第267話 「異端者」2人と「裏切り者」の話・ニーナとピートの出会い
遅くなりました、1日遅れの投稿です。
そして、今回はいつもより長めの話になります。
時は戻って、現在レナとヘリアテス実家内。
「……なるほど、それはさぞかしショックだったね」
と、アメリア達の話を聞いて、ヘリアテスは「ふぅ」とひと息入れながらそう言った。
その言葉を聞いて、
「はい。まさか、自分の妹が『異端者』だと知ることになるなんて、その時はとても信じられない想いでいっぱいでした」
と、アメリアは表情を暗くすると、
「……ごめんなさい。姉さん」
と、隣に座るニーナも本気で申し訳なさそうに表情を暗くしながら、アメリアに向かって謝罪した。
そんな2人を前に、
(なんて皮肉な話なんだ。『家族』を守る為に頑張ってきたっていうのに、その家族を『異端者』として討伐しなきゃならなくなったなんて……)
と、春風も表情を暗くしながら、心の中でそう呟いていると、
「ニーナさん」
と、ヘリアテスがニーナに話しかけてきたので、それにニーナが、
「は、はい!」
と、ビクッとしながらもそう返事すると、
「ちょっと確認したいんだけど、ニーナさんは自分の固有職能を誰にも話したことないんだよね?」
と、ヘリアテスが真剣な表情でそう尋ねてきたので、
「……はい。初めて魔物を殺して、初めて自分の『ステータス』を見たあの日から、私はずっと周りに内緒にしてきました。自分で言うのもお恥ずかしい話なのですが、その頃の私には『友達』と呼べる者はいなくて、1人でいることが多かったんです。ですから、周りの誰かに怪しまれることもなく隠し通すことが出来たんです」
と、ニーナはコクリと頷きながらそう答えた。
その答えを聞いて、ヘリアテスが「そうだったの……」と呟くと、
「ん? ちょっと待って」
と、何かに気付いたかのようにハッとなって、
「それじゃあ、いつどこでバレてしまったの? それに、ピート君はニーナさんの『固有職能』のこと知ってるの?」
と、ニーナに向かって首を傾げながらそう尋ねた。
その質問に対して、
「それは……」
と、ニーナは不安そうな表情でチラッと隣に座るピートに視線を向けると、丁度ピートと目が合った。
すると、ピートは何かを察したのか、
「だ、大丈夫。僕も一緒に話すから」
と、「女神」であるヘリアテスを前に緊張しつつも、ニーナを勇気づけるかのように笑顔でそう言ったので、その笑顔を見て意を決したのか、ニーナはコクリと頷くと、ヘリアテスに向き直って、
「わかりました。その辺りのこともお話しします」
と言うと、
「お話は3年前、私とピートが出会った時のことですが……」
と、当時のことについて話し始めた。
時は3年前、アメリアが故郷の村を旅立ってから、1年の月日が経った時のことだった。
いつものようにニーナが森の中を散歩していると、
(……ん?)
と、森の中で何かの気配を感じて、その場に立ち止まった。
(何だろう。何かいるのかな?)
と、そう疑問に思ったニーナは、「また魔物かな?」と不安になりながらも、その何かの気配の正体を確かめようと、恐る恐るその気配のある方へと向かった。勿論、何かあるといけないから、近くに落ちてた長い木の枝を拾って、それを武器代わりにギュッと握り締めた。「呪術師」としてのスキルも使うことを考えたが、後になって調べてみたところ、強力だがデメリットもあったので、万が一の時以外は使わないでおこうと決めていた。
まぁそれはさておき、ニーナが拾った木の枝をギュッと握りながら、恐る恐る気配のもとへと近づくと、
「……あ、誰か倒れてる!?」
と、そこには誰かが倒れてるのが見えたので、ニーナはすぐに「助けなきゃ!」とその場から駆け出そうとしたが、
(……で、でも、悪い人だったらどうしよう)
と、すぐにその考えが浮かんで不安になってしまったので、ニーナは倒れてる人物を警戒しながら、少しずつ近づくことにした。
そして、倒れてる人物の近くまで進むと、
(お、男の子に見える……けど……)
その正体は見たところ、自分より年下の少年なのだが、
(え、待って、あの頭から出てるの、犬の耳? それに、尻尾もある?)
なんと、その少年の頭に犬の耳らしきものが、お尻の辺りには犬の尻尾らしきものが見えたので、
「も、もっと、よく見ないと……」
と、ニーナが更にソーッと近づくと、落ちていた木の枝に気付かなかったのか、それを思いっきり踏んでしまった。その瞬間、木の枝はパキッと男を立てて折れてしまい、
「あ!」
と、ニーナがそれに驚くと、
「あ……」
と、倒れていた少年も気がついて、ゆっくりとニーナに視線を向けると、
「っ!」
少年はすぐに飛び起きて、
「ぐぅううう……」
と唸りながらニーナを睨みつけた。
少年に睨まれて、
「う……あ……」
と、ニーナは怯えた表情でギュッと木の枝を握り締めたが、
(あれ?)
よく見ると、少年の頭から出てる犬の耳らしきものがピンッと立っていて、お尻の辺りから出てる犬の尻尾のようなものも、毛を逆立てながらピンッとしていたので、それを見た瞬間、
(こ、この子……もしかして、お父さんとお母さんの話に出てた『獣人』!?)
と、ニーナはその少年が「獣人」かもしれないと感じた。
ニーナは幼い頃から姉のアメリアと共に、五神教会の人間である両親から、「悪しき種族」と呼ばれている「獣人」と「妖精」について話を聞いていた。
ただ、当時はまだ2人とも幼かったので、両親の話を聞いて、ニーナは「獣人」と「妖精」のことを「魔物と同じ悪い存在」と認識し、その姿も魔物と同じ悍ましいものだと思っていた。
しかし、実際に「本物の獣人」らしき少年を目の前にした瞬間、
「か……可愛いいいいいっ!」
その考えは一気に吹き飛んだ。
突然表情を明るくしながら叫んだニーナに、
「……へ?」
と、獣人らしき少年がそう声をもらしてペタリとその場にへたり込むと、ニーナは持っていた木の枝を捨ててその獣人らしき少年に駆け寄り、
「か、可愛い! すっごく可愛い! あなた『獣人』なの!? もしかして、本当に『獣人』なの!?」
と、もの凄い勢いで問い詰め始めた。
怒涛の勢いで質問された獣人らしき少年は、あまりのことに目をパチクリとさせると、
「あ……うん。僕、ピート。犬の『獣人』……です」
と、コクリと頷きながらそう答えたので、
「わぁ、やっぱり!」
と、ニーナは更に表情を明るくした。
その後、
「ね、ねぇねぇ! あなた、何処から来たの!? 今1人なの!? 他に仲間はいないの!?」
と、ニーナは更に「ピート」と名乗った少年……以下、ピートに詰め寄ったが、
「あ……あのぉ……」
と、ピートは怯えたかのようにプルプルと全身を震わせたので、それを見てニーナは「あ、しまった!」と相手を怖がらせてしまったと思い、ピートから少し離れると、ゆっくりと深呼吸して、
「私ニーナ。ニーナ・スターク。よろしくね」
と、ピートに向かって笑顔でそう自己紹介したので、
「ぼ、僕……ピート・コリンズ。さっきも言ったけど、犬の『獣人』、です」
と、それを聞いたピートも、ニーナに向かって改めてそう自己紹介した。
その瞬間……。
ーーぎゅううううう。
と、ピートのお腹がそう鳴り出したので、
「あ……」
と、ピートは恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
それを見て、ニーナも「あ……」と声をもらすと、「うーん」と考え込んで、
「えっと、ピート……君でいいんだよね?」
と、尋ねてきたので、それにピートが「う、うん」と返事すると、ニーナは彼の手を取って、
「来て!」
と言って、「あ、ちょっと……!」と驚くピートの手を引っ張りながら、一緒にその場から歩き出した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




