第159話 アーデ、「報告」をする
遅くなりました、1日遅れの投稿です。
そして、お待たせしました、今章最終話です。
さて、春風とレナが総本部を出て自分達の「拠点」に戻っている中、アーデもまた総本部を出て帰路についていた。
ここだけの話だが……アーデは元々、このフロントラルの人間ではない。
彼女はとある理由で3年前からこのフロントラルで暮らしていて、その流れでハンターとして活動し、現在ではレギオン「黄金の両手」のリーダーであるタイラーの助手という地位を得ている。
そんな彼女の家があるのは、フロントラル内に幾つか存在する区画の1つである「居住区」で、にそこは大勢の人達で賑わっている「商業区」とは違って、多少の街灯や建物……というより住居の明かりはあるがとても静かで、その雰囲気が逆に心地いいと感じている人もいるという。勿論、アーデもその1人だ。
アーデの家はそんな静かな雰囲気をした居住区の片隅にあって、他の家々の影に隠れる形でひっそりと建っている一軒家だ。とてもこぢんまりとしている為、近所の人が教えない限り誰もその存在に気付くことはないそうだ。
まぁとにかく、アーデはそんなこぢんまりとした家に着くと、持っている鍵を使って玄関の扉を開けて中に入ろうとしたが、
「おっと、その前に……」
と、アーデがそう呟くと、彼女は手を2回ほど叩いた。
次の瞬間、アーデの背後に、全身黒い装束に身を包んだ1人の人物が現れた。
アーデはその黒装束の人物に向かって、
「ねぇ、今日の映像は撮ることが出来た?」
と、尋ねると、黒装束の人物はコクリと頷きながら、アーデにとある物を差し出した。
それは、シンプルな装飾が施された、12個の手の平サイズの木箱だった。
アーデはその木箱を見て、
「うん、『保存用』と『観賞用』。そして、『お土産用』が2つずつ。ちゃんと用意出来てるね」
と、「ふふ」と笑いながらそう呟くと、
「ありがとう。今日はもうゆっくり休ん……」
と、黒装束の人物に向かってお礼を言ったまさにその時、黒装束の人物はスッと右手を上げて無言の「待った」をかけてきたのだ。
その様子を見て、
「え、何? 何かあったの?」
と、アーデはギョッと目を見開くと、黒装束の人物はアーデに近づき、
「……」
と、ボソボソと小さな声で何かを伝え始めた。
そして、それを聞き終えると、
「……それ、本当なの?」
と、アーデは恐ろしく真剣な表情でそう尋ねてきたので、黒装束の人物は無言でコクリと頷いた。
その後、アーデは「うーん……」と考え込んだ後、
「うん、ありがとう。これについても報告させてもらうね」
と、黒装束の人物に向かってそう言うと、最後に「じゃあ、もう今日はゆっくり休んでね」と付け加え、それを聞いた黒装束の人物はシュッとアーデの前から消えた。
その後、残されたアーデは「さてと」と言って玄関の扉を開けて中に入った。
家の中は真っ暗だったが、アーデが近くの壁に取り付けられた金属板に触れた瞬間、部屋全体が照明を点けられたかのようにパァッと明るくなった。
家の中は隅々まで掃除が行き届いているのかとても綺麗で、それを見たアーデは「ふぅ」ひと息入れるた後、玄関の扉を閉めて何処かに向かい始めた。
ついたところは地下へと続く階段の前で、アーデがその階段を降りていくと、赤、青、緑の3つの扉の前に出た。
そして、アーデが青の扉を開けて中に入ると、その先にあったのは、大きくて広い浴槽があるバスルームで、アーデは扉を閉めた後、浴槽に水を入れてお湯を沸かし始めた。その後、今日身につけていた装備や衣服などを全て脱いで、それらを近く置かれた籠の中に放り込んだ。
その後、一糸纏わぬ姿になると、浴槽近くのシャワーで体を洗い、それが終わるとゆっくりと浴槽に入って、今日の疲れをとった。
それから暫くすると、バスローブを着たアーデがバスルームを出ると、今度は緑の扉を開けてその向こうへと入った。
そこはどうやらアーデの寝室のようで、大きめのベッドの他にはシンプルな机と椅子にクローゼット、そして、ベッドの傍の壁際には、青い宝石がついた大鏡が置かれていた。
寝室に入ったアーデは、早速その大鏡についている青い宝石に触れた。
次の瞬間、大鏡が眩い光を放ち、先ほどまで映っていたアーデの姿が消えて、代わりに1人の男性の姿が映し出された。
男性がアーデに向かって口を開く。
「おう、アーデ。こんな夜遅くにどうしたんだ?」
と、尋ねてきた男性に、アーデは答える。
「こんばんは、父様。実はご報告したいことがあります」
と、真剣な表情でそう言ったアーデに、
「むむ、どうした? いつになく真剣だな」
と、「父様」と呼ばれた男性がふざけた感じで身構えながらそう尋ねると、
「雪村春風が、フロントラルに現れました」
と、アーデは真剣な表情のままそう答えたので、
「……それは、マジな話なのか?」
と、男性もアーデと同じように真剣な表情でそう尋ねると、
「はい、父様の言う通り、『可愛い女の子ような顔付きをした黒髪の少年』でした。そして、その傍にはレナ・ヒューズの姿もありましたので、間違いありません」
と、アーデは真剣な表情を崩さずにハッキリとそう答えた。
その答えを聞いて、男性が「そうか」と返事すると、
「アーデ……いや、我が娘、アデレード・ニコラ・ストロザイアよ。この父、ヴィンセント・リアム・ストロザイアに、詳しい話を聞かせてほしい」
と、先ほど以上に真剣な表情でそう言ってきたので、アーデ……否、アデレードはそれに「わかりました」と頷きながら言うと、男性……ヴィンセントに向かって、今日のことを全て話し始めた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせることが出来ずに、結果、1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。
そして、以上で今章の話自体は終わりましたが、最後にもう1本投稿した後、次の章へと入ります。




