表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

  *ティノとフィオのこと。


◆二人は兄弟?



 これはティノとフィオが誕生してから二日目のこと。

 朝起きたら頭の横にティノとフィオがいた。


「レンおはよう」

「レンおはよー」

「ティノ、フィオ、おはよう。二人とも早いな? ……ちゃんと(ねむ)れた?」

「うん。バッチリだよー!」

「そうか。ならよかった」


 フィオが元気いっぱいに答える。

 起きるのが早すぎないかと思ったが、きちんと(ねむ)れたのならよかった。


「さて、レンも起きたことだし……」

「あ、そうだね!」


 ……ん? なんだ? 何かあるのか?

 首を傾げると、ティノがクスリと笑った。


「おはようのちゅー、していい?」

「あ、あぁ。いいぞ?」


 内心で“うわあああああ”ってなる。

 “おはようのちゅー”のやめ時がわからない。そしてドンドン対象が増えていく。

 ……あー、でも、うん。諦めが肝心だな。朝はみんなとおはようのちゅーをするのはもうウチでの習慣だ。

 二日目にして早くもウチの習慣に馴染んだ二人からの“おはようのちゅー”を両頬で受けた。お返しに二人の小さな頬にキスを贈ると、クスクス笑っていた。かわいすぎる。

 二人の可愛さに悶えていると、フィオがティノの頬に手を添えた。


「ティノ兄さんにもちゅー」

「ありがとうフィオ。ふふ、お返し」


 小さな妖精さんが互いのほっぺたにキスを贈りあう光景は、とてもほのぼのするのだが、何か今聞き捨てのならない単語が混ざっていたぞ?

 そういえば、ティノとフィオはよく似た顔立ちをしている。


「……えっと、二人は兄弟なのか?」

「んーん。違うけど、ティノ兄さんは近い存在だから兄さんって呼んでるんだ」

「そうなのか」

「まぁ人間でいう兄弟のようなものと思っていいよ」


 ティノが穏やかに答えた。

 ……兄弟のような近い存在って、どういうことだろうな?

 疑問はまだ解決していないが、あまり突っ込んで訊いて嫌われたら悲しい。

 無理に聞き出すことはせず、これからゆっくりと知っていこうと思う。

 俺は朝食の準備をするために着替えることにした。



*…*…*…*…*…*


◆二人の性別は?



「なぁ、二人は性別ってどっちなんだ?」


 ティノもフィオも外見は中性的なので、男の子にも女の子にも見える。どっちなんだろう。気になる。

 そんな俺の疑問を聞き、ティノが口を開く。


「ふふふ。ねぇ、レン。僕らは花から生まれたんだけど、花の性別ってどっちだかわかる?」

「え?」


 花の性別?

 花にはあまり詳しくないが、性別、ってか花にはおしべとめしべが……てまさか。

 恐る恐るティノを見上げると、ティノはにっこり笑った。


 まさか!?


 緊張の一瞬。

 俺が口を開く前に、フィオがズイッと眼前にやってきた。


「正解はどちらにもなれる、でしたー!」

「へ?」


 気の抜けた返事をする俺に、ティノが説明をしてくれる。


「僕ら妖精に性別はないんだよ。これはね、種を残すためだと言われている。昔は男女に性別が別れていたらしいんだけど、乱獲されて凄く数が減ったみたいだね。男女で番うのが大変になったので、性別を無くしてどちらにもなれるようになったらしいよ。絶滅しないための進化だったらしいけど、結局さらに貴重だってことで乱獲されたみたいだね」

「そ、そうなの……か」


 さらりと言われたが……り、理由が重すぎる。

 気軽に訊いてしまって気を悪くしていないだろうか。

 そっと二人を(うかが)うが、にこにこ笑っていた。

 ……大丈夫そうだな。

 ティノとフィオに悟られないようにホッとしたところで、二人に突撃された。


「うわっ!」

「あはは。レンったら凄く可愛いー!」

「本当にね。レンがみんなに好かれてるの、わかるなぁ」

「はぁ? 何言ってんだよ?」


 両手でティノとフィオを顔から引き離すと、今度は肩に座ってクスクス笑われる。しかし意味がわからん。

 ……てか、首筋くすぐったいから!

 クスクス笑われると、首筋に微妙な震動がしてくすぐったい。もう一度二人を引き剥がそうとするが、余計に面白がって張り付かれてしまった。


 ちょ、ホント勘弁して!


お待たせしてすみませんでした。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ