第278話 「異端者」2人と「裏切り者」の話・そして、「惨劇」が始まった
今回も、いつもより少し長めの話になります。
そして、かなり気分の悪くなる内容です。
断罪官第2小隊、通称「ランドルフ」小隊のケネス小隊長とその隊員達によって、木に縛られた状態で置き去りにされたアメリア。
先ほどまで泣き叫んでいた為か、その顔は流した涙の跡で汚れていて、表情も「絶望」に染まっていたが、
(嫌だ……嫌だ……)
と、アメリアは心の中でそう呟くと、
「諦めて……たまるか!」
と、今度はそう声に出して、
「スキル、『聖闘気』!」
と、自身が持つスキルの名を叫んだ。
職能「聖戦士」のスキルの1つ、「聖闘気」。それは、光属性の魔力を用いて、自身の身体能力を強化する能力だ。
ルーセンティア王国王都からここまで移動してきたアメリアは、もしもの時のことを考えて、なるべくスキルを使わないでいた。
しかし、自身が所属していた「ランドルフ小隊」に追いつかれただけでなく先に行かれてしまったので、
(今こそ、使う時だ!)
と考え、スキルを使うことにしたのだ。
まぁとにかく、アメリアはその「聖闘気」を用い自身の肉体を強化すると、その力で縛っていた縄を引きちぎった。
そして、漸く拘束から解放されたアメリアが、すぐにケネス達を追いかけようとすると、
「ブルル……」
と、背後でそんな声がしたので、アメリアは思わず「え?」と後ろを向くと、
「あ……」
そこには、アメリアが乗っていた馬がいたのだ。
(これは……『幸運』ってやつなのかしら?)
と、そう思ったアメリアは、すぐにその馬に跨ると、急いでその場から移動した。
一方、ニーナの故郷の村はというと、村の前に「断罪官」が到着したので、
「あ、ああ、なんてことだ……」
と、村長が「絶望」で顔を真っ青にし、それに続くように、ニーナの両親も「もう、終わりだ……」と言わんばかりに表情を暗くしたが、
「ああ、とうとう来たのね!」
と、逆に村長の妻はパァッと表情を明るくした。
そして、断罪官の隊員達が次々と馬から降りて、村の中に入ると、
「ここが、アメリアの故郷ね」
と、彼らの中心人物らしき美しく顔の整った長髪の男性が、何やら女性っぽい口調でそう呟いたので、その言葉にニーナの父親が「え?」と反応すると、
「ようこそ断罪官の皆様!」
と、村長の妻がタタタッと断罪官の隊員達に駆け寄りながらそう挨拶(?)してきたので、
「あなたがこの村の代表かしら?」
と、長髪の男性はやはり女性っぽい口調でそう尋ねた。
その質問に対して、
「はい! わたくし、この村の村長の妻をしております!」
と、村長の妻は笑顔を浮かべて媚びるような口調でそう答えると、
「『妻』? 村長ではないのかしら?」
と、長髪の男性は首を傾げながら再びそう尋ねたので、村長の妻はすぐに表情を変えて、
「ええ、そうなのですよ。そして、大変申し訳ないのですが……」
と、わざとらしく「よよよ……」と嘘泣きしながらそう答えると、チラッと地面に押さえつけられてる村長を見ので、それが気になった長髪の男性も、村長に視線を向けると、
「……これは、一体どういう状況なのかしら?」
と、何処か冷たい口調で更にそう尋ねた。
その質問を聞いて、村長だけでなくニーナやピート、そしてニーナの両親……否、最早周囲の人達が、長髪の男から何かを感じたのか、皆ビクッと体を震わせたが、ただ1人、村長の妻だけは平気な様子で、
「実を申しますと、今回、断罪官の皆様を呼んだ理由は……」
と、体をクネクネとさせながら猫撫で声でそう言うと、
「そこの『異端者』を裁いてほしいからなのです!」
と、キッとニーナを睨みながらそう言ったので、
「……ああ、あの子が固有職能『呪術師』の固有職保持者、ニーナ・スタークなのね?」
と、長髪の男性はニーナを見てそう尋ねた。
その質問に対して、ニーナは再びビクッと体を震わせたが、そんなニーナを無視して、
「ええ、その通りです! そして、それだけではありません!」
と、村長の妻は声高々にそう答えると、
「あの娘の隣にいる少年ですが、あいつは、『悪しき種族』と呼ばれし『獣人』なのです!」
と、最後にピートをキッと睨みながらそう付け加えた。
その言葉にピートが「ぐるる……」と怒りで歯を剥き出しにしていると、
「まぁ! それは本当なの!?」
と、長髪の男性が驚きながらそう尋ねてきたので、
「ええ、本当です! あの2人はそれぞれ自身の力を使って、私の息子とその仲間達を、見るも無惨な姿に変えてしまったのです!」
と、村長の妻は再び「よよよ……」と嘘泣きしながらそう答え、更に、
「そしてそれだけではありません! なんと、そこにいるあの娘の両親は、『五神教会』の人間でありながら、娘が固有職保持者だということを知ってて、わたくしの夫である村長と共にずっと隠していたのです! 更に息子とその仲間達を傷付けたあの娘と少年を村から逃がそうとしていたので、それを知ったわたくしは、こうしてそれを阻止したという訳なのです!」
と、村長とニーナの両親を見ながらそう付け加えたので、
「あらあらあら! それが本当なら、五神教会……いえ、『偉大なる5柱の神々』に対する裏切り行為じゃないの!」
と、それを聞いた長髪の男性が驚きに満ちた表情でそう言い、それを聞いた村長の妻が「その通りです!」と返事すると、長髪の男性はクルッとニーナの両親の方を向いて、2人の近くまで歩み寄った。
そして、長髪の男性は2人に向かって、
「はじめまして。私は、断罪官第2小隊隊長のケネス・ランドルフ。失礼だけど、2人はアメリア・スタークのご両親よね?」
と、自己紹介しつつそう尋ねた。
その質問に対して、
「え? な、何故、アメリアのことを……?」
と、ニーナの父親が長髪の男性……ケネスに向かって恐る恐るそう尋ね返すと、
「あら、もしかしてご存知ないの? あの子も『断罪官』の隊員なのよ。しかも、私達第2小隊の一員なの」
と、ケネスは意外なもの見たかのように目を大きく見開きながらそう答えたので、
「そ、そんな……そんな馬鹿な!」
と、ニーナの父親は顔を真っ青にしながらジタバタともがいたが、男性の押さえつけられた状態では全く無意味だった。
そんなニーナの父親を見て、
「なんてこと、アメリアったら家族に何も伝えてないなんて……まぁ、気持ちはわかるけど」
と、ケネスは「あちゃー」と言わんばかりに天を仰ぎ見ながらそう言うと、
「さぁさぁ断罪官様方! お話はもうそれくらいにして、早いとこあの異端者に神聖な裁きを……!」
と、村長の妻が笑顔でそう催促してきたので、
「……そうね」
と、ケネスはそう返事すると、自身の懐から何やら装飾が施された小さな金色の玉を取り出して、それをグッと握り締めると、すぐにその金色の玉を空へと放り投げた。
次の瞬間、金色の玉から眩い光が放たれ、その後すぐに、その光は大きく広がって、まるでドームのように村全体を覆った。
突如現れた光を見て、
「な、なんだこれは……?」
と、村長がそう疑問を口にすると、
「さぁ、あなた達……」
と、ケネスは隊員達に向かってそう口を開き、
「1人残らず……殺しなさい!」
と、隊長らしい強めの口調でそう命令し、
「や、やめろぉおおおおおおおっ!」
と、それを聞いた村長はそう悲鳴をあげた。
そして、「虐殺」が始まった。
謝罪)
大変申し訳ありません。
物語の進行上必要なこととはいえ、今回はかなり酷い内容になってると私も思ってます。
読んでて気分を悪くしてしまったら、本当にすみません。




