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24話 ドタキャン


 授業から数日経った日。

 その日は学校の授業は休みだ。


 この前の授業で魔力コントロールに付き合ってくれたお礼に、街で買い物をすることになった。

 なにか買って欲しいものがあれば俺がおごるつもりだ。


 と思って、俺とエリザとローランドとクーデリアの四人で行くつもりだったのだが。


「すまん! 今日行く予定だったけど、どうしても無理になっちまった。俺のことはいいから三人で街に行ってくれ」


 ローランドがそういって頭を下げて謝ってくる。

 当日になって急に無理だと判明してしまったのだ。


「何か予定でもあるの?」


「ああ。実は今日どうしても出たい土魔法の講習があってな」


「講習があるなら事前に言っておいてくれればいいのに」


「いや講習自体は別に興味はなかったんだが、実は俺が尊敬してる先輩が飛び入りで参加するって今日知ったんだよ。ぜひとも会って話がしたい。すまん!」


「それならいいけど、俺は日にちずらしてもいいよ?」


 二人はどうだろうかと思ってエリザとクーデリアの方を見る。


「いいや、それは申し訳ない! 俺の勝手な事情でドタキャンしてんだ。みんなの予定をずらすわけにはいかない。俺抜きで行ってくれ」


「え? 私は別に別の日でも――」


 そうエリザが言おうとしたとき、ローランドがふっと動いてエリザを連れて少し離れたところへ動いた。






―――三人称視点―――


「なに? こんなところに連れてきて」


「おいおいエリザ。なんだい今の言葉は。俺がただドタキャンしただけだとでも思ってるのか?」


「そうなんじゃないの?」


「いやまあ、ドタキャンはそうなんだけどよ。でもこれはお前にとっても悪い話じゃないんだぞ」


「どゆこと?」


「ここで俺がいなくなったら、人数が減ってその分お前とアルが二人きりになる可能性が高まるじゃねえか。クーデリア様がいるからずっと二人きりって訳じゃないけどよ、すくなくともクーデリア様が離れている間はそれを満喫できるぜ?」


「!」


 それを聞いたエリザの耳がピクリと動く。


「おまけに、いなくなった俺の分のプレゼントを買おうと一緒にショッピングもできる。これは俺と関係の浅いクーデリア様じゃできないことだ。どうだ?」


「そ、それは確かに悪い話じゃないね……。いつになく気が利くじゃん」


 ドタキャンしたにも関わらずちゃっかりなにかもらおうとしている事実をエリザは少し気になったが、今はスルーすることにした。


「でもそれ、ローランドが一緒に来てクーデリアさんとずっと話していてくれたらいいってだけなんじゃないかな」


「おいおいエリザ。なんだい今の言葉は。俺がクーデリアさんと二人きりでまともに会話できると思うか? 普通にキョドるし普通に何も話せんぞ?」


「情けないことを自信満々に言いおって……」


 エリザは呆れながらジト目でローランドを見る。


「ていうかローランドってもしかしてクーデリアさんのこと好きなの?」


「いや。そういうんじゃない。俺はただのファンだからな。恋愛感情ではない」


「そう……。ああ、そういやファンクラブとかに入ってたね」


「親衛隊にも入ってるぞ?」


「誰から守るの? あとその親衛隊って当人より弱いでしょ」


 クーデリアは特級魔法使いだ。

 魔法の熟練度にもよるが、魔法使いの実力と級は比例する傾向にある。下級~上級の精霊と契約している学園の生徒たちはクーデリアよりも弱いだろう。


 守られる側より弱い親衛隊に意味があるのだろうかとエリザは疑問に思った。


「まあ勝手に言ってるだけだからそこらへんは気にすんな」


「勝手に言ってるんだ……。ただの迷惑な集団じゃん」


「迷惑をかけないように秘密裏に活動しているに決まってるだろ?」


「それはもう親衛隊じゃなくてただのファンクラブでしょうよ。いや私もその二つにどんな違いがあるのかは知らないけど」


「安心しろ。俺もわからん」


 はははと笑うローランドを見てエリザは理解した。

 クーデリアさんの親衛隊は、こいつと同じ人種がノリで作って名乗っているだけなんだろうなと。


「まあでも、私に協力してくれるんなら嬉しいよ。ありがと」


「気を抜くなよ? これはエリザにとっても悪い話じゃないが、同時にクーデリア様にとってもチャンスでもあるんだからな」


「でも私とアルが二人になれる機会を多く作ってくれたんでしょ? ありがとね」


「はは。いいってことよ」


「せっかくの休日なのに土魔法の講習にいくことになっちゃったし」


「それはいいよ。本当に行きたい講習だったしな。講習というか、目的は先輩だが」


「へー。珍しいね。ローランドがそこまでして人に会いに行くって。もしかして先輩って女の人?」


 エリザの指摘を聞いて、ビクリとローランドの背が震える。


「なぜわかった……? もしかしてお前、知らない間に思考を読む魔法を?」


「あ、ほんとにそうなんだ」


「カマかけたのか!?」


「そこまで大袈裟なものじゃないけど。でもローランドが動く理由ってだいたいお酒か女の人だし」


「くそ! 悔しいが正解だ……!」


「美人の先輩?」


「ああそうだよ。悪いか?」


「悪いなんて言ってないじゃん。その美人の先輩と上手くいくことを願ってるよ」


「おう。俺もお前とアルが上手くいってほしいと思うぜ」



 そういうわけで、アルバート・エリザ・クーデリアの三人で街に行くことが決定した。



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