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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第2章 「物語」の始まり

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第30話 春風、更に質問する


 「他にも幾つか質問したいことがあるので、よろしいでしょうか?」


 「あ、ああ構わない」


 「ありがとうございます。では……」


 そう言うと春風は次の質問を始める。


 (『動機』についてはわかった。それなら俺が次にするべき質問は……)


 「今回、俺達をこの世界に召喚した時、何を『対価』にしたのですか?」


 その質問を聞いて、ウィルフレッドは「む……」と目を細めると、


 「『対価』とは、また随分と妙なことを聞くのだな」


 と、警戒しているような声色でそう言ったので、


 「そりゃあそうでしょ。だってこれだけの人数を召喚したんですよ? それなら、支払った『対価』……いや、『代償』は相当大きいのではないですか?」


 と、春風はチラッと爽子やクラスメイト達を見ながら、ウィルフレッドに向かってそう尋ねた。


 その瞬間、ウィルフレッドだけでなく周囲の人達までもが「そ、それは……」と言わんばかりに動揺し出したので、


 (あ。これ、何かあるのかも……)


 と、春風はそう考えたが、


 (いや、駄目だ。これ以上踏み込めば、怪しまれるかもしれない)


 と思い、


 「そうですね。例えば、召喚を行ったクラリッサ姫様とサポートに入った人達の体調とか……だったり?」


 と、チラッとクラリッサに視線を向けながら、尋ねるように言った。ただ、ちょっと口調がおかしくなってたのに気付いて、


 (あ、ちょっと無理矢理だったかな?)


 と、春風はそう疑問に感じたが、


 「え、わたくしですか? それなら大丈夫です。確かに、ちょっと疲れた感じはしますが、その程度で倒れる程、わたくしもサポートしてくださった方達もヤワではありません」


 と、クラリッサは「ふふん!」と胸を張りながらそう言った。そして彼女の近くでも「ふふん!」という声が複数あがったので、


 (ふーん、そうなんだ……)


 と、春風がそう思ったまさにその時、


 「嘘、発見! 嘘、発見!」


 と、春風の頭の中でそう叫ぶ声と、「ブー! ブー!」という警告音が聞こえて、それと同時に、


 (頭いてぇえええええええ!)


 と、激しい頭痛が襲ってきたので、春風は思わず自身の左右のこめかみを両手で押さえた。


 その仕草を見て、


 「ど、どうしたのだ!?」


 と、驚いたウィルフレッドが声をかけてきたが、


 「だ、大丈夫です……気にしないでください」


 と、春風は穏やかな笑みを浮かべながらそう言った。ただ、周囲の人達は、


 (いや、ほんとに大丈夫!?)


 と、言わんばかりにオロオロし出しているが。


 そんな彼らを他所に、


 (ちょ、ちょっと待て。今ので『神眼』が反応するってことは……)


 と、春風は先程のクラリッサの発言とそれに「神眼」が発動したのを考えて、


 「やっぱ無理してんじゃん!」


 と、春風は思わず声に出してそう叫ぶと、


 「ウィルフレッド陛下! 今すぐクラリッサ姫様とサポートに入った人達を休ませてください! すっごい無理してると思いますので!」


 と、ウィルフレッドに向かって大慌てでそう懇願した。


 それを聞いて、ウィルフレッドは「え? え?」と動揺したが、


 「急いで! でないと()()()になってしまうかもしれません!」


 と、春風は怒鳴るようにそう叫んだので、


 「わ、わかった!」


 と、ハッとなったウィルフレッドはすぐに騎士達に命令して、クラリッサとサポートに入った人達を連れ出させた。


 その際、


 『あ、あああああああれえええええええ!』


 と、クラリッサを含めた数人の人達の悲鳴が聞こえたので、


 (うわぁ、現実(リアル)で『あ〜れ〜』なんて悲鳴、初めて聞いたかも)


 と、春風は「はは」と頬を引き攣らせた。


 その後、


 「さてウィルフレッド陛下、では質問の続きを……」


 と、春風は普通に次の質問に入ろうとしたので、


 「この状況でか!?」


 と、ウィルフレッドは驚いたが、


 「……で、何を聞きたいのだ?」


 と、すぐに表情を変えてそう言ったので、


 『切り替え早っ!』


 と、周囲からそうツッコミがあがった。


 しかし、そんな彼・彼女らを無視して、


 「その……今回俺達をこの世界に召喚したことなのですが、この世界の人達が崇めてる5柱の神々が『勇者召喚』を授けたということは、その神々は召喚を行うことを認めている……ということでいいんですよね?」


 と、春風がウィルフレッドに向かってそう尋ねると、


 「むむ! それは当然ですとも! というより、認めているも何も、偉大なる5柱の神々が、我々人間の為に『勇者召喚』の秘術を授けたのですから、皆様を召喚することは既に神々にとって決定事項なのですよ!?」


 と、ウィルフレッドではなく五神教会教主のジェフリーが、「何を言ってるのだ?」と言わんばかりの表情で「ふん!」と鼻を鳴らしながらそう言ってきたので、その態度に春風はイラッとなったが、すぐに表情を変えて、


 「では、ジェフリー教主……にお尋ねしかすが、その際、『他の世界の神々からも許可を貰った』とか聞いたりしてませんか?」


 と、ウィルフレッドではなくジェフリーに向かってそう尋ねると、


 「むむむ……いえ、そのようなことは、聞いておりませんが……」


 と、ジェフリーは「何を言ってるんだ?」と言わんばかりに戸惑いに満ちた表情でそう答えたので、春風は「ふーん……」とウィルフレッドに視線を向けると、


 「いや……私も、そのようなことは聞いてないが」


 と、ウィルフレッドもジェフリーと同じような表情でそう答えた。


 その答えを聞いて、


 (うん、2人とも嘘は言ってないな。そして、()()()()だな)


 と、春風はそう結論づけると、


 「ありがとうございました。質問は以上です」


 と、目の前のウィルフレッド達に向かって笑顔でそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「お、おおそうか。それでは……」


 と、ウィルフレッドはパァッと表情を明るくし、それに続くように、彼の周りにいる人達も、


 (ああ、この人も私達の為に力を貸してくれるんだな?)


 と、皆、そう言いたそうに、ウィルフレッドと同じようにパァッと表情を明るくした。


 そんな彼・彼女らを見て、春風は「ふふ」と小さく笑うと、スーッと左右の手を動かし、目の前でパンッとそれらを合わせると、


 「すみません。俺には無理そうですので、ここを出て行く許可をください」


 と、満面の笑みを浮かべて謝罪しながらそう言った。


 それを聞いて、


 『な……』


 目の前のウィルフレッド達だけでなく、


 『な……』


 爽子とクラスメイト達までもがそう声をもらすと、


 『なぁあああああにぃいいいいいいいっ!?』


 と、全員が驚きに満ちた叫びをあげた。


 


 


 

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