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後輩6-8(一ノ瀬麗視点)

今回も一ノ瀬麗視点となります。

そこからはしばらく撮影が続き、残すは伊澤先輩との合わせだけになっていた。


伊澤先輩の案で二人の服を替えて2パターン撮るということになったけどこんなことだったら同じ服を2着用意しておくべきだった。私と伊澤先輩はそんなに体格差が無いので問題なく着れるが、それはそれで女として悔しいし、朝から撮影の準備をしてほぼ休み無しで動いていたせいで汗臭いかもしれないからかなり恥ずかしい。


しかも、伊澤先輩から受け取った服は香水の良い匂いがして、かなり負けた気がした。


しかも、こんな恥ずかしい思いをしたのに実際に撮ったらあんまりしっくり来ないし最悪だ。


そういえば、ジェンダーレス男子と女の子のカップルは服だけじゃなくて化粧品も共用で使ってる人達がいると聞いたことがある。それを試してみたらどうなるんだろう。


問題はどっちに合わせるかだけど絶対伊澤先輩の方に寄せたほうがいいんだよね。あくまでも今回は先輩のほうがメインだし。私は先輩みたいなメイクをしたことがないし、スタッフに頼むっていうのもちょっと違うものになりそうだよね。


伊澤先輩にやってもらうのが一番なんだけどそれだとスッピンを思いっきり見せることになるし、どうしようかな。

でも、ここで終わると良いものができないし、ここは恥ずかしがっている訳にはいかないよね。


先輩に化粧をして貰うために仕方がなくスッピンになると伊澤先輩がずっとこっちを見ている。一応スッピンも自信はあるけどやっぱり恥ずかしい。


それから暫く化粧をしてもらっているけどなんかやけに楽しそうに見える。なんかプラモデルを作ってる男の子みたいでちょっと可愛い。


伊澤先輩を見ていたらあっという間に私の化粧が完成した。


私と先輩は同じブルーベースだけど先輩はブルベ夏で私はブルベ冬だから先輩に化粧をしてもらっても私に似合う化粧はできないと思っていたけど完成度が高すぎてビックリした。

自分で言うのもなんだけどかなり美人だし似合っていると思う。


近藤さんからもべた褒めですぐに撮影が再開した。


そこからは順調に撮影がおわり、全ての写真が撮り終わった。

本来は、掲載まで1ヶ月くらいは日が空くが今回はモデル選びとかその他諸々で結構ギリギリになったから一週間後には今日撮影した写真がサイトに載る。


その宣伝も兼ねて、SNS用に先輩と写真撮っておこうかな。頼んだらあっさりオッケーしてくれたし、スタッフのいない控え室に入って二人で何枚か撮る。


「撮影の休憩中ってことにしてSNSにアップするのでリラックスしてください」


それから何枚かsns用の写真を撮ってすぐにアップした。


「先輩、もう一枚撮って良いですか」


「うん、いいよ」


伊澤先輩の顔に近づいて頬っぺたにキスをしてスマホのシャッターボタンを押す。


「一ノ瀬さん、何やってんの?」

「今日のお礼です。なんだかんだかなり遅くなってしまいましたし」

「いや、そういうことじゃなくて」


先輩は顔を真っ赤にして頬を押さえる。姿と仕草だけ見ると本当に女の子に見えるな。


「まあ、良いじゃないですか。私、結構人気者だし中々そんな人にキスされることなんてないですよ?」


「それはそうかもしれないけど。そういえば、今写真撮らなかった?まさかSNSに載せないよね」


「載せるわけないですよ。こんなのSNSに載せたら付き合ってるって噂されて大炎上しますよ。私のフォロワー5万人くらいいますし」


「じゃあ今のなんで撮ったの?」


「なんとなくです」


本当は初めて一緒に撮影して楽しかったから記念で私だけの写真が欲しかったんですよ。恥ずかしいから絶対言わないですけど。


「弥月さん、車の準備が出来ましたので着替えたら、駐車場まで来てください」


伊澤先輩と話していると突然後ろから東雲が話しかけてきた。


「東雲いつからいたの」


「先輩、もう一枚撮って良いですかの所からです」


「一番見られたくないところじゃない」


東雲に見事に全部見られてた。これは今日は根掘り葉掘り聞かれて寝れないかもしれない。

読んでいただきありがとうございます。

次の話からは優視点に戻ります。


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