第140話 いざ、「初仕事」へ!
本日2本目の投稿です。
小闘技場を出て暫く総本部の廊下を走っていると、春風とレナは再び受け付けのある場所に出た。
「「はぁ……はぁ……」」
先程まで走っていたからか、2人は肩で息をしていると、
「はぁ。まさか、登録早々に変なイベントに遭遇するなんてなぁ」
と、春風が溜め息混じりにそう口を開いたので、
「は、春風、大丈夫?」
と、レナは心配そうに春風に向かってそう尋ねた。
その質問に対して、春風が「ん?」と反応すると、
「正直、精神的にしんどいよ、本当に……」
と、表情を暗くしながらそう答えたが、
「まぁでも、だからこそ何か仕事してお金を稼がなきゃ、ね」
と、最後にニコッとしながらそう付け加えたので、それを見て、
「う、うん。そうだね」
と、レナもニコッとすると、
「それじゃあ、春風にとっての『初仕事』、探しますか」
と、「よし!」と言わんばかりに姿勢を正しながらそう言い、
「うん、探そう!」
と、春風も姿勢を正してコクリと頷きながらそう返事した。
それから少しして、
「さぁ春風、ここだよ!」
と、レナがそう言って春風に見せたのは、受け付け近くにある大きな掲示板だった。
そこには、魔物指定討伐から都市の住人からの依頼などといった幾つもの「仕事」が書かれたメモが貼られていて、それら全てがそれぞれハンターのランク毎に分けられていた。
その何枚もの「仕事」が書かれたメモを見て、
(う、うわぁ、すっごい沢山の『仕事』があるんだけど……)
と、春風は思わずゴクリと唾を飲んだが、すぐに「いかんいかん!」と首を何度も横に振ると、
「えーっと、俺はまだ『銅の3級』だから……」
と言って、現在の自身のハンターランクで受けられる仕事を探し始めた。
それから更に少しして、
「うーんっと……お、あった!」
と、漸く「銅の3級」の仕事一覧が見つかったので、早速春風が「どれどれぇ……」とその部分を見てみると、
「うーん、『薬草採取』に『木材採取』、それと……あ、『都市内部清掃補佐募集』に『子供のお守り』なんてのがある」
と、主にゲームなどで見る『素材採集』系の仕事や、フロントラル内部、それも居住区内関連のものが多かったので、
(うん、まさに俺みたいな『新米ハンター』に向けた仕事が多いな)
と、春風は納得の表情を浮かべた。
その後、春風はどれを受けようか考えた末、
「よし、まずはこれにしよう」
と言って、掲示板に貼られた幾つもの「仕事」が書かれたメモの1枚をとった。
それを見て、レナが「どれどれぇ……」とそのメモを見ると、
「あ、『薬草採取』にしたんだ」
と、周りに聞こえないように小声でそう言ってきたので、
「うん、まずはこれかなって思って」
と、春風はコクリと頷きながら、レナと同じように小声でそう返事した。
その返事を聞いて、
「うーん、じゃあ私はぁ……」
と、レナはそう呟くと、タタタッとその場から駆け出して、掲示板のとある部分で止まると、ジッとその部分を見つめだして、
「うん! じゃあ、私はこれ!」
と言って、その部分に貼られたメモの1枚を手に取ると、すぐに春風のもとに戻って、
「春風、お待たせ!」
と、そう言いながら、春風にそのメモを見せた。
そのメモを見て、
「何々、『ジャベリン・ラビットを討伐せよ』?」
と春風が首を傾げながらそう尋ねると、レナは「うんうん」と何度も頷いたので、
「ああ、あいつかぁ……」
と、春風は遠い目をしながら言った。
その言葉を聞いて、
「あれ? 春風、こいつ知ってるの?」
と、「おや?」となったレナがそう尋ねると、春風はレナのすぐ近くまで顔を近づけて、
「うん、レナと別れてた間に何度か戦ったことがあるんだ」
と、小声でそう言ったので、
「お、おお、そうなんだ」
と、レナ小声でそう返事した。
それからすぐに、
「そ、それじゃあ、仕事も決まったことだし、早速受け付けに行こう!」
と、レナが「おー」と腕を上に伸ばしながらそう言ったので、春風もそれに従うように「おー」と腕を伸ばすと、共にそのメモを持って受け付けに向かった。
受け付け自体は「新規登録」の受け付けとは違う場所にあって、そこには明らかに職員のジュリアよりも年上に見える男性職員の姿があった。
その男性職員に、
「すみません、この仕事を受けたいのですが……」
と、春風が仕事が書かれたメモを見せながらそう言うと、
「わかりました」
と、男性職員は穏やかな笑みを浮かべながらそう返事して、そのまま仕事の手続きに入った。
勿論、それにはレナのサポートもあった。
そして、春風の仕事の手続きが終わると、すぐにレナも、
「お願いします」
と、春風と同じように仕事の手続きに入った。
その後、特に問題もなく手続きが終わると、春風とレナは総本部を出て商店通りへと向かった。必要な道具を揃える為だ。
幸い、春風もレナも所持金に余裕があったので、問題なく必要なものを揃えることが出来た。
そして、お互い準備が終わると、休むことなくそのままフロントラルの外へと続く門に向かった。
その後、門の近くに着くと、
(さぁ、あそこを潜れば、いよいよハンターとしての初仕事だぞぉ)
と、春風が「よし!」と言わんばかりに左右の拳をグッと握り締めると、
「ふふ。春風、緊張してる?」
と、レナがニヤッとしながらそう尋ねてきたので、
「あはは、実はかなり……」
と、春風は苦笑いしながらそう答えた。
その答えを聞いて、
「大丈夫だよ春風。春風には、私がついてるから」
と、レナがポンと春風の肩に手を置きながらそう言ってきたので、
「うん、頼りにしてるよ」
と、春風は「安心んした」と言わんばかりに緊張がほぐれたかのような笑みを浮かべながらそう返事し、
「ありがとう」
と、最後にそう付け加えた。
そんな春風の表情と言葉に、レナは顔を赤くしながら「えへへ……」と声をもらすと、
「さぁ、ちょっと時間取られたけど、お仕事頑張ろう!」
と、元気よくそう言い、
「おー!」
と、春風も元気よくそう言うと、レナと共にその場から歩きだした。
ところが、いざ門に着くと、
「……あれ? アーデさん?」
「げ!」
何故か先程知り合ったばかりの、タイラーの助手のアーデがいたので、春風とレナがそれぞれ異なる反応をし、
「やぁ、さっきぶり」
と、アーデは2人に向かって手を振りながらそう言った。
そんなアーデに向かって、
「アーデさんも仕事ですか?」
と、春風がそう尋ねると、
「ううん」
と、アーデは首を横に振りながらそう否定し、
「2人これから仕事?」
と、春風レナに向かってそう尋ね返した。
その質問を聞いて、
「うぐ!」
と、何か嫌な予感がしたレナはそう呻き、
「え、ええそうですが……」
と、春風が恐る恐るそう答えると、
「私も一緒に行く。拒否権はない」
と、アーデは真っ直ぐ春風とレナ見ながらそう言ってきたので、その言葉を聞いて、
「「……はい?」」
と、2人は思わず首を傾げた。




