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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第7章 対決、「断罪官」

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第273話 「異端者」2人と「裏切り者」の話・悲劇の始まり・2

 今回は、いつもより少し長めの話になります。


 「じゅ、『獣人』!? 『悪しき種族』の1つ、『獣人』だとぉ!?」


 と、目の前で「獣」の姿に変身したピートに、驚きを隠せない村長の息子。


 いや、彼だけではない。ニーナを周囲の人達までもが、ピートの姿に恐れ慄いていた。当然だろう。何せ、今自分達の目の前にいるのは、「悪しき種族」と恐れられてる「獣人」なのだから。その姿を前にして、村長の息子をはじめとした村の住人達は勿論、日頃から「『獣人』とは『邪神』の加護を受けし『悪しき種族』の1つである」と教え込まれてる五神教会の人間達も、恐怖で全身をブルブルと震わせていた。

 

 しかし、


 (ああ、ピート。やっぱり変身した姿も可愛いな)


 ただ1人、ニーナだけは違っていた。


 何故なら、彼女は「獣」の姿に変身したピートを何度も見ていたからで、変身する度に、


 「か、可愛い! 可愛すぎる!」


 と、「ちょ、ニーナお姉ちゃんやめてよぉ」と嫌がるピートを無視して彼の身体を触りまくっていたのだ。


 まぁそれはさておき、ニーナは取り巻きに拘束されてるのにも関わらず、変身したピートを見てうっとりしていると、


 (は! い、いけない! 今は見惚れてる場合じゃない!)


 と、すぐにハッと我に返って、


 「ぴ、ピート、逃げて!」


 と、ジタバタしながらピートに向かってそう叫んだが、


 「おい! 大人しくしてろ!」


 と、ニーナを拘束している取り巻きに怒鳴られてしまったので、


 「お前ぇ! ニーナお姉ちゃんを離せ!」


 それが、更にピートの怒りに火をつけた。


 そして、


 「は!」


 ピートの怒声によって村長の息子は我に返ると、


 「お、お前ら、何してる! 倒せ! あの『悪しき種族』を倒すんだ!」


 と、残りの取り巻き達に向かってそう命令し、それを聞いた取り巻き達は村長の息子と同じようにハッと我に返ると、ニーナを拘束している者を残して、皆、ピートの前に立つと、それぞれ武器を構えたりして戦闘態勢に入った。取り巻き達の人数は4人。全員がピートをキッと睨みつけたが、ピートも4人をキッと睨みつけながら、いつでも飛び出せる姿勢になった。


 そして、最後に村長の息子がピートに向かって1歩前に出ると、


 「スキル発動! 『部隊強化』!」


 と、取り巻き4人に向かってそう叫んだ。その瞬間、取り巻き達の全身が赤い光に包まれて、その影響なのか、


 『うおおおおお!』


 と、取り巻き達が皆そう雄叫びをあげた。よく見ると、4人の全身がビキビキと音を立てながら膨れ上がっていき、暫くすると、取り巻き達の体はムッキムキの筋肉のある体付きになったので、


 「ああ、なんてこと……!」


 と、それを見たニーナの表情は真っ青になった。


 さて、ここからは村長の息子の職能について説明させてもらおう。


 彼が神々より授かった職能の名は、「戦闘指揮官」。固有職能っぽい名前だが、れっきとした上位の戦闘系職能の1つだ。


 これ自体にも攻撃系のスキルを有しているので戦うことは出来るが、この職能の()()()()()()ところは、「味方の能力を限界以上にまで強化する」というところで、味方の能力が高ければ高いほど強化される部分も大きくなってしまうのだ。


 そして今、村長の息子はその「戦闘指揮官」のスキルを用いて、取り巻き達を強化したというわけだ。


 今にも飛び出しそうなピートを前に、


 「お前達、やれ!」


 と、村長の息子がそう命令すると、取り巻き達が一斉にピートに襲いかかった。


 ある者は小振りの剣や斧を振り、ある者は攻撃系の魔術まで放ってきた。それだけでも厄介だが、そこへ更に、先ほどピートによって倒された大柄の取り巻きまでもが復活して、同じピートに襲いかかった。


 これらの攻撃に対して、


 「邪魔するなぁ!」


 と、ピートは叫びながらその全てを回避しつつ、隙をついて反撃したが、強化された取り巻き達を前に苦戦を強いられて、次第にピートは追い詰められていった。


 そして遂に、


 「がは!」


 と、ピートは取り巻き達の攻撃を捌ききれず、彼らの1人の攻撃を食らって吹っ飛ばされ、地面に激突し、それと同時に変身も解かれて、姿が『獣』から元の姿に戻ってしまった。


 それを見て、


 「ピート! いやぁ!」


 と、ニーナは悲鳴をあげたが、


 「よ、よし!」


 と、村長の息子はチャンスと思ったのか、腰に下げていた剣を鞘から引き抜いて、


 「どけ! トドメは俺がする!」


 と、取り巻き達に向かってそう命令しながら、ピートのもとへと近づいた。


 その時だ。


 「そ、そんなの……駄目ぇ!」


 と、ニーナはそう叫ぶと、自身を拘束していた取り巻きの足を思いっきり踏んづけた。


 「いってぇ!」


 と、思わぬ一撃を受けた取り巻きがそう悲鳴をあげると、痛さのあまり踏まれた足に触れようとしてニーナを離してしまったので、


 (あ、動ける!)


 と、チャンスと思ったニーナは、すぐにその場から駆け出して、


 「え、ニーナ!?」


 と、驚く村長の息子を追い抜き、ピートの傍に立つと、


 「ピート! 大丈夫!?」


 と、彼の体を抱き寄せながらそう話しかけた。


 その声が聞こえたのか、


 「う、うーん。ニーナ……お姉ちゃん?」


 と、ピートが弱々しくそう返事すると、それを聞いたニーナはホッと胸を撫で下ろしたが、


 「に、ニーナ! そこを退け!」


 と、村長の息子が剣の切先をピートに向けながら、ニーナに向かってそう命令してきたので、それを聞いたニーナは、


 「よ、よくも……よくもピートを!」


 と、ギロリと村長の息子を睨みつけると、


 「お前らなんか……()()()()()()()!」


 と、村長の息子と取り巻き達に向かって、怒りのままにそう叫んだ。


 その叫びを聞いて、周囲から「え?」と声があがった次の瞬間、なんと、村の建物の影や、木の影、更にはニーナの父親をはじめとした村の住人達の影から、紫色に輝く無数の鎖が現れて、村長の息子と取り巻き達の全身に巻き付いた。


 それを見て、


 「な、なんだこれは……!?」


 と、村長の息子がそう叫び、取り巻き達と共に鎖から逃れようとしたが、その瞬間、鎖から出る紫色の輝きが更に増して、


 『ぎゃあああああっ!』


 と、村長の息子と取り巻き達は皆、悲鳴をあげた。よく見ると、彼らの体がどんどん干からび出していったので、それを見た周囲の人達は「ひ!」と悲鳴をあげた。


 それから少しすると、村長の息子と取り巻き達に巻き付いていた紫色に輝く鎖は消えたが、


 『う……あ……』


 彼らの全身は枯れ木のように細くなっていて、それはまるでミイラのような惨い姿になっていた。


 それを見て、


 「こ……これは、一体……」


 と、ニーナの父親と同じ法衣姿の男性がそう呟くと、


 「まさか……スキル『鑑定』発動!」


 と、すぐニーナを見てスキルを発動した。


 その結果、


 「そ、そんな……固有職能『呪術師』? 固有職保持者だと!?」


 と、ニーナを見て恐怖で顔を歪ませながらそう叫んだ。


 そしてそれが引き金になって、


 「な、なんだって?」


 「固有職保持者?」


 「悪魔の力!?」


 と、周囲からそんな声があがったが、


 「あ……う……」


 と、ニーナは意識を失ってその場に倒れてしまい、


 「に、ニーナお姉ちゃん!」


 「ニーナァ!」


 と、ピートとニーナの父親はそう悲鳴をあげた。


 こうして、ニーナとピートの「逃亡計画」は発動することなく終わり、2人の「正体」が村の住人達に知られてしまった。


 そして、


 「う……嘘だ……嘘だ……嘘だぁあああああああっ!」


 その報せは、姉のアメリアの耳にも入ることになった。




 


 


 

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