第290話 それぞれの事情説明、からの……
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、今回はいつもより長めの話になります。
その後、春風、レナ、ヘリアテスが見守る中、アメリア、ニーナ、ディックの3人は、ヴァレリー、タイラー、アーデ、ディック、フィオナの5人に、自分達の自己紹介から今日に至るまでの経緯を説明し、ヴァレリー達も、フロントラルを囲う壁の向こうに消えた春風とレナを救出する為にチームを編成して森の中を探してた時に、アーデの知り合いらしき「影」から、春風達の身に起きた出来事を「映像」として残したと報告を受け、その「映像」を見た後に春風達が現れるのを待っていたと説明した。
それらの話を聞いて、
「まさか、あの状況を見られてたとはねぇ……」
と、春風は「参ったなぁ」と言わんばかりに頭を掻きながらそう言い、
「そうね。私も迂闊だったわ」
と、ヘリアテスも困った顔を浮かべながら言った。
ただ、ヴァレリー達の話に出てきた「影」のことを考えて、
(アーデさんって、一体何者なんだ?)
と、春風はチラッとアーデを見ながらそう疑問に思ったが。
一方、アメリア達の話を聞いたヴァレリー達はというと、
「いやいや、こっちだって驚きの連続なんだが?」
と、ヴァレリーは手をブンブンと振りながらそう言い、
「そうですね。私も未だに『信じられない』と思ってますから」
と、隣に座るタイラーも、「むぅ……」と目頭を押さえながらそう呟いた。
因みに、アーデ、ディック、フィオナはというと、アメリア達の話に、皆、表情を暗くしていた。特にフィオナは「断罪官」のあまりの惨虐さを聞いて「ひ、酷い」と涙を浮かべていて、そんな状態のフィオナを、兄のディックは暗い表情のまま、どうにか慰めていたので、
(うん、当然の反応だよな)
と、それを見た春風が心の中でそう呟いていると、
「『断罪官』がどれほど過激な部隊かは噂で聞いてました。ですが、こうしてキチンと話を聞きますと……」
と、タイラーがそう口を開き、
「そうだな。『異端者』1人……いや、2人か? まぁとにかく、目的の奴をぶっ殺すだけじゃなく村の住人まで皆殺しだなんて、どう考えてもあり得ないだろ」
と、ヴァレリーもチラッとニーナとピートを見ながら、難しい表情を崩さずにそう言うと、
「そうです! こんなの酷すぎます! 大人や幼い子供だけじゃなく、生まれたばかりの赤ちゃんまでなんて……こんなの……!」
と、フィオナが更にボロボロと涙を流しながら、叫ぶようにそう言ったので、
「お、落ち着いてフィオナ……」
と、ディックが「どうどう……」とフィオナを宥めた。
すると、
「……確かに、普通に考えたら酷いですよね」
と、アメリアが沈んだ表情でそう口を開いたので、それにヴァレリー達が「ん?」と反応すると、
「私も隊員だった時、最初は『こんなの酷い!』と思ってました。それからも人を殺す毎に吐いたこともありますし、夜になると殺した人達に責められるという悪夢まで見るようになって、何日も眠れなくなることもありました」
と、アメリアは自分で自分を抱き締めながらそう言った。よく見ると、その手はブルブルと震えていたので、彼女は冗談を言ってるのではないと、春風だけでなくヴァレリー達もそう感じた。
「ですが……」
アメリアは更に話を続ける。
「ですが、異端者……『固有職保持者』の中には、自身の力を利用して悪事を働く者も確かにいて、その為に多くの無関係な人間が悲劇に見舞われるなんてことがありました。ああ、勿論、妹はそんなことはしてませんが。とにかく、そういった人達から人々を守るのも断罪官の務めだと教わってきましたので、私は『それで家族を守れるなら』と思うことにし、以降は断罪官の隊員としてこの手で人を殺してきました」
と、そう話すアメリアに、
「だが、その守りたかった家族が『異端者』であることを知ってしまい、結果仲間を裏切ってしまった……と?」
と、ヴァレリーがそう尋ねてきたので、その質問にアメリアは「う……」と唸ったが、
「……はい、その通りです」
と、質問してきたヴァレリーに向かって、コクリと頷きながら答えると、
「そうか。そいつは、なんとも皮肉な話だな」
と、ヴァレリーは「ふぅ」とひと息入れながらそう返事した。
それから少しの間、シーンと静かになると、
「あ、あのぉ……」
と、ディックが恐る恐る「はい」と手を上げながらそう口を開いたので、
「ん? どうしたのディック?」
と、春風がそう尋ねると、
「え、えっと……アメリアさん達の事情は理解出来たんですが、そのぉ……」
と、ディックはかなり言い難そうな感じになっていたので、春風だけでなく周囲の人達までもが「ん?」と首を傾げると、ディックはチラッとヘリアテスを見て、
「ほ、本当に……そちらのその……女の子が、『邪神ヘリアテス』なんですか?」
と、恐る恐る尋ねてきたので、その質問にレナとピートは「む!」とディックを睨んだが、
「2人とも……」
と、ヘリアテスがスッと手を上げてレナとピートを制すると、ヘリアテスはニコッと笑って、
「もう一度言うけど、私の名前はヘリアテス。あなた達『人間』が崇めてる5柱の神々に力を奪われてる上に『邪神』なんて不名誉な呼ばれ方されてるけど、一応この世界の神の1柱で、今はこの子、レナの『お母さん』をしてるわ。よろしくね」
と、チラッとレナを見ながら、ディックだけでなくフィオナやヴァレリー達に向かって改めてそう自己紹介した。
それを聞いて、
『お、お母さん!?』
と、ヴァレリー達は大きく目を見開きながら驚き、その後、一斉にレナに視線向けたので、それを受けたレナは、
「そう、こちらは私を育ててくれた『お母さん』。そして、もう1柱、『獣人』達の神ループスが、私の『お父さん』。勿論、血は繋がってないから、育ての親って言った方がいいかな」
と、ヴァレリー達に向かってそう説明した。
その説明を聞いて、ヴァレリー達は「えぇ!?」と驚いたが、
「ああ、でも……私にとっては大切な両親……『家族』だから……二度と『邪神』なんて呼ばないで」
と、レナは彼女達に鋭い視線を向けながらそう付け加えたので、それを受けたディックとフィオナは、
「「ひっ!」」
と、2人とも小さくそう悲鳴をあげて、
「……あ、ああ。わかったよ、レナ」
「わ、わかりました」
「うん! うん!」
と、ヴァレリー、タイラー、アーデはタラリと汗を流しながらそう返事したので、レナは「わかればよろしい」と言わんばかりの表情で「ふぅ」とひと息入れた。
その後、
「ゴホン!」
と、タイラーが気持ちを切り替えるかのようにそう咳き込むと、
「あー、えっと。アメリアさん……」
と、チラッとアメリア視線を向けてきたので、それにアメリアが、
「は、はい」
と、返事すると、
「ディック君が言いましたように、あなた達の『事情』は理解出来ましたが、これからどうするつもりなのですか?」
と、タイラーは真面目な表情でアメリアに向かってそう尋ねた。
その質問に対して、アメリアが「それは……」と、答えようとした、まさにその時、「バチィン!」という何かが弾けたような音がしたので、驚いたが春風達がすぐにその音がした方向を見ると、
(何だあれ? 剣の切先?)
と、春風が心の中でそう呟いたように、その視線の先には、なんと剣の切先らしきものが宙に浮かんでいたので、それに誰もが目を大きく見開いていると、その剣の切先部分は、まるで何かを斬っているかのようにズズズッと下へと下がっていった。
そして、剣の切先部分が地面についた時には、何もない空間に斬り裂かれたような傷口が出来ていて、
「お、おい、何だよあれ……!?」
と、それを見たヴァレリーが驚きに満ちた声をあげると、次の瞬間、その傷口から人の手の指らしきものが現れて、その傷口を左右に広げた。
そして、その傷口が大きくなると、その向こう側から、黒い鎧を纏った1人の男性が現れたので、
「あ……あなたは……」
と、その男性を見たアメリアは顔を真っ青にすると、
「ギデオン大隊長!?」
と、震えた声でその男性の名を呼び、
「久しぶりだな。アメリア・スターク」
その男性……ギデオン・シンクレアは、アメリアの言葉にそう返事した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




