第249話 「侵入者」達の正体
本日2本目の投稿です。
宿屋「白い風見鶏」への道の途中、対峙する春風と3人の「侵入者」達。
その周囲には、レナをはじめとした複数の武装した男女がいる。
何故、これほどの人数が集まったのか?
それは、遡ること数時間前、春風とレナがナンシーの店を手伝っていた時のことだった。
「お待たせしました」
と、店の従業員「スカーレット」ととして働いていた春風が、ヴァレリー達のところに注文の品を運んだ時、こっそりとヴァレリー達に、
「すみません、あちらに座ってる3人から、何やら不穏な気配を感じます」
と、小声でそう告げたので、
「わかった、何人かメンバーを呼んでおく」
「僕達も協力しますよ」
「では、私は万が一に備えて準備をしておきます」
と、ヴァレリー、タイラー、そしてフレデリックは真剣な表情でコクリと頷きながら、小声でそう答えた。昨日、春風が「侵入者」達について報告したのがよかったのか、ヴァレリー達は店を出た後、すぐにメンバーを複数集めて、春風達が店を出るのを待った。
その後、店を出た春風の後を追い、彼の前に「侵入者」達が現れたので、皆、「待ってました!」と言わんばかりに現れたのだ。
そして現在、
「さて、侵入者の皆さん。大人しく、捕まってくれませんか?」
と、3人の「侵入者」達の前でそう言った春風。そんな春風の言葉に、
「く……」
と、ショートヘアの女性はタラリと汗を流し、
「ね、姉さん……」
と、三つ編みの少女がショートヘアの女性の傍に寄り添い、
「うぅ……!」
と、幼い少年は今にも飛びかかるんじゃないかと思うくらいの姿勢で周囲を睨みつけていた。
そんな3人を他所に、
「春風!」
「兄貴!」
「春風さん!」
「春風!」
と、レナ、ディック、フィオナ、そして、アーデの4人は、「侵入者」達を見つめながら、いそいそと春風に駆け寄った。
そんな4人を見て、
「レナ、みんな……」
と、春風がそう声をもらすと、
「春風、大丈夫!?」
と、レナがそう声をかけてきたので、
「うん、俺は大丈夫。ただ、なんか連れてかれそうになったけど」
と、春風はニコッとしながらそう返事したが、
「いや、それ全然大丈夫じゃないから」
と、アーデにそうツッコミを入れられてしまったので、
「あはは。まぁ、そうなんですけどね」
と、春風は苦笑いした。
まぁそれはさておき、
「さて、あんた達。大人しく一緒に来てもらおうか」
「勿論、悪いようにはしませんよ」
と、ヴァレリーとタイラーが「侵入者」達に近づきながらそう声をかけると、
「だ、駄目!」
と、三つ編みの少女がそう叫んで、バッと何もない空間に右手を翳し、
「『無限倉庫』!」
と、再びそう叫んだ。
それを聞いて、
「「え?」」
と、春風とレナがそう声をもらした次の瞬間、三つ編みの少女が翳した右手の前の空間に黒い穴が現れ、三つ編みの少女がその黒い穴に右手を突っ込むと、そこから何かを取り出した。
その正体は、小さめの斧の刃と鎌の刃がついた槍……ハルバードだった。
そしてそれを見て、
「な、何だ!? 何処から出した!?」
と、ヴァレリーをはじめ、タイラーや他の武装した男女が驚く中、
「姉さん!」
と、三つ編みの少女が、取り出したハルバードをショートヘアの女性に渡した。
「ああ!」
と、そう言ってショートヘアの女性はそのハルバードを受け取ると、
「ふ!」
と、近づいてきたヴァレリーとタイラーに向かってブンッと払うようにそれを振ってきたので、
「「っ!」」
と、ハッとなった2人はすぐにその場から飛び退いてそれを回避した。
それを見て、
「ヴァレリーさん! タイラーさん!」
『リーダー!』
と、春風と周囲の武装した男女がそう叫んだが、
「こっちは大丈夫だ! 全員、構な!」
と、ヴァレリーがそう返事したので、それを聞いた武装した男女はすぐにそれぞれ武器を構え出した。
当然、ディックとフィオナ、そしてアーデも自分の武器を構えるが、春風とレナはというと、
「ねぇ、春風。今あの子が使ったのって……」
「うん、間違いない。『無限倉庫』だ」
と、三つ編みの少女をジッと見つめながら、周りに聞こえないように小声でそう話し合い、その後、
(そして、あの子は俺とレナと同じ『固有職保持者』だ!)
と、春風は心の中でそう呟いた。
すると、
「お姉ちゃん達に手を出すな!」
と、今度は幼い少年が、1歩ヴァレリーとタイラーの前に出ると、
「うううぅ……!」
と、全身に力を入れるように唸り出したので、
「お、おいおい坊や、何する気だ……?」
と、それを見たヴァレリーがそう尋ねようとした、次の瞬間、
「うごぉあああ……!」
と、叫ぶ少年の体が変化し始めた。
両手が毛で覆われ、爪が鋭く伸び、顔も両手と同じように毛で覆われただけでなく、顔自体の形も少しずつ変化していった。
そして、その顔の変化が終わった時、「人間の少年の顔」だったその顔は、明らかに「獣」、それも「犬」もしくは「狼」の顔になっていたので、
「「へ、変身したぁ!?」」
と、幼い少年のあまりの変わりぶりに、ディックとフィオナが目を大きく見開きながら驚いた。
いや、ディックとフィオナだけではない、アーデやヴァレリー、タイラー、そして武装した男女も、「犬」もしくは「狼」のような顔付きになった幼い少年に驚きを隠せてなかった。
そして、
「お、おい、あれってまさか……」
と、ヴァレリーがタラリと汗を流しながらそう口を開き、それに続くように、
「ええ。あの姿、間違いありません……」
と、タイラーもそう口を開き、
「あの少年、『獣人』です!」
と、幼い少年を見てそう言った。
その時だ。
「いえ、それだけではありませんよ」
という声がしたので、春風をはじめとしたその場にいる者達全員が声がした方へと振り向くと、
「あ、フレデリック総本部長」
そこにいたのは、ハンターギルド総本部長のフレデリックだった。
フレデリックはヴァレリーとタイラーの間に立つと、
「ふむ、これはなんとも妙な状況ですね」
と、落ち着いた態度でそう口を開いたので、
「総本部長さん、何か知ってるんですか?」
と、春風がそう尋ねると、
「ええ、知ってますよ」
と、フレデリックはニコッとしながらそう返事すると、目の前にいるハルバードを構えたショートヘアの女性に向かって、
「元・断罪官の隊員、アメリア・スタークさんですね?」
と尋ねた。
謝罪)
遅くなりましたが、ここへきて初めてスキル「無限倉庫」発動の様子を書かせてもらいました。
書くのが遅くなってしまって、大変申し訳ありませんでした。




