第297話 バラバラになってしまった者達
今年最後の投稿です。
さて、春風達とレナ達が森の中に降り立った丁度その頃、
「ふー、マジでやばかったぁ」
「ええ、流石に危なかったですね」
ヴァレリーとタイラー、そして、
「アメリアさん、大丈夫ですか?」
「あ、は、はい」
アメリアも森の中に降り立っていた。
いや、正確に言えば、落ちていたと言った方がいいだろう。
その理由は少し前、3人が春風達と共に真っ暗闇の中を落下中に、急に真下が白く光り出したので、ヴァレリー達が「眩しい!」と言わんばかりに腕で顔を覆っていると……。
ーーガサガサガサ!
ーードサッ!
「ぐあ!」
「うぐ!」
「きゃ!」
気付いた時には、3人共森の中に落ちていたのだ。
とはいえ、大きな怪我がなかったのは、落ちた時に木々がクッションになっていて、それが衝撃を和らげてくれたからだろう。
そして現在、「よっこらしょ」と立ち上がったヴァレリー達はすぐに周囲を見回したが、この場にいるのはヴァレリー、タイラー、そしてアメリアだけだったので、
「こいつは参ったなぁ」
「そうですね。ここが何処かもわからないのに、春風君達とも離れ離れなってしまいましたからねぇ」
と、ヴァレリーとタイラーは本気で困った顔を浮かべた。
そして、アメリアはというと、
(ニーナ……何処にいるの?)
妹のニーナがいないことに不安になったのか、とても辛そうに顔を真っ青にしていた。
すると、
「……え?」
アメリアの目の前に、赤、青、オレンジ、緑色をした小さな精霊達が現れたので、それを見たアメリアが少し目を大きく見開くと、
「うお! 何だそいつら!?」
と、アメリアの前に現れた精霊達を見たヴァレリーが、アメリア以上に大きく目を見開きながら驚いたので、
「あぁ、えっと、この子達は……」
と、アメリアはヴァレリーとタイラーに精霊について説明を始めた。
それから暫くして、
「ほう、『妖精』の生まれ変わりみたいな存在ですか。これはまた珍しいですね」
と、アメリアの説明を聞き終えたタイラーが、興味津々に精霊達をジッと見つめて、
「で、その精霊が私らに一体なんの用なんだい?」
と、ヴァレリーがアメリアに向かってそう尋ねると、精霊達は「こっちこっち!」と言わんばかりにとある方向に向かってシュッシュと動き出したので、
「た、多分、『ついて来い』って言ってるんだと思います」
と、アメリアは恐る恐るそう答えた。
その答えを聞いて、ヴァレリーとタイラーは「どうする?」と言わんばかりにお互い見つめ合ったが、
「ま、このままここにいても仕方ないしな」
「ふふ、そうですね」
と、2人とも「しょうがないな」と言わんばかりに「ふぅ」とひと息入れると、
「わかったよ、道案内よろしくな」
と、ヴァレリーが精霊達に向かってそう言ったので、その言葉が嬉しかったのか、精霊達はそれぞれ上下に動いた後、ヴァレリー達の道案内を開始した。
一方、レナ、ヘリアテス、アーデ、ディック、フィオナはというと、
「よいしょっと!」
ヘリアテスが出した大きな木からゆっくりと地面に降りた後、
「よし、春風達と合流しなくちゃ!」
と、レナがそう言うと、
「待ってレナ。焦る気持ちはわかるけど、あの断罪官って連中が何処から出てくるかわからないから、油断はしちゃ駄目よ」
と、ヘリアテスが落ち着いた様子でそう注意してきたので、その言葉にレナはハッとなって、
「そ、そうだよね。うん、ありがとうお母さん」
と、ヘリアテスに向かってお礼を言った。
そんな1人と1柱の会話を見て、
「うーん、本当にレナさんと女神様って親子なんだなぁ……」
と、ディックがそう感心していると、
「ん? フィオナ?」
隣いるフィオナが、レナを見て何処か落ち着かない様子だったので、
「フィオナ、どうしたの?」
と、心配になったディックはそう尋ねたが、フィオナはそれを無視して、ゆっくりとレナに近づくと、
「えい!」
ーーさわり。
なんと、レナの尻尾を優しく触り出したので、それにレナは思わず、
「ふぎゃ!」
と、悲鳴をあげた。
その後、
「ちょ、何すんのよ!?」
と、いきなり尻尾を触られたレナは、「怒り」で顔を真っ赤にしながらフィオナに向かってそう尋ねると、
「す、すみません! その……本物の尻尾と耳なのかなって思って……」
と、フィオナはすぐにレナの尻尾から手を離すと、大慌てで謝罪しつつ理由を説明した。どうやらレナの尻尾と耳が本物かどうかずっと気になっていたようで、「今がチャンスなのでは!?」という考えに至り、実行に移したという。
フィオナの説明……いや、最早「言い訳」と言っていい内容を聞いて、レナは「はぁ」と大きく溜め息を吐くと、
「いい!? 今度許可なしに私の耳と尻尾に触ったら、セクハラで訴えるからね!」
と、フィオナに向かってプレッシャーをかけながらそう脅したので、それを聞いたフィオナは、
「う、『訴える』って、誰にですか?」
と、恐る恐るレナに向かってそう尋ねると、
「勿論、『獣人』達の神様にして私のお父さんでもある、『月光と牙の神ループス』よ!」
と、レナはフィオナに向かってはっきりとそう答えたので、その答えを聞いたフィオナは、
「す、すみませんでした」
と、今にも泣き出しそうな顔でコクリと頷きながらそう謝罪し、そんな妹の姿を見て、
「ふぃ、フィオナ……」
と、ディックは必死になってフィオナを慰めた。
ただその一方では、
(それって、『触ったらお父さんに言いつけるからね!』ってことなんじゃ?)
と、アーデがレナの言葉に首を傾げていたが。
さて、最後に春風、ニーナ、ピートの3人はというと、
「さて、これからどうしたもんかなぁ」
と、この場に3人しかいないという今の状況に、春風が困った顔を浮かべながらそう呟くと、
「(くんくん)」
と、春風の隣でピートが何か匂いを嗅ぐかのように鼻をスンスンと鳴らしたので、
「ピート、姉さんの匂い、わかる?」
と、ニーナがピートに向かってそう尋ねたが、
「ごめんね、ニーナお姉ちゃん」
と、ピートは悔しそうな表情でそう謝罪した。
どうやら本気でわからないみたいだったので、
「うーん、取り敢えず、もう少しここで待ってみないかい? 案外向こうから来たりして」
と、春風はニーナとピートを励ますかのようにニコッとしながらそう提案した。
その提案に対して、ニーナとピートは「賛成します」と言わんばかりにコクリと頷くと……。
ーーガサガサ。
「「「っ!」」」
その近くの茂みで何かが動く音がしたので、
(ま、まさか、本当向こうから来たのか?)
と、春風はそう疑問思いながらも、
「2人共、俺の後ろに!」
と、ニーナとピートを自身の後ろに隠した。
そして3人が警戒する中、茂みの中から、1つの「影」が現れた。
どうも、ハヤテです。
という訳で、以上で今年の投稿はお終いですが、年が明けてからも投稿を続けますので、皆様、来年もどうぞよろしくお願いします。




