうぞ」


弥「じゃあ報告も終わったところで、しめにいこうか。お姉ちゃん。」


深「“神√”を読んでいて疑問に思った事や、このキャラとこんなトークをして欲しいという要望があれば、感想やメッセージ、活動報告のコメント欄からお知らせ下さい。また、誤字脱字や矛盾点などがありましたら、ご報告よろしくお願いします。他にも感想や評価、レビューなどもお待ちしております」


弥「キャラ人気投票も継続中だからね〜。皆のお便り待ってるよ~」

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