表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/119

文化祭編8-4(一ノ瀬麗視点)

投稿が遅れてしまい大変申し訳ありません。

今回も一ノ瀬麗視点となります。

天野さんから渡された物語は主人公が美女二人のどちらかを選ぶという話で、そこだけ見ると今の私達の状況に瓜二つの作品だった。

しかも、配役は書いていないがヒロイン二人は銀髪と黒髪の令嬢となっているから絶対十川先輩と私をイメージして作ってるよね。


読み進めていくと、多少ドロドロしているが面白い作品だった。

私はこういう作品が好きだし、この劇をやってもいいと思う。

しかもこれは十川先輩と一緒に告白するいいチャンスだと思う。


劇の前に告白して、返事は劇でもらうようにすれば逃げられなくなるし、告白を渋っていた十川先輩もこれなら頷いてくれるかもしれない。気まずいタイミングで呼び出されたが、この劇は私達にとってかなりありがたい。


少し読んで伊澤先輩が私達に意見を求めて来た。この劇をやりたくないから多数決で反対する気なのかな。

でもごめんなさい。私はやりたいし、この劇をありがたく利用させて貰いますね。


今まで、十川先輩に目を見られないようにしていたけど私から十川先輩の方を見る。



『この劇の何日か前に一緒に告白しましょうよ。それで返事は劇で貰いましょう』


これで伝わったよね?

まあ今さら十川先輩の能力を疑うまでも無いし大丈夫だろう。


十川先輩は当たり前のように私の考えていることを理解してくれて、首を縦にふった。


その後は私と十川先輩が賛成したので多数決でこの劇をやることが決定した。


この話だと伊澤先輩は当然男の格好で出ると思うけど男ばれは大丈夫なのかな?

男だと知っている天野先輩がこの台本を書いたんだからその辺りはしっかり対策してるとは思うけど。

でも天野さんは伊澤先輩が男としてモデルをやっているのは知らないからモデルの姿には被らないように、私が誘導してあげないとダメかも知れない。


あれ?そういえば、天野先輩が伊澤先輩のとこを男っていったけど神崎先輩も知っていたのか。


「男ってどういうこと?」


やっぱり神崎さんは知らなかったんだ。天野さんって完璧な生徒会長のイメージがあるけど意外と抜けているところがある気がする。突然ばらされて流石に今回は伊澤先輩は悪くないし、突然男ばれしてちょっと可哀想かな。


その後は観念したのか、神崎先輩に全てを話していた。

まあ神崎先輩なら、ばらさないだろうから大丈夫だろう。


とりあえず、その日は各自セリフを覚えて来るということになって解散となった。


その日に、ライソで十川先輩に告白する覚悟が決まったら連絡してくださいと送った。


数週間経ち、覚悟が決まったのかやっと告白すると連絡が来た。


よし、放課後に伊澤先輩達の教室に行こう。ちょっと恥ずかしいけど伊澤先輩が絶対に逃げられない教室が良いと思う。


放課後になりドキドキしながら教室に向かった。


「十川先輩、覚悟はできましたか?」

「うん」

「じゃあ、行きましょうか」


それだけ言って伊澤先輩の方へ向かって告白をした。


「伊澤先輩、好きです」「優、付き合って」


急に告白したせいで伊澤先輩だけでなく、教室全体が静かになってしまった。


静かなうちに逃げたほうがいいよね。

十川先輩も私と同じ事を思ったのか告白が終わりすぐに一緒に教室から出た。


「緊張しましたか?」

「全然」


顔が少し赤いし、全然というのは嘘じゃないかな。


「麗の方こそ真っ赤」


あれ?たしかに顔が熱い。

私は本当に緊張はしてなかったけど告白した後から恥ずかしさが押し寄せてきてしまっていた。

でも、人生で初めて告白したから仕方がない気がする。


「麗、可愛いね」

「う、うるさいです」


告白の話ではずっと私が優位を取っていたつもりだったのに最後の最後にからかわれてしまった。


「とにかく十川先輩、伊澤先輩がどちらを選んでも恨みっこ無しですよ」


あまりにも恥ずかしくて、これだけ言って別れようとしたら十川先輩はいつもは見せない優しい笑顔で「わかってるよ」と一言だけ言って早歩きで去って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ