第1,389話「女傑3人㉑」
「お前達のしつこい探索、追跡も……ここで終了じゃ! ひぃひひひひひひひぃ!」
おぞましい容姿のノーライフキングは、歯の全くない口で、再び嫌らしく笑った。
並みの戦士、魔法使いならば、ノーライフキングを前にして、臆し、足がすくむだろう。
しかし、テオドラを始め、ウッラ、マルコシアス、ケルベロスは平然としている。
「そうですか? 貴方が生前は高位の魔法使いか、僧侶なのか、素性は全く知りませんが……」
「ひひひひひひひ! 生前の名前などとうの昔に忘れたわい。ワシは今や、名もなきノーライフキングと言ったであろう」
「まあ、名前など何でも構いません。全く興味がありませんから。それより、貴方こそ、あくなき知識の追求をするのはもう終わりですよ」
テオドラの告げた事は尤もだ。
ノーライフキングの大部分が、高位の術者が果てしなき知識を追求するがゆえに、
人間の生きる時間では足りないと感じ、自身を永遠の時の中で存在する、
不死者化した者だからだ。
そして不死者化すると、人間的な事象・物事に一切興味を示さなくなる事が多い。
テオドラの告げた言葉を聞き、ノーライフキングは肉が削げ落ち、骨に皮がへばりついた顔をゆがませ笑う。
「ひひひひひ、小娘が! 言うではないか。しかし、ワシがノーライフキングとなった理由とは、ガラクタの戦闘用自動人形……お前の言う通りじゃ」
「やはりですか? でも、そんな邪悪な姿で生きるのも、そろそろ飽きたでしょう?」
「ひいひひひひひ! それがな! 全然飽きぬ! お前達にドラゴンゾンビを倒され、もっと強い強力な不死者を造らねばと、闘志が湧いて止まらぬわ!」
すると、テオドラは初めて笑う。
「うふふふふ……あくなきなのは、知識の追求のみでなく、闘志もですか。私も、見習いたいものですね」
「ひひひひひひひ! おうおう見習え! そしてすぐ死ぬがよいわ! このあばずれども! そして野良犬めが!」
テオドラだけでなく、この場の全員に向けられた、
侮蔑とも言えるノーライフキングの嘲り。
「何だと! この腐れ干物が!」
「非力で脆弱な不死者の癖に……小賢しい」
ぐおおおおおお!
ウッラとマルコシアスが思わず身を乗り出し、ケルベロスが唸れば……
テオドラはさっと! 制止の手を真横に出した。
「大丈夫! マルガ様、ウッラ姉、そしてケルベロス。こんな奴は私ひとりで充分です」
テオドラは、きっぱり言い放ち、ずいっと、一歩二歩踏み出したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
テオドラが他の3者を止めたのを見て、
ノーライフキングは「意外だ」という、反応をする。
「ほう! 小娘のガラクタの戦闘用自動人形! お前ひとりでワシと戦うと言うのか?」
対して、テオドラは他者を制止したまま、口を開く。
「はい、そうですが」
テオドラの淡々とした肯定を聞き、ノーライフキングはシニカルに笑う。
「ひひひひひひひ! ワシも舐められたものよ!」
「いえ、舐めてるとか、そういう話ではありません。私はただ事実を述べています」
「……お前とのおしゃべりも飽きた! 死ねぃ!」
ノーライフキングは、そう言うと、両手を挙げ、いきなり特殊攻撃を仕掛けた。
あらゆる者を委縮させ、麻痺させる『戦慄の波動』である。
魔力をあまり使わず、詠唱も不要。
そして効果は、広範囲へ及ぶ。
瞬時に相手の自由を奪い、いたぶり殺すというのが、
ノーライフキングが最も好む戦法なのだ。
また、旋律の波動を何とか防いでも、動きが鈍くなった者へ、直接手を触れて麻痺させ、むごく殺す事も好んでいた。
「ひひひひひ! 小娘が! 恐怖におののけ! 身動きも最早出来まいて! どれ、じわじわと殺してやろう」
しかし!
テオドラは平気の平左。
更にずいっと足を踏み出す。
「勝ち誇っているようですが……何か、したのですか?」
「な!?」
「成る程。ノーライフキングが良く使う、戦慄の波動ですか」
「ぐ!!??」
「それならば、既にルウ様により対策が施されております。貴方と同じように、威圧や麻痺の精神攻撃、肉体攻撃、即死攻撃は、私には効果がありません。残念でしたね」
テオドラはそう言うと、振り返り、
「皆さん、大丈夫ですか?」
対して、ウッラ、マルコシアス、ケルベロスが応える。
「大丈夫だ。少しだけぴりっと来たがな」
「全然問題ない! 蚊が刺したほども感じぬ!」
わおおお~~んん!!
3人とも全く元気とばかりの反応。
「だ、そうです」
平然と言い放つテオドラは、また一歩、二歩と進んだ。
「く、くそ! 生意気な! なら! これでどうだ!」
大いに悔しがったノーライフキングは、急激に体内魔力を高めたのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!
《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》
(ホビージャパン様HJノベルス刊
宜しければ、第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。
HJノベルス様公式サイトでは試し読みが可能です。
お気軽にどうぞ!
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス刊)
既刊第1巻~5巻大好評発売中!
コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
またこちらの「Gファンタジー」様公式HP内にも特設サイトがあります。
コミカライズ版第1話の試し読みが出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版がご愛読可能です!
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
新作を公開しました。!
⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』
更に他作品のご紹介を。
⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』
⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》
⛤『気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!』《完結》
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》
他の作品もありますので、何卒宜しくお願い致します。




