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球技大会10-3(神崎朱音視点)

今回の話は神崎朱音視点になります。

私と雪はもう推薦で付属大学の合格が決まっているのですでに選択授業をとる必要がなく、週に2回は午前授業のみになっている。そのため、最近は雪のvtuberの作業のお手伝いで寮に行くことが増えた。


もう3時間くらい作業手伝ってるし、そろそろ休憩かな。


「飲み物取りに行ってくるね」


「私も行く~」



雪と一緒に部屋を出て寮の食堂にある冷蔵庫へお茶を取りに行くと丁度十川ちゃんが帰ってきた。


前は生徒会で頻繁に会っていたけど最近は行ってなかったから会うのはかなり久しぶりな気がする。



「おかえり、十川さん」

「久しぶり。十川ちゃん」


「うん。久しぶり朱音」


相変わらず十川ちゃんは学年関係なく下の名前で、呼び捨てだね。でも全然嫌な気がしないのは何でだろう。


「あれ。何か元気ない?」


「最近優の帰りが遅い」


「あー体育祭の準備と練習でしょ。毎回バスケとバレーは練習も本気でやってるところが多いから」


お茶を飲みながら雪が私達の話に入ってきた。私の前では当然だが、十川ちゃんの前でも素の声と口調で話している。まあ、十川ちゃんの目があれば雪の素なんてバレバレだし隠す意味はないっていうことかな。


「最近毎日女の子とイチャイチャしてる」


「え!?優ってそんなことしてるの?」


優ちゃんはそんな軽い男の子ではないと思うけど。もしかしたら十川ちゃんの勘違いかも知れないし一応ちゃんと聞いておこうかな。


「イチャイチャってどんなこと?」


「毎回女の子に触られてる」

「いかがわしい…優、最低ね」



「ちょっと待って。それってシュートフォームとかを直されているだけじゃないの?」


「そう」


「全然浮気じゃないじゃん」


私が呆れていると、雪が反発してきた。


「朱音、何言ってるの。完全に浮気じゃない。だよね、十川さん」

「うん」



「えっ。私がおかしいの?別に普通じゃない?」


「朱音がおかしいよ。彼氏が他の子にべたべた触られてるのよ」

「うん」



「女子校なんだから仕方がないじゃん」


「関係ないって。例え男同士でもダメよ。十川さんもそうでしょ」


「うん」


え、男同士でも駄目なの。雪も十川ちゃんも独占欲強すぎじゃない?


「雪が面倒くさいのは当然だけど十川ちゃんも意外と面倒くさいね」


「当然なの!?」

「雪と同じ…」


「十川さん!?」



「ただいま。あれ神崎さん、今日も遊びに来てたんですね」


「お、優ちゃん良いところに来たね」


「神崎さん、その優ちゃんって言うのやめてもらうことはできませんか?神崎さんは男って知ってるんですし」


「なんか男って知ってても優ちゃんって感じなのよね~」


「はあ、ならもういいです。そういえば良いところに来たって何の話ですか?なんか雪さんも神無も不機嫌そうですし」



「優が浮気したせい」

「優のせいで面倒くさいって言われた」


「え、浮気!?全く心当たりがないんだけど」


寝耳に水な話を聞かされ優は完全に混乱している。


「浮気じゃないから大丈夫よ。私が説明してあげる」


優に先程まで話していたことを説明すると、すぐに十川ちゃんの方を向いて弁明をする。まあ本当はそんなことする必要ないとは思うけどね。


「神無、別に何にもやましいことしてないよ」


「昨日、伊織にボディタッチされてた」

「うん、ステップのコツとか教えてもらってたからね」

「今日はバレーで皐月とかの手を握ってた」

「レシーブで飛び込んで起き上がる時に手を貸してもらっただけだよ」


流石、十川ちゃん。さっき帰ってきたばっかりなのにもう今日のバレーのことも目を見て理解している。まあそれも全然浮気ではないけどね。


「「有罪」」


「神崎さん助けて」


雪と十川ちゃんの見事なシンクロにより再び優ちゃんが助けを求めてきたので小声でアドバイスをする。


「もう、とりあえず謝ったら?」

「そうですね」


「ごめん、神無」


「「浮気認めた」」

「「面倒くさっ」」


今度は思わず私と優ちゃんでシンクロしてしまった。

結局そのあと10分ほどかけて説得してなんとか十川ちゃんに浮気じゃないと説明した。

些細なことも心配になるくらい十川ちゃんが優ちゃんのことを好きってことだよね。そんなにヤキモチを妬いてくれる彼女がいるってのは幸せなのかもね。まあ頑張って優ちゃん。


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