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15.ダンジョン攻略!

「アイシャ、ダンジョンの気配は感じられるか?」


『近いわ。森の中に魔素が濃いポイントがある。今ならあなたも感じられるはずよ。……というか、私はあなたの魔獣知識の欠落の方が心配なのだけど。対処方法が強引すぎよ』


「う……」


 確かに冒険者ギルドの時は、そういった出現魔獣の情報はランドレースたちにしか流れていかなかったしな。

 冒険者でもない俺は、魔獣情報など手に入りにくかったからそこらの人よりも魔獣知識は確かに浅いのかもしれない。


 そんな時だった。 ポンッと優しい手つきで俺の肩を叩いてきた人物がいた。


「リックさん、ここに適任がいるじゃないですか」


 ディーナさんだった。

 ふふんと茶髪のポニーテールを左右にふりふり揺らしながらディーナさんは、自身の頭をトントンと叩きながら自信満々に言う。


「私の頭の中には、この地域周辺――いや、この国全ての魔獣情報を詰め込んでいます。今のリックさんのお役に立つには充分かと思いますよ」


「でぃ、ディーナ……さん?」


「何素っ頓狂な顔してるんですか。この前お別れの挨拶したリックさんで、合ってますか?」


「ま、まぁそうですけど……何も、聞いてこないんですね」


 俺がディーナさんの立場だったら聞きたいこと尽くしだったはずだ。

 あんな別れ方までして、唐突に出てきて魔法を使って敵をぶっ倒している現状なんてどう考えても怪しいことづくめだ。


「それはもちろん聞きたいことはたくさんありますけど」


 俺の思いとは裏腹にディーナさんは飄々とした様子で言って、後ろを振り向いた。


「あの村の方々を守るために、リックさんは闘っている。それだけ分かれば充分です。そうでしょう?」


 きょとんと、当たり前だとでも言うように問いかけてくるディーナさん。

 俺は拳をぐっと握りしめた。


「お願いします、ディーナさん。詳しいことは言えませんが、ダンジョン内ではディーナさんを絶対にお守りします。俺に力を貸してください!」


 そうと決まれば早速ダンジョン攻略だ!

 アイシャから伝えられているポイントはここからそう遠くはないし、俺の分身体も難なくその他の魔獣達を仕留めてくれている。

 いったんこの村への脅威は収まったってわけだ。

 後は元を叩いていくだけだ。


「最初から、頼ってもらえたらどれだけ嬉しかったご思ってるんでしょう……」


 ぼそりと呟いたディーナさんの言葉が俺に届くことはなかったものの、少しだけ頬を染めるディーナさんの表情は、ものすごく可愛らしく思えてしまった。


「この村を救いましょう、ディーナさん」


 俺の力強い言葉に、ディーナさんも「はい!」と力強いうなずきで返してくれたのだった。

 

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