うるさいひとたち
「ダミアンとフェリル嬢を呼びなさい」
ザイオンとの会談の後、僕が事のあらましをおふたりに説明すると、国王陛下が出した静かな命令に宰相が弾かれたように飛んでいき、そしてすぐにダミアン・マーデリック公爵とフェリル・マーデリック、それから公爵家のあの背の高い執事、あとなぜかイレネー様がやってきた。
「ダ」
「誠に申し訳ございません!!!!」
「ダミア」
「フェリルー!!お前も頭を下げろ!! 下げろとかいう問題じゃない、もう埋まるか?? 城の基盤としてお父さんと仲良く地底で生きていこう」
「ごほん、ダミアン・マー」
「さすがにこの床は壊せないと思うけど、やってみたらいいかな、お父さん」
「この馬鹿ーー!! なんて素直なの!!そういう所アリエルにそっくり!!」
「…………城は壊さないでくれるか……」
「も、もちろんですとも!!」
「フェリル様、旦那様は大抵頭がおかしいのであまり真に受けなくても良いのですよ」
「まあ、それもそうか」
「え、フェリル? 嘘でしょ?」
「まあまあ、お父様」
「うるさい!! 誰がお父様じゃこのクソガキ!!……あ、間違えましたイレネー殿下」
「あっはっは、変わらないですね」
……やってきた、と思ったら途端にこの喧騒だ。
誰がうるさいとか誰が何を言ってるとか全然頭に入ってこない。……なんなんだこの人たちは。状況がわかっているのか分かっていないのか。
ヒヤヒヤしている僕が馬鹿みたいじゃないか。
まあ、主にうるさいのは王弟であるダミアン・マーデリック公爵で涙とあれは……は、鼻水?鼻水を?? 頭のおかし……げふん、少々風変わりな叔父だとは思っていたが、王の実弟であり公爵ともあろうお方が鼻水と涙でぐしゃぐしゃの顔で玉座の前にうずくまっている。
……国王陛下(実父)と似た顔形でそんな顔やめてくれないだろうか……。精神的にくるものがあるのだけれど……。国王陛下もドン引きじゃないか。やめて差し上げなさい。
対して、頭を無理やり抑えられて床にガンガンぶつけられているフェリル嬢は大丈夫なのだろうかと、一瞬心配もしたが、ケロリとしたなんとも思ってなさそうな顔で的はずれなことばかり言っているから心配するだけ無駄なのだろう。
「もう!! 全く!!反省してるのかお前は!! どうするんだよ!! 色々と……顔か! 顔がいけないのか!無駄に整ったこの顔が!!」
「旦那様、恐れながらそれは旦那様にも該当することかと」
「え、なにそれ、私がイケメンってこと? まあそりゃそうだがな」
「はい、旦那様。まさにそういう所が残念でなりません」
「確かに」
頭を床にめり込ませながらうんうん、と頷くフェリル・マーデリックの異様さといったら……。マーデリック公爵はもう……言わずもがなだし、執事の変な落ち着きようとあしらい方で、ああ、これがこの人たちの普通なんだ……と納得する。
イレネー様はハハハと声を上げて笑うばかりだし、国王陛下は頭を抱えて「ふふ、この脳筋と阿呆連中どうにかならないのかな。北のはずれの離宮にそれとなく幽閉してしまおうかな」…………ん? ちょっと待ってくれ、今の一体誰の声だ……?
声の聞こえた方に顔を向けると、微笑を浮かべたジェラルド様と目が合った。
「なに? どうしたの?」
「…………いえ、」
…………幻聴か。
兎にも角にも僕は胃が痛いです……。
「ええい……! 宰相!! ティティーの鐘を!!」
「は、こちらに」
キリキリと疼く胃を抑えたところで国王陛下ががばりと立ち上がりそう叫んだ。
ティティーの鐘?? 聞いたことの無い単語に顔を上げると赤の天鵞絨がしかれた小さな台に金色の小さな鐘が置いてあった。
「あれが、噂に聞く……」
「ジェラルド様、ご存知なのですか?」
小さく頷いたジェラルド様はそれ以上何も言わず真っ直ぐ陛下が小さな鐘を鳴らすのを見ていた。
そして、小さな小さな鐘の音が響いたのだったーーーー。
いつもありがとうございます!!
今回はうるささしかないですね、公爵家が揃うとカオスですね( ´ ` )この国大丈夫か……??
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