第153話 春風vsアーデ
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「それでは、始め!」
と、フレデリックがそう掛け声をあげてすぐに、春風とアーデは動き、お互い持ってる武器を振るった。
春風の武器は翼丸という刀と、緑色をした刀身を持つ小振りの剣となった夜羽。
一方アーデの武器は、同じ形の刃を持つ2振りの小振りの剣……双剣。
お互い目の前の相手に向かって振るった武器が、ガキィンと大きな音を立てる。
それから数秒程鍔迫り合いをした後、春風とアーデはすぐにその場から下がって、再び両手に持った刃を振るった。
アーデが右手の剣を振れば、春風はそれを左手の夜羽で防御する。
そのお返しと言わんばかりに、今度は春風が翼丸を振るったが、あーではそれを左手の剣で防御する。
そんな風に繰り返される春風とアーデの一進一退の攻防を見て、周囲の人達は、
(こ、これは、一体どっちが勝つんだ!?)
と、心の中でそう疑問呟きながら、ゴクリと唾を飲み、タラリと汗を流していたが、それと同時に、
(もっと、この2人の戦いを見ていたい!)
とも思っていた。
何故なら、皆、武器を手に軽やかに動きながら戦う春風とアーデの姿を見て、
(な、なんて美しいんだ)
と、感じていたからだ。
そして、それはレナ達も同様で、アーデを相手に武器を振るう春風を見て、
(は、春風。なんか凄く綺麗なんだけど)
と、レナは顔を赤くし、
「す、凄いな、彼は……」
と、エリックは目の前で起きてる戦いを見てそう口を開き、それに続くように、
「あ、ああ、そうだな」
「う、うん」
と、イアンとステラもコクリと頷きながらそう呟いた。
そんな状況の中、
「ふーむ」
と、フレデリックは冷静な表情でそう声をもらすと、
(確かに、春風さんとアーデさんの戦いぶりは素晴らしい)
と、心の中でそう感心したが、それと同時に、
(しかし、春風さんが僅かに押されているみたいですね)
と、目の前の春風とアーデの戦いを見て冷静にそう分析もしていた。
そして、そう感じてたのはフレデリックだけではなかった。
(うぅ。不味いな、だいぶ押されてるぞ俺)
そう、実はアーデと戦っていた春風自身もそう感じていたのだ。
そんな春風の内心に気付いたのか、
「どう? 私、結構強いでしょ?」
と、アーデは右手の剣の切先を春風に向けながら、まるで挑発するかのようにニヤッとしながらそう尋ねてきたので、それに春風はピクッとなったが、
「そうですね。確かに、アーデさんは強いですよ。レベルはきっと俺よりも上でしょうし、戦闘技術だってあなたの方が高いと、今日一緒に仕事をしてそう感じました。そんなあなたと比べたら……いえ、比べるのもおこがましいでしょうが、俺なんて全然駄目だと思います」
と、落ち着いた口調でそう返事した。
そんな春風の言葉を聞いて、
「随分と自分のこと下に見てるね」
と、アーデは「むむ!」としながらそう言ったが、
「事実ですから」
と、春風は弱々しい笑みを浮かべながらそう返事したので、
「私を相手にここまで戦えてる癖に……」
と、アーデは小さくそう言いながら「むぅ」と頬を膨らませた。
しかし、
「ですので……」
と、春風がそう口を開いたので、それにアーデが「ん?」と反応すると、
「足りない部分は、『勝利への執念』で補います」
と、春風は真っ直ぐアーデを見つめながらそう言った。
その言葉を聞いて、
『おぉ!』
と、周囲からそんな声が上がり、
「……いいねぇ!」
と、アーデはパァッと表情を明るくした。
そんなアーデを前に、
「という訳で……」
と、春風はそう言って両手に持った翼丸と夜羽をグッと握り締めると。
「『アクセラレート』」
と、小さくそう呟いた。
次の瞬間、春風の両足が夜羽の時と同じように緑色に光り出したので、それを見たアーデが「え?」と声をもらすと、
「……火の型」
と、再び春風は小さくそう呟いて、
「いきます」
と、アーデのもとへと駆け出した。それも凄く早いスピードでだ。
突然の事に一瞬ポカンとなったアーデだが、そんな彼女を無視して、春風は手にした刀と剣を何度も振るった。
ある時は1本、ある時は2本と、春風は何度もアーデに斬撃をお見舞いしたが、その全てをアーデは双剣で防いだ。
しかし、何度か防いでいくうちにやがて体力が尽きてきたのか、
(も、もう……駄目)
と、アーデはその場に膝から崩れ落ちそうになっていたので、それを見た春風は、
(ここだ!)
と、力いっぱい翼丸と夜羽を振った。
それを見て、
(し、しまった!)
と感じたアーデはすぐにそれを左手の剣で防御したが、
「あっ!」
その一撃に耐えられなかったのか、アーデの手から剣がふっ飛んでしまい、それを見た春風は、
「終わりだ!」
と、もう一度翼丸と夜羽を振ったが、
「まだまだぁ!」
と、アーデは残った剣を両手でグッと握り締めると、それを春風の2本の刃めがけて力いっぱい振るった。
その結果、ガキィンという音と共に春風の手から翼丸と夜羽が離れていき、その勢いで春風は無防備な状態になった。
それを見て、
「は、春風ぁ!」
と、レナが悲鳴をあげる中、アーデは「トドメだ!」と言わんばかりにもう一度春風に向かって剣を振った。
しかし、
「なんのこれしきぃ!」
と、春風はそう叫ぶと、なんとその場に踏み止まって体勢を立て直した後、すぐにアーデに飛びかかって、彼女を羽交い締めにした。
「ぐぅ!」
と、まさかの反撃にあったアーデはそう呻き声をもらすと、
「選んでください。ここで負けを認めるか、それともこのまま意識をなくすまで締め付けられるか」
と、春風はアーデの耳元でそう言ってきたので、それにアーデは「うぅ」と再び呻くと、
「私は……ヴァレリーさんとは違う!」
と、なんと強引に体を動かして、春風の拘束から抜け出した。
その後、
「今度こそ、終わり!」
と、アーデが再び無防備となった春風に向かって剣を振ると、
「ふっ!」
ーーガキィン!
「あ……」
『あぁ!』
「……防いだ」
なんと、春風はそれを左腕の銀の籠手で防御した。
トドメの一撃を2度も失敗して、動きが止まってしまったアーデ。
そこで生まれた隙を、春風は見逃さなかった。
春風はすぐに立ち上がると、アーデの服の袖と胸ぐらを掴んで、
「せぇい!」
と、背負うように彼女をぶん投げて小闘技台に叩きつけた。
「カハァ!」
背中から思いっきり激突したアーデは、そのまま白目をむいて意識を失った。
それを見て、周囲の人達は皆呆然とする中、フレデリックは小闘技台に上がると、アーデの様子を見た。
そして、
「ふむ」
と、フレデリックが頷きながらそう声をもらすと、
「勝者、春風!」
と、高々にそう宣言し、その瞬間、
『ウォオオオオオオオッ!』
と、周囲からそう歓声があがった。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを纏める為に少々手間取ってしまい、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
また、前回投稿した話ですが、色々と書き忘れた部分が幾つかありましたので、誠に勝手ながら少々修正させてもらいました。
本当にすみません。




