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初日3-2

「僕の好きなタイプ?可愛いらしい子が好きかな」


答えた瞬間教室が凍った。


あれ?どうしたんだろう。

先生の方を見ると眉間に手をあて、目を瞑っている。


質問に自然に返したつもりなんだけど。

いや、むしろ自然過ぎた。質問が多過ぎていつの間にか脳死で返答をしてしまった。


こちらに来てからはなるべく男言葉がでないように敬語で話すようにしていたのに普通に話してしまった。

寮ではちゃんと敬語だったのに。

いや、なぜか神無にだけは自然とタメ口で話していたけど。


今はそんなことを考えている場合じゃない。

なんとか誤魔化せないかと考えていると周りがざわつき始める。


「かっこいい」

「なんてオープンなの」

「僕っ娘…最高」

「声も低くて良い」


僕っ娘?まずい、私で通すつもりだったのにいつもの癖で僕と言ってしまっていた。


でも声を褒められるのは地味に嬉しいな。男としては若干高いから男子校では馬鹿にされることもあったし。


「ええっと、私は…」


「僕でいいんじゃない?そっちの方が自然だよ」


前の席の会田さんから謎のフォローが入る。


でも、これはいい助け船かもしれない。

これから学校にいるときに何回も間違えるだろうし、いっそのこと僕っ娘というキャラにした方が普通に話せて楽な気がする。それだとタメ口で男言葉でもそんなに違和感がなくなるし。


「そうだね、僕もそっちのほうが楽だからそうするね」


会田さんはグッと親指を突き上げて笑顔を見せる。


「とりあえず、結構時間も経ったし質問はこれで終わりにします」


先生が質問を打ち切ってくれたお陰で、なんとか誤魔化せた気がする。


本当に僕はこんな調子で2年間この学校で生活していけるのだろうか。


僕の自己紹介が終わった後は五條さんと神無が自己紹介をしていた。


五條さんが特技はバク宙ですと言っていてかなり驚いたが、周りは特に動じていないようだった。流石にほとんどの人が小中高一緒なだけあり彼女が運動神経が良いってことは知っているみたいだ。


神無は自分の名前と1年間よろしくとしか言わなかったが、一部の人には堪らなかったらしく教室内で悶絶している人が数人いた。


全員の自己紹介が終わり、2年生分の教科書を受け取ったり、委員の割り当てなどをした。始業式とHRしかないので、午前中だけで学校が終わった。


今日は学校の前で部活勧誘のイベントがあるみたいだが、部活には流石に入れないしすぐ帰ることにしよう。


鞄を持って帰ろうとしていたところ、先生に呼び止められた。


「伊澤さん、ちょっといいかしら」

「はい」


先生に連れていかれ、職員室に向かう。


「ちょっとヒヤヒヤしたけど上手く誤魔化したね」

「はい、なんとか」


「ジャージ届いてたから渡すわ」

「ありがとうございます」

「明日、体育だけど着替えは大丈夫?」


体育館の更衣室に行く前にトイレで着替えれば何の問題も無いと思うけど?

まあ、そもそも女子トイレに入ること自体が既に大問題なんだけれども。


男ならトイレで着替えるのに違和感を感じるが女子なら見られるのが恥ずかしいからで言い訳としても問題はないだろう。

更衣室で着替えるとかならテンパって死にそうになるけど。


「大丈夫だと思います」

「そう、ならいいわ」


せっかく先生が心配してくれていたのに、僕は軽く考えすぎていて聞き流してしまった。

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