第339話 激闘終わって……・2
今回は、いつもより長めの話になります。
「ギデオン・シンクレアは……まだ生きてる」
と、レナ達に向かってそう言った春風。
そんな春風の言葉に、
「そ、そんな!」
と、レナはショックを受けて、
「おいおい、あんなもの凄い攻撃をくらってまだ生きてるって……」
と、ヴァレリーは「冗談だろ?」と言わんばかりに頬を引き攣らせながらそう言うと、
「……いえ、有り得ない話ではないかもしれません。何せ、ギデオン本人も、『人間を超えた』と言ってましたからね。もしかすると……」
と、タイラーが冷静な表情でそう言ってきたので、それを聞いた周囲の人間達がゴクリと唾を飲むと、
「……確かめないといけない」
と、春風はそう言ってすぐに立ち上がろうとしたが、
「うっ!」
突如、両足がぐらついて、再び地面に両膝をつきそうになったので、
「春風!」
と、それを見たレナはすぐに春風に抱きついて、倒れないように支えた。
「春風、大丈夫!?」
と、レナが心配そうな表情で春風に向かってそう尋ねると、
「あ、ありがとうレナ」
と、春風は申し訳なさそうな表情でお礼を言った。
ところが、
「あ、あれ?」
突然、レナも両足がぐらついて、
「れ、レナ!」
「う、あ、あぁ……!」
春風を巻き込んで地面に倒れそうになったので、
「「おおっと!」」
と、それを見たヴァレリーとタイラーがレナを抱き留めて倒れるのを阻止した。
「あ、ありがとうございます……」
と、レナがヴァレリーとタイラーに向かってそうお礼を言うと、
「はは、いいってことよ」
「どういたしまして」
と、2人は共にニコッとしながらそう返事した。
その後、
「2人とも、激しい戦いの後でお疲れでしょうから、僕達が支えますよ」
と、タイラーがそう提案してきたので、それに春風とレナが「わかりました」と頷くと、春風はタイラーとディック、レナはヴァレリーとヘリアテスに支えられるという形になり、それからすぐに吹き飛ばされたギデオンのもとへと向かった。
一方、その吹き飛ばされたギデオンはというと、春風達からかなり離れた位置で、
「父上! 父上!」
『大隊長!』
と、ルークと断罪官の隊員達から回復の魔術を受けていた。
ギデオンの状態はあまりにも酷く、自身の最大の奥義である「聖光轟雷波」をもろに受けた為、形こそ保ってはいたが全身は真っ黒に焦げていて、背中の白い翼もボロボロになっていた。
そして、その手に持っている神剣スパークルはというと、刀身は根本の部分を残してポッキリと折れていて、白かった柄もギデオンの翼のようにボロボロになっていた。
だが、そんな無残な状態であるにも関わらず、
「う……あ……」
なんと、ギデオンはそれでも生きていたようで、ルークと隊員達の呼びかけにどうにか応えていたので、
「父上、頑張ってください! 死なないでください!」
と、ルークは必死に何度もギデオンに向かってそう呼びかけた。
その時……。
ーーザ。ザ。
『っ!』
自分達のもとに近づいてくる複数の足音がして、その音に気付いたルークと隊員がバッと音がした方へと振り向くと、そこにはギデオンを無残な姿にした春風達がいたので、
「貴様ら!」
と、ルークはキッと春風達を睨みつけた。勿論、隊員達もである。
一方、春風達はというと、ルークと隊員達に治療らしきものを受けている状態のギデオンを見て、
「やっぱり、生きてたんだ」
と、ボソリとそう呟いた。
その呟きが聞こえたのか、
「みんな、父上……ギデオン大隊長を頼む」
と、ルークは隊員達に向かってそう言うと、スッと立ち上がって、
「この悪魔どもは……私が倒す!」
と、目の前の春風達に向かってそう言うと、腰のベルトに下げた剣を鞘から引き抜いた。
そんなルークを見て、春風達が身構えている中、隊員達はお互い顔を見合わせると、コクリと頷き合って、
『ルーク副隊長、自分達もお供します!』
と、2、3人ほど立ち上がって、ルークと同じように春風達を睨みながらそれぞれ武器を構え出したので、
「み、みんな、何をしている!?」
と、それにルークがギョッとなると、
「ルーク副隊長、我々も共に戦わせてください! 我々も、ギデオン大隊長をこのような目に合わせたあの悪魔を許すことは出来ません!」
「私もです!」
「私も共に!」
と、立ち上がった隊員達はルークに向かってそう答えたので、それにルークが「みんな……」と泣きそうな表情になったが、すぐに首を左右に振ると、
「わかった! みんな、私と共に戦ってくれ! 残りは大隊長の回復を続けて、動けるようになり次第転移用の魔導具を起動して、大隊長と共に五神教会の本部に帰還してくれ!」
と、隊員達に向かってそう命令し、その命令を受けた隊員達は「はっ!」と一斉にそう返事した。
そんなルークと隊員達を見て、
「うぅ、まだ戦う気なのか?」
と、春風がそう疑問を口にすると、アデレードが真剣な表情で1歩前に出て、
「断罪官! もう勝負はつきました! これ以上の戦いは無意味です! 今すぐギデオン・シンクレア大隊長と共にルーセンティア王国に帰りなさい!」
と、ルーク達に向かって毅然とした態度でそう言った。
彼女の言葉に春風達が「おお!」と感心していると、
「まだだ、アデレード皇女! まだ、我々が残っている! 我々の意志が折れてない限り、戦いはまだ、終わってない!」
と、ルークも剣を構えながら、アデレードに負けじと毅然とした態度でそう返事したので、それにアデレードが「く……」と歯をギリッと鳴らしながらそう声をもらすと、
『ルーク副隊長!』
と、春風達の真横に、別の断罪官の隊員が数名が現れた。
よく見ると、その中には断罪官隊員の証である漆黒の鎧をつけてない者もいたので、
「げ。あいつら、私がぶちのめした奴らだ」
と、その姿を発見したヘリアテスは本気で嫌そうな顔をした。
そして、新たに現れた隊員達がギデオンの今の姿を見ると、皆、何かを察したかのように、
『ルーク副隊長! 我々も共に戦います!』
と、春風達に向かってそれぞれ武器を構え出したので、
(ちくしょう! やっぱり戦わなくちゃいけないのか!?)
と、春風は歯をギリッと鳴らしながら心の中でそう呟いた。
その時だ。
ーージリリリリリリリ!
「え!?」
突然、春風の左腕の籠手にセットされたマジスマからそんな音が鳴り出したので、
『何!? 何事!?』
と、驚いているレナやルーク達を他所に、
「ちょっと失礼!」
と、春風はそう言うと、すぐに左腕の籠手からマジスマを外して、
「アマテラス様?」
と、画面に映った故郷「日本」の主神・天照大神……アマテラスの名前を見た後、マジスマを操作して、
「はい、もしもし?」
と、マジスマを自身の耳にあててそう言った。
すると、
「春風くーん! 今から助っ人2名をそっちに送るから!」
と、マジスマの向こうでアマテラスが何やら慌てた様子でそう言ってきたので、その言葉に春風が、
「は? 助っ人?」
と、首を傾げていると、急にマジスマが光り出したので、
「うわ! ちょっと……!」
と、春風はすぐにマジスマの画面を夜空に向けた。
その瞬間、マジスマの画面から2つの人影が現れて、春風の目の前に降りてきた。
その正体は20代くらいの年頃の、黒衣に身を包んだ2人の女性のようで、1人は短めの茶髪をビシッと整えた、何処か男性的な雰囲気をした女性で、もう1人も髪は短めだがこちらは春風と同じく色は黒で、美しいだけでなく凛々しさや逞しさも兼ね備えた女性だった。
そんな異なる雰囲気をした2人の女性を見て、
「だ、誰……?」
と、レナは思わず首を傾げたが、
「え……嘘……」
と、春風はその2人の女性を見てタラリと汗を流すと、
「「会いたかったわ、愛しい春風」」
と、2人の女性は春風を見てニコッと笑いながらそう言ったので、
「ミネルヴァさんに……師匠!?」
と、春風は驚いた表情で2人の女性の名前を呼び、それを聞いたレナ達は、
『……え?』
と、一斉に声をもらした。
謝罪)
大変申し訳ありません、前回投稿した話ですが、誠に勝手ながら一部修正させてもらいました。
本当にすみません。
そして、これは予定ですが、次もしくはその次の回で、今章の話は終了です。




