第130話 「総本部長」、登場
「どうも、おはようございます」
と、そう言って春風達の前に現れた初老の男性。
ビシッと整えられた白髪混じりの髪型、右目には円型の片眼鏡、そして髪型と同じくビシッと整えられたスーツを着ていて、その上には装飾が施されたロングコートをマントのように羽織っているその姿を見て、
(だ、誰だろう。もしかして、凄く偉い人なんじゃ……?)
と、春風がゴクリと唾を飲みながらそう思っていると、
『ふ、フレデリック総本部長!』
と、レナをはじめとした周囲の人達が、その初老の男性を見てそう叫んだので、
「え!? そ、『総本部長』って……!?」
と、春風は驚きのあまり、思わず「え!? え!?」とレナと初老の男性を交互に見ながらそう声をあげた。
そんな春風を見て、「フレデリック総本部長」と呼ばれた初老の男性は「おやおや……」と穏やかな笑みを浮かべながらそう呟くと、
「おはようございます、レナさん」
と、レナに向かってそう挨拶し、それを聞いたレナが、
「あ、はい、おはようございます」
と、ペコリとお辞儀しながらそう挨拶を返すと、
「其方の方は『はじめまして』ですね。では……」
と、初老の男性は今度は春風の方を見てそう言い、
「はじめまして。私はこの『ハンターギルド総本部』の、『総本部長』を務めております、フレデリック・ブライアントと申します。以後、よろしく」
と、春風に向かって丁寧な姿勢と口調でペコリと頭を下げながらそう自己紹介した。
その自己紹介を聞いて、春風は「あ……」と声をもらすと、初老の男性ーーフレデリックに向かって姿勢をただし、ゆっくりと両目を閉じて、先程まで溜まってた「怒り」を全て吐き出すかのように、これまたゆっくりかつ大きく深呼吸した。
そして、何度目かの深呼吸をした後、ゆっくりと両目を開けて真っ直ぐフレデリックを見つめて、
「大変失礼しました。そして、はじめまして、自分は春風と申します。本日は『ハンター』の登録をする為にこのギルド総本部に来ました。それと自分はこのような顔をしてますが、れっきとした『男』ですので、こちらの方もよろしくお願いします」
と、フレデリックと同じように丁寧な姿勢と口調でそう自己紹介した。
そんな春風の自己紹介を聞いて、
「おお、これはなんとも丁寧な」
と、フレデリックは大きく目を見開きながらそう呟くと、すぐに穏やかな笑みを浮かべて、
「わかりました。では、『春風さん』とお呼びしますね」
と言うと、
「ようこそ『ハンターギルド総本部』へ。それで、春風さんは今日『ハンター』として登録するのですね?」
と、歓迎の言葉を言いつつ、最後にそう尋ねてきたので、
「はい、その通りです。それと、出来れば早速仕事を引き受けたいのですが……」
と、春風は真っ直ぐフレデリックに視線を向けたままそう答えた。
その答えを聞いて、
「なるほど、そうでしたか」
と、フレデリックは「ふむふむ」と小さくそう言うと、
「ジュリア・ニクソンさん」
と、「新規登録」の受け付けの席に座るジュリアに声をかけたので、
「は、はい! 何でしょうか!?」
と、驚いたジュリアが声を張り上げながらそう返事すると、
「こちらの春風さんの『ハンター登録』をお願いします」
と、穏やかな笑みを浮かべながらそう言ってきたので、
「は、はい! では、すぐに……!」
と、ジュリアは再び声を張り上げながらそう返事すると、すぐに席を立って、後ろにある幾つもの引き出しがある大きな棚に向かった。
そして、その幾つもの引き出しの1つを開けて、そこから1枚の紙を手に取ると、いそいそと席に戻ってそこに座り、
「で、では、こちらの書類に記入をお願いします!」
と、持ってきた紙を春風に差し出した。
その紙には幾つもの記入欄が描かれていたので、
(あ、どうしよう。これ、なんて書けばいいんだ?)
と、それを見た春風が困った表情になると、
「ああ、大丈夫だよ春風。私が代筆するから」
と、レナが小声でそう話しかけてきたので、
「あ、ありがとうレナ。じゃあ、お願いします」
と、春風はレナに向かってお礼を言いつつ、そう頼んだ。
その後、レナは書類を手に取ると、春風と共に受け付けから少し離れた位置にあるテーブルに向かった。
そして、そのテーブルの上に書類を置くと、中央に置かれた数本の羽ペンの1本を手に取り、その傍にあったインク瓶に羽ペンの先を入れた。
それからすぐにその羽ペンの先をインク瓶から出すと、
「それじゃあ春風は私の質問に答えてね、その答えの通りに書いていくから」
と、レナは小さな声でそう話しかけ、春風それに「うん、わかった」と頷いた。
書類にあれこれ書き始めてから数分後、
「よし、これで終わり」
と、レナはそう言って、書き上げたその書類を手に取ると、春風と共に再びジュリアのもとに向かい、
「お願いします」
と、彼女に向かって書き上げた書類を差し出しながら言った。
その言葉を聞いて、
「わ、わかりました」
と、ジュリアはそう言うと、その書類を手に取って席を立ち、今度は奥の方へと歩き出した。
待つこと数分後、
「お待たせしました」
と、奥の方から戻ってきたジュリアはそう言うと、
「こちらが、ハンターの証である『ライセンス』になります」
と、春風に向かって1枚のカードを差し出した。
そのカードにはキチンと「春風」と名前が記されていて、その名前の隣には「銅の3級」と記されていたので、
(おお、こ、これが……)
と、それを見た春風はそう思いながら、そのライセンスを手に取った。
そして、
(これが、俺のライセンス。俺がハンターになったっていう証か)
と、春風がそのライセンスをマジマジと見つめていると、
「へぇ、そんなに珍しいかい?」
と春風の背後で女性の声がしたので、
『へ!?』
と、驚いた春風はすぐに後ろを振り向こうとすると、
「ゲッ! アンタは……!」
と、何故か本気で嫌そうな表情を浮かべたレナが視線に入ったので、
「え? どうしたのレナ?」
と。春風はレナに向かってそう尋ねつつも、彼女の視線の先を見ようと首を動かすと、
(え? だ、誰?)
と、春風が目を大きく見開いたように、そこにいたのは、身の丈ほどある大剣を背負った、長い髪を持つ鎧姿の若い女性だった。
謝罪)
大変申し訳ありません、前回投稿した話ですが、誠に勝手ながら最後の方を少し加筆修正させてもらいました。
本当にすみません。




