第292話 「最低最悪な理由」
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、今回はいつもより長めの話になります。
「貴様の存在が大きいな、春風・スカーレット」
「……はい?」
ギデオンから発せられたその言葉の意味を、春風は理解出来ないでいた。
いや、春風だけではない、レナやヘリアテス、ヴァレリー、タイラー、アーデ、ディック、フィオナ、そしてアメリア、ニーナ、ピートまでもが、「何言ってんだこいつ?」と言わんばかりに目をパチクリとさせていた。
そんな状況の中、
「あのー、ちょっと何を言ってるのか全然わからないんですけど?」
と、春風が恐る恐る「はい」と手を上げながら、ギデオンに向かってそう尋ねると、
「しらばっくれても無駄だ。だが、わからないというのであれば、順を追って説明しよう」
と、ギデオンはそう答えた後、今言ったように説明を始めた。
「そう、実は我々は既に、アメリア達がフロントラルに入ってるという情報を入手していた。そしてフロントラルに着いた我々は、都市の内部と外部、二手に別れてアメリア達の捜索を開始したのだ」
と、そう話したギデオンに、
「く、流石に情報が入るの早すぎだろ……」
と、ヴァレリーが小声で文句を言ったが、そんな彼女に構わず、
「そして今日、内部を捜索していた部隊が、遂にアメリア達を発見したのだ。そう……」
と、ギデオンがそう説明を続けると、ビシッと春風を指差して、
「真っ赤なドレスに身を包んだ貴様が働く店にな!」
と、言い放った。
その言葉を聞いた瞬間、
「……え!? あそこにあんたらの隊員いたの!?」
と、春風がギョッと目を大きく見開きながら、ギデオンに向かってそう尋ねると、
「ああいたとも! 『断罪官』の隊員とバレないように一般客に変装してな!」
と、ギデオンは春風を指差したままそう答えたので、
(な、なんてこった! 客の中にいたのかよ! ていうか……)
と、ショックを受けた春風が心の中でそう呟くと、
「ドレス姿見られてたー!」
と、最後に頭を抱えながらそう叫んだ。その際、
「春風さん、その話是非とも詳しく……」
と、隣でヘリアテスが笑顔でそうお願いしてきたが、
「お母さん、今はそんなこと言ってる場合じゃないよ!」
と、レナに止められたので、ヘリアテスはシュンとしながら「はーい」と返事した。
そんな彼女達を無視して、ギデオンは更に説明を続ける。
「そして、アメリア達が店を出て、その後貴様も店を出た後に、アメリア達が騒ぎを起こしたところを目撃した部隊の隊員達が、すぐに私のもとへと報告し、森の中へ消えた貴様らを追ってここに出たという訳だ」
と、春風をジッと見ながらそう話を締め括ったギデオン。
全ての話を聞き終えて、春風達が「なんてこった!」と言わんばかりに戦慄する中、
「ま、まさか、あの騒ぎを見られてたとはなぁ……」
と、ヴァレリーがタラリと汗を流しながらそう呟くと、
「いや、ちょっと待ってください。ということは……!」
と、タイラーが何かに気付いたかのようにハッとなったので、それを見たギデオンはニヤリと笑うと、
「ああ、そうとも。ここでアメリア達の『粛清』が終われば、次は貴様達、そして最後にフロントラルの全住人の『粛清』を開始する」
と、なんの躊躇いもなくそう言ったので、
「ふ、ふざけるな! フロントラルは『ルーセンティア王国』と『ストロザイア帝国』、2つの大国が『中立』と認めた都市! そんな場所を滅ぼすなど、国王ウィルフレッドと皇帝ヴィンセントが許さない! というか、ウィルフレッド陛下がそんなの許す筈ない!」
と、それを聞いたアーデが焦ったようにそう怒鳴ったが、
「……勘違いをされては困りますな」
と、ギデオンはそう呟くと、
「我々『断罪官』が仕えているのは偉大なる5柱の神々であって、国王ウィルフレッドや教主ジェフリーではない!」
と、最後にはっきりとそう言い切ったので、
「そ、そんな!」
(え!? ウィルフレッド陛下だけじゃなく教主にも仕えてないだって!?)
と、アーデだけじゃなく春風までもがショックを受けた。当然、
「おいおい、マジで言い切ったよこいつ」
「ええ。ウィルフレッド陛下やジェフリー教主が聞いたらショックを受けるでしょうね」
それは、ヴァレリーとタイラーも同様で、2人ともギデオンの言葉にかなりドン引きしていた。
すると、
「くっくっく、それにしても我々は運がいい」
と、ギデオンが小さく笑いながらそう呟いたので、その言葉に春風達が「え?」と首を傾げると、
「アメリア達を追ってここまで来てみれば、別の倒すべき敵までも見つけたのだからな」
と、ギデオンがそう答えたので、
「た、倒すべき敵……ですって?」
と、アメリアが恐る恐るそう尋ねると、
「そうだ。1つは長きに渡る封印から目覚めた『邪神ヘリアテス』……」
と、ギデオンはチラッとヘリアテスを見ながらそう答え、それに合わせるかのように、レナがヘリアテスの前に立ってギデオンを睨みつけた。
しかしその後、
「そして、もう1つは……」
と、ギデオンがそう呟くと、
「春風・スカーレット! 貴様だ!」
と、何故か春風に視線を移しながらそう言ったので、
「……はぁ!? 待ってよ! 何で俺!?」
と、ショックを受けた春風が、ギデオンに向かってそう尋ねると、
「貴様のドレス姿を見た隊員達は、その時の様子を『映像』として記録してくれた! そして、報告を受けたと同時にそれを見たのだが……貴様、『男』と名乗っておきながら、何だあのドレスの似合いっぷりは!? どう見ても華恋な乙女にしか見えないではないか! 貴様、さてはあの姿で近い将来、罪もない男性を騙すつもりだな!?」
と、逆にギデオンに責められながらそう尋ね返されてしまったので、
「ふ……ふざけんなぁあああ! そんなつもりは毛頭ねぇよ! 大体何だよ『春風・スカーレット』って!? 『スカーレット』は仕事用の偽名であって本名じゃねぇよ!」
と、春風は顔を真っ赤にしてツッコミを入れるようにそう怒鳴ったが、そんな春風を無視するかのように、
「しかし、まさか『裏切り者』と『異端者』達、そして『邪神』と一緒にいるとはな。丁度いい、ならば今日、この場で彼女達諸共、偉大なる5柱の神々のもとへと送ってやろう。このまま貴様を生かしておけば、いずれ多くの罪なき男性達が毒牙にかけられてしまうからな」
と、ギデオンはそう話しを続けたので、
「だからそんなつもりは毛頭ねぇって言ってんだろ! つーか、そんな最低最悪の理由でぶっ殺されるとか冗談じゃねぇぞ!」
と、春風は抗議するかのように更に怒鳴ったが、
「黙れ! 全ては『男』でありながら、そんな『可憐な乙女』を思わせる顔付きをした貴様が悪い!」
と、ギデオンに逆に怒鳴り返されてしまい、更に、
「そうだそうだ!」
「貴様が悪い!」
「この男の敵が!」
などと、ギデオンの傍に立つルークをはじめとした隊員達にまでそう罵られてしまったので、
「お前ら馬鹿だろぉおおおおお!?」
と、春風は頭を抱えながらそう悲鳴をあげたので、
「は、春風、大丈夫だよ……」
と、レナがそう励まそうとした、まさにその時、
「ゆ、許さない……」
と、春風の左腕の銀の籠手からそんな声が聞こえたので、春風やレナだけでなく周りの人達までもが「え?」と反応すると、
「こんな……こんな馬鹿な連中に私は……私はぁ!」
と、再び左腕の銀の籠手からそんな声が聞こえたので、その声に春風達が「な、何事」と戸惑っていると、次の瞬間、銀の籠手がピカッと光り出して、その後、「ドロロロ……」という謎の不気味な音(?)と共に、
「う〜ら〜め〜し〜や〜!」
と、銀の籠手からスーッとグラシアが現れたので、
「「ぐ、グラシアさん!?」」
と、春風とレナはギョッと目を大きく見開きながら驚きに満ちた声をあげ、
「き……貴様は!」
と、グラシアの姿を見たギデオンも大きく目を見開いた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




