第315話 vs大隊長ギデオン・「神」を殺す武器
今回は、いつもより短めの話になります。
「……は? 『対神武装』?」
「やはり、『神殺し』か!」
ギデオンが持つ「神剣スパークル」……以下、スパークルを「神眼」で調べた結果を見て、春風とヘリアテスはそう呟いた。特にヘリアテスの方は、スパークルの「正体」を知って怒りをあらわにしていたので、
「ど、どうしたのお母さん!?」
と、そんな様子のヘリアテスに、レナが驚きながらそう尋ねてきた。勿論、そんなレナの様子に、アメリア達は「な、な、何事!?」と言わんばかりに、皆、目を大きく見開いた。
一方、ギデオンはというと、
(む、流石は『神』といったところか。しかし、何故春風・スカーレットにもわかったのだ?)
と、スパークルの正体を見破ったことに関してそう疑問に思っていた。
さて、スパークルの正体がわかったところで、
「お、お母さん! 春風! 『対神武装』とか『神殺し』って、一体何なの!?」
と、レナが戸惑いの表情を浮かべながら、ヘリアテスと春風に向かってそう尋ねると、
「その名の通り、私達『神』を相手に戦う為に造られた武器の総称で、別名『神殺し』とも呼ばれてるものなの。といっても、私自身は他の神々から話を聞いただけで、実際に目にするのはこれが初めてなんだけど……」
と、ヘリアテスはギデオンの持っているスパークルを見て警戒しながらそう答えた。
その答えを聞いて、
「ヘリアテス様、一応お聞きしますが、あの剣の説明の中に『複製品』とも表示されてましたよね? ということは本物というわけでもないんじゃ……?」
と、今度は春風が恐る恐るそう尋ねてきたので、
「ええ。確かに、あの剣自体は、『本物』の対神武装よりも性能は低いわ。でも、説明の中に記されていたように、大勢の人間の血を剣に吸わせることによって、完全にとは言えないけど『本物』に近づけることが出来るの。『人間を斬ったという事実』と、斬られた人間の『苦しみ』や『悲しみ』、『憎しみ』といった負の感情が、『複製品』を『本物』に近づけさせる為のエネルギーになるから」
と、ヘリアテスはコクリと頷きながらそう答えた。
その答えが聞こえたのか、
「ちょ、ちょっと待ってください!」
と、それまで黙っていたアメリアがそう口を開いたので、思わず春風、レナ、ヘリアテスが「ん?」と反応すると、
「そ、その話が本当なら、私や隊員達が使っていた武器も……?」
と、アメリアが顔を真っ青にしながらそう尋ねてきたので、その質問に春風とレナが「あ……」と声をもらして、
「……ええ、信じたくはないでしょうけど。まぁ、隊員さん達の場合は、『複製品』の『複製品』ということになってて、ギデオンが持ってるものよりもかなり性能が低いものだったわ」
と、ヘリアテスは少し申し訳なさそうな表情でそう答えた。
その答えを聞いて、
「そ……そんな……」
と、アメリアが更に顔を真っ青にしていると、
「……なるほど。つまり『断罪官』とは、『異端者』を殺す部隊であると同時に、『神』と戦う為の武器を造らせる為の部隊でもあったのですね?」
と、アメリアの隣で説明を聞いていたタイラーがそう尋ねてきたので、
「ええ、どうやらそのようね。といっても、本人達は何処までわかってたのかは謎だけど」
と、ヘリアテスはギデオンとスパークルを睨みながらそう答えた。
すると、
「ねぇ、お母さん」
と、レナがそう口を開いたので、それにヘリアテスが「なぁにレナ?」と返事すると、
「あいつの持ってる剣って、今どのくらいまで成長しているの?
と、レナはスパークルを指差しながらそう尋ねてきたので、それに春風が「あ!」と反応すると、
「……そうね。あの剣、見た目は真っ白だけど、かなり多くの人間達を斬り殺してきた所為で、中にあるエネルギーはかなりドス黒くなってるわ。だから、性能的にはかなり『本物』に近づいてるかも」
と、ヘリアテスはそう答えて、
「じゃあ、あんなものに斬られたらお母さんは……」
と、それを聞いたレナが顔を真っ青にしながら、恐る恐るといった感じで再びそう尋ねると、
「……ええ、幾ら『神』である私でも、ただでは済まないと思うわ」
と、ヘリアテスは表情を暗くしながらそう答えた。
その答えを聞いて、
「そ、そんな、マジですか……!?」
と、春風がショックを受けていると、
「感心してる場合じゃないわ春風さん」
と、ヘリアテスが鋭い視線を春風に向けながらそういったので、その言葉に春風が「へ?」と首を傾げると、ヘリアテスは春風のすぐに傍まで近づいて、
「あれに斬られたら……あなたもタダでは済まないわよ」
と、周りに聞こえないように小さな声でそう言った。
その言葉を聞いて、春風は「え? え?」と戸惑っていると、
「忘れたの? あなたの種族」
と、ヘリアテスは再び小さな声でそう言ったので、
(ん? 俺の……種族?)
と、春風は更に首を傾げると、
(えっと、確か今の俺は『人間』じゃなくて『神の分身』なんだよな……)
と、自身の『種族』を思い出した。
その瞬間、
(……あれ? ということは……)
と、春風はハッと何かを思い出したかのような表情になると、
「……俺もあれに斬られたら、タダでは済まないってことですか?」
と、小声でヘリアテスに向かってそう尋ねて、その質問に対して、ヘリアテスはコクリと頷くと、
「それだけじゃないわ。あなたがあれに斬られたら……その影響は、あなたと『契約』を結んだ『神』にまで及んでしまうの」
と、真剣な表情を浮かべながら小声でそう答えた。
その答えを聞いて、
(そんな……俺だけじゃなく、オーディン様にまで?)
と、春風はショックで顔を真っ青にすると、
(ということは……俺、今絶対絶命のピンチじゃねぇかあああああああ!?)
と、頭を抱えながら、心の中でそう悲鳴をあげた。




