第279話 「異端者」2人と「裏切り者」の話・燃えていく故郷とあがる悲鳴
前回に引き続き、今回も気分の悪くなるような内容です。
(急がなきゃ! 急がなきゃ!)
と、故郷の村に向かって馬を走らせるアメリア。
その表情は、大切な故郷と、大切な家族を失うことに対する「恐怖」と「焦り」に満ちていた。
それから暫くして、
「あ、あれは……!」
故郷の村がある方角に、見覚えのある光が上がったのが見えたので、
「断罪官の『結界』の光! い、急がないと!」
と、アメリアは更に焦りを浮かべながらそう叫ぶと、大急ぎで馬を走らせた。
さて、そんなアメリア、そしてニーナの故郷の村では、
「さぁ、あなた達。1人残らず……殺しなさい!」
と、断罪官第2小隊隊長のケネスが、隊員達に向かってそう命令し、
「や、やめろぉおおおおおおおっ!」
と、村長がそう悲鳴をあげたが、隊員達はそれを無視して、まずは2、3人がそれぞれ上空に向かって弓を構えると、一斉に矢を放った。
放たれた矢は全て炎に包まれて、ある程度の高さにまで達すると、「パァン!」と大きな音を立てた。
そして次の瞬間、炎に包まれた矢が無数に増えて、まるで雨のように村中に降り注ぎ、その内の数本が地面や家の屋根に突き刺さると、「ドォオン!」と大きな音を立てて爆発した。
『きゃあ!』
『うわぁあ!』
あまりの大きな爆発音に、ニーナやピートだけでなく、村長やニーナの両親、更には村長の妻まで悲鳴をあげた。
その後、爆発した家々から紅蓮の炎が上がって、
「た、助けてくれぇ!」
と、その内の一軒の中から、1人の村人の男性が出てくると、今度は別の隊員の1人が素早くその男性の前に出て……。
ーーザシュ!
「ギャアアアアア!」
既に鞘から抜いていた剣で、その男性を斬り裂いた。
斬られた男性は地面に両膝をついてゆっくりと倒れた。その下からドクドクと真っ赤な血が流れ、地面を赤く染めた。
そして、
「う……た、助け……」
と、男性は苦しそうに助けを乞うたが、
「……」
ーーズン!
男性を斬った隊員は、無言でその背中に剣を突き立ててトドメをさした。
その様子を見て、
「あ……ああ……」
と、ニーナが顔を真っ青にすると、
「うあああああ!」
「きゃあああああ!」
「た、助けてぇえええええ!」
と、村のあちこちから住人達の悲鳴があがり、その後すぐに、彼・彼女達は断罪官によって殺害された。
ある者は剣で四肢を斬り落とされた後に首を刎ねられ、ある者は槍で何度も刺し貫かれ、またある者は大きな刃を持つ斧によって体を縦から真っ二つにされた。
そして、殺された者達をよく見ると、
「あ、あの赤ん坊は……!」
と、村長がそう声をあげたように、その中にはつい最近生まれたばかりの赤ん坊もいて、可哀想なことにその赤ん坊も、母親らしき女性諸共槍で貫かれて殺されたので、
「う……!」
それを見たニーナの母親は、あまりの事態にその場で吐いてしまい、
「ひ、酷い……何だよこれ?」
と、ピートは顔を真っ青にして全身をガクガクと震わせた。
すると、
「ど、どうして!?」
と、村長の妻がそう叫んだので、それを聞いた周囲の人達が一斉に彼女の方へと振り向くと、
「ど、どうしてこのような……一体何をしてるのですか!?」
と、村長の妻がケネスに詰め寄っていたので、
「よ、よせ……!」
と、村長がそう叫んだが、そんな村長を無視するかのように、
「あら、どうかしたのかしら?」
と、ケネスが首を傾げながら、村長の妻に向かってそう尋ねると、
「『どうかした?』ですって!? あなた達が殺すべき相手は、あそこにいる『異端者』と『悪しき種族』よ! どうして村人達まで殺されないといけないの!?」
と、村長の妻はヒステリックにそう怒鳴りながら尋ね返したので、その質問を受けたケネスは「ふふ」と笑うと、
「『悪しき種族』もそうだけど、『異端者』とはこの世界が生み出した『穢れ』。放置すれば、それはやがて人々の心すらも蝕んでしまうの。だからね、そうなる前に元凶の『異端者』だけでなく、その近くにいる者達も速やかに神々のもとへと送ることが、私達『断罪官』の使命なのよ」
と、村長の妻に……いや、彼女だけじゃなく、ニーナをはじめとした周囲の人達に向かって、穏やかな笑みを浮かべながらそう答えた。
その答えを聞いて、
「な、何だよ……何だよそれ!?」
と、先ほどまで「恐怖」で震えていたピートだったが、今はケネスの言葉に顔を歪ませ、今度は「怒り」で体を震わせていた。
そして、
「そ、そんな……ふざけんじゃないわよ!」
と、村長の妻もそう声を荒げたが、次の瞬間、「ドォオン!」と近くで新たな爆発音が上がったので、その場にいた者達がハッとその爆発が起きた方向を向くと、
「あ、あれは、私の家!」
爆発があったのは、村長と村長の妻の家だったので、
「む、息子が! 私の息子がぁ!」
と、村長の妻は、家に息子が眠っていたのを思い出すと、
「いやぁあああああ!」
と、悲鳴をあげながら、自宅に向かって駆け出した。
そしてそれを見て、
「行きなさい」
と、ケネスが近くにいた隊員にそう命令すると、
「は!」
と、命令を受けた隊員は、すぐに村長の妻を追ったので、
「ま、待てぇ!」
と、それを見た村長は、地面に押さえつけられた状態から強引に立ち上がると、
「い、行かせるものか……!」
と、すぐにその隊員を追いかけようとしたが、
「おっと!」
と、それを阻止するかにように、ケネスが村長の前に立ったので、
「そ、そこを退けぇ!」
と、村長はケネスに向かってそう怒鳴ったが、
「嫌よ」
と、ケネスは涼しい顔でそれを拒否すると、自身の「武器」を手に取った。
それは、鋭い刃を持つ両手持ちの大鎌で、
「だ、駄目です、そんちょ……!
と、それを見たニーナの父親がそう叫んだが、それを無視するかのように、ケネスは慣れた手つきでその大鎌を何度も振ると、
『あ……』
ニーナ達の目の前で、村長はバラバラに斬り刻まれてしまった。
ボトボトと地面に落ちた村長だったものである幾つかの肉片。
それを見て、
「いやぁあああああ!」
と、ニーナは顔を真っ青にして悲鳴をあげたが、そんな彼女を前に、
「さーてと」
と、ケネスはひと仕事を終えたとばかりに大鎌を担ぐと、ニーナの方を向いて、
「次はあなたの番よ、ニーナ・スターク」
と、優しそうな笑みを浮かべながらそう言った。
謝罪)
大変申し訳ありません。
前回もそうですが、今回も物語の進行上必要なこととはいえ、かなり残酷な部分が多いですので、読んでて気分を悪くしてしまったら、申し訳ありません。




