第288話 ラッキースケベ、発生?
本日2本目の投稿です。
「外」の様子を見る為に、白い扉を開けた春風。
その扉を開けた先に、ヴァレリー、タイラー、アーデ、ディック、フィオナといった「知り合い」達の姿があったので、
「間違えました、ごめんなさい」
と、春風はそう言うと、すぐに扉を閉めた。
その後、春風は額に溜まった汗を拭う仕草をしながら「ふぅ」とひと息入れると、
「は、春風……どしたの?」
と、レナが恐る恐る尋ねてきたので、
「うーん。疲れてる所為か、ちょっと幻覚が見えまして……」
と、春風は「はぁ」と溜め息を吐いて目頭を押さえながらそう答えた。
その時だ。
『ちょ、ちょ、ちょっと待てーい!』
と、扉の向こうから複数の叫び声が聞こえてきて、その後扉が開かれようとしたので、春風は思わず、
「げ!」
と、声をもらすと、「そうはさせるか!」と言わんばかりに開かれようとしている扉を引っ張って強引に閉めようとした。勿論、力負けしないように魔力で自身の肉体を強化してある。
まぁそれはさておき、突然の春風の行動にレナは、
「え!? どうしたの!?」
と、大きく目を見開いたが、ふと扉の隙間を見ると、
『うぎぎぎ……』
そこには必死の形相をしているヴァレリー、タイラー、アーデ、ディック、フィオナがいたので、
「あれ!? あんたら何してんの!?」
と、レナは再び目を大きく見開きながら、尋ねるようにそう叫んだ。
その叫びが聞こえたのか、
「お、おおレナ! 丁度よかった!」
「レナさん! 申し訳ありませんが、ちょっと開けるの手伝って下さい!」
と、扉の向こう側にいるヴァレリーとタイラーがレナに向かってそう言ったので、それを聞いたレナは「え、えぇ?」と戸惑うと、
「駄目だレナ! 聞いてはいけない!」
と、春風が必死になって扉を閉めようとしながら、レナに向かって「待った」をかけた。
そんな春風に向かって、
「あ、兄貴! 何言ってるんですか!? ていうか、何で扉を閉めようとしてるんですか!?」
と、扉の向こう側からディックがそう尋ねてきたので、春風は「う!」と呻くと、
「ちょ、ちょっと……持病のしゃくがありまして……」
と、若干混乱気味に、創作物とかに出てきそうなよくわからない病名を言ったが、
「な、何わけのわからないこと言ってるんですか!?」
「春風! お願い、手を離して!」
と、フィオナとアーデにそう怒鳴られてしまい、春風は「いや、それはちょっとぉ……」と困った口調で言いながらも抵抗を続けた。
因みに、そんな様子の春風の後ろでは、
「は、春風ぁ……」
「ど、どうすれば……」
「ね、姉さん……」
「え、えっと、取り敢えずアメリアお姉ちゃんとニーナお姉ちゃんは僕の後ろに……」
と、レナ、アメリア、ニーナ、ピートがそれぞれオロオロしていた。
すると、
「はぁ。やれやれ……」
と、それまで黙って見守っていたヘリアテスが、溜め息を吐きながらそう口を開いたので、
「お、お母さん?」
と、レナが「ん?」と首を傾げると、ヘリアテスは無言で春風の背後に立ち、スーッと息を吸うと、
「はっ!」
と叫びながら、ドンッと春風の背中を押した。
すると、
「え……うぉ!」
と、春風はものすごい勢いで前に吹っ飛ばされ、その勢いで扉もバンッと開かれ、更に、
『わぁあ!』
と、扉の向こう側にいたヴァレリー達も、春風闍と共に吹っ飛ばされてしまった。
一連の出来事に、残されたレナ達はポカンとした後、
「お、お母さん、何してるの!?」
と、ハッと我に返ったレナがヘリアテスを問い詰め、それに対して、
「ごめんねレナ。だって、あのままだと精霊達が可哀想で……」
と、ヘリアテスはレナ謝罪しながらそう答えた。
その後、レナが大慌てで扉を潜ると、
『きゅう……』
と、吹っ飛ばされたヴァレリー、タイラー、ディック、フィオナはグルグルと目を回しながら倒れていたので、
「あ、あんた達大丈夫!?」
と、レナはすぐに4人のもとへと駆け寄りながら尋ねた。
その声が聞こえたのか、
「うーん、ああレナ」
「わ、我々でしたら、大丈夫です」
「「な、なんとか……」」
と、4人共目を回しながらもゆっくりと起き上がりながらそう答えたので、それを聞いたレナは、
「よ、よかったぁ」
と、胸を撫で下ろしたが、
「……あれ? 春風は?」
と、春風がいないことに気が付いて、レナは周囲をキョロキョロし出した。
すると、
「あの、あそこに……」
と、いつの間にか外に出ていたピートがとある方向を指差したので、それを聞いたレナ達は「え?」とその指差した方向に視線を向けると、
『げっ!』
と、ピートを除いたその場いる者達全員がそう声をもらした。
さて、肝心の春風はというと、
「むぐ……ひ、酷い目にあった……」
と倒れた状態でそう嘆いたが……。
ーーむに。
「ん?」
自身の左手が、何やら柔らかいものを掴んでいたので、
(な、何だこれ?)
と、そう疑問思った春風が、その柔らかいもの掴む力を少し強くした。
すると、
「あん!」
という何やら聞き覚えのある喘ぎ声が聞こえたので、
(あ、あれ? 何か嫌な予感がする)
と思った春風は、恐る恐る自身の下を見ると、
「あ、アーデさん!?」
「うふふ、春風ったら」
そこには顔を赤くした笑顔のアーデがいて、その瞬間、
(お、俺……アーデさんの上に乗っかってんの!?)
春風は自身が今アーデを下敷きしているという状況に漸く気がついた。
因みに、春風の左手は今、アーデの胸を掴んでいる状態だ。
そう、
(やばい。これ、ラッキースケベ展開だ!)
春風は今まさに、創作物とかによく出てくる「ラッキースケベな状態」になっていたのだ。
そのことに気付いた春風は顔を真っ青にして、
「わぁあああああっ!」
と、悲鳴をあげながらアーデから離れると、
「す、すみません! すみませんでしたぁあああああ!」
と、額を地面につけながら土下座した。
因みに、そんな状態の春風を、
「春風ぁ……」
と、レナがジト目で見つめていた。




