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【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です  作者: ゆうき


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第三十一話 決心

「アルフレッド! こいつがどうなってもいいのか? 確かこいつ、お前の婚約者だったよな?」


 この男性、一体何者なの? 予知を見ている限りでは、このお城のことを知っていそうな感じだったけど……。


「ああ、そうだな。いくら君でも、セリア様に手を出すようなら、容赦はしない」


「おー怖い怖い。そんな顔が出来るなら、どうしてもっと早くやってなかった? そうすれば、もっと早く戦争は終わっていただろうに! お前らがもっと有能なら、あんな……あんな酷いことには……!」


「っ……!」


 もしかして、この方も私のお母様と同じ、戦争の犠牲者なの? その復讐として、こんな騒動を起こしたということ?


「ああ、僕達は君達に罵声を浴びせられても、何も言い返せない。だが、これは話が別だ。僕に用があるなら、セリア様に用はないだろう?」


「ねえな。けどよ、お前を釣る餌にはなるからよぉ」


 餌……ですって? 随分と人のことをバカにしているようね。これでも、復讐を決めた時から、私は変わったんだ。この程度で、怯えたりなんかするもんですか!


「あまり私を、舐めないでくださいませ!」


 私は、以前にも使った者を浮かせる魔法を使い、少しだけ彼の爪の位置をずらした。その一瞬の隙を突いて、二の腕に思い切り噛みついてから、足の甲を思いっきり踏みつけてあげた。


 さすがにこれはきつかったようで、彼は私から少しだけ離れた。その隙を見逃さず、するりと男性の腕から抜け出し、無事にアルフレッド様の元へと帰ってこられた。


「アルフレッド様!」


「セリア様、無事でよかった! とっさの判断、見事だったよ!」


「ありがとうございます。それよりも、彼を!」


「くそがぁ! こうなったら……!」


 彼は魔法を使い、再びその身を私達には見えないようにする。


 このまま、また襲い掛かってくるかもしれないと警戒していたが、意外にも彼と思われる足音は、私達から遠ざかっていた。


「もしかして、逃げるつもりですの?」


「いや、もう僕からは逃れられないよ。彼の魔力は追跡できるようにしてある」


 そう言うと、アルフレッド様はつきだした手の先に緑色の魔法陣を展開すると、そこから太い茨のようなものが何本も出現させ、逃げていった彼を追いかける。


「ぎゃああああ!!」


 なにやら、随分と痛そうな悲鳴が聞こえてきたわね……いくら姿が見えないとはいえ、これだけの規模の魔法が相手では、逃げることは不可能だろう。


「アルフレッド様は、魔法が得意なのですね。こんなすごい魔法、初めて見ました」


「お褒めにあずかり光栄だよ。さてと、とりあえず侵入者は捕まえたけど……他にもいるのかい?」


「私の知る限りでは、一人だけですわ」


「わかった。念の為に、城の中をくまなく探させよう。それにしても、君には何度も助けられてしまっているな。本当にありがとう」


「どういたしまして」


 なんだか、変な感じだ。本当は、私はソリアン国の王家に復讐をするはずだったのに、今は自分の意志で何度も助けて、お礼まで言われている。


 自分の意志と言っても、なにが自分の本当の気持ちなのか、明確にはわかっていないのが現状ではあるが。


「だが、どうして何度も事前に危険を察知できたんだ?」


「それは……」


 この力は、聖女の力である予知の魔法。そう答えるのは簡単だが、果たしてそれをアルフレッド様に伝えてもいいのだろうか?


 ここに来てから、アルフレッド様は私の家族とは違い、とても優しい方という印象が少なからずある。だから、言ったところで悪用はしないだろうとは思うけど……。


「何か訳ありのようだね。大丈夫、君が話したくないのなら、無理に聞いたりしないよ」


「えっ……?」


「どうしてそんな驚いているんだい? 話したくもないことを無理やり聞くなんて、人としてどうかと思うだろう?」


 少なくとも、私の周りにいた人間に、アルフレッド様のような考え方を持つ方はいなかった。彼らなら、我先にと私から話を聞き出して、利用できそうなら率先して利用するだろう。


「とりあえず、僕は侵入者の対処をしてくるよ。部屋までは一人で戻れそうかい?」


「はい、問題ございません」


「わかった。それじゃあ、なにかあったらすぐに言うんだよ。おやすみ、セリア様。それと……本当にありがとう」


「あっ……」


 アルフレッド様は、私のおでこにそっとキスをしてから、その場を去っていった。

 残された私は、少しの間ボーっとしてから、ようやく自分がされたことを理解して、体が一瞬にして熱を帯びた。


「ほ、ほっぺだけで飽き足らず、おでこにまで……! どれだけ私の心をかき乱せば気が済むんですのっ!?」


 恐らく真っ赤になっているであろう顔を両手で覆いながら、私は逃げるように自室に戻ってくると、そのままベッドに倒れこんだ。


 はぁ……侵入者騒動よりも、おでこのキスの方で疲れてしまった。それに、胸が凄くドキドキして、息も少し苦しいし、アルフレッド様のことばかり考えてしまう。


 家族に復讐をした後、確かにアルフレッド様のことばかりを考えてはいた。だが、それはあくまで復讐相手として、どうやって復讐するかを考えていただけだ。

 今は……自分でもよくわからない。アルフレッド様に復讐している光景よりも、アルフレッド様の笑顔とか、お喋りしている光景が頭に浮かぶ。


 そんなことを考えながらベッドで悶えていると、リズが部屋に戻ってきた。


「あっ、セリア様! 先に戻って来ていたんですね! って……どうしたんですか? 顔が真っ赤ですよ!? もしかして、なにかあったのですか!?」


「お、おかえりなさいリズ。あったと言えばあったのですが……」


「わかりました! 例の侵入者に、酷いことをされたのですね! 捕まったと聞いて、安心して戻ってきたというのに……今からわたし、仕返しにボコボコにしてきますね!」


「ち、違いますから! 早とちりしないでくださいませ!」


 今回はおでこにキスをされた。そのせいで恥ずかしくなっている。その事実を伝えるだけなのに、気恥ずかしさを感じてしまい、中々言い出せない。


「これはもう確定ですよね!? よーっし、ボッコボコにしてセリア様に一週間土下座し続けさせますから! 見ててください!」


「腕まくりして気合入れなくていいですから! ちゃんと言いますから!」


 必死にリズをなだめながら、私はアルフレッド様におでこにキスをされたことを話すと、リズは怒り顔から一転して、ニヤニヤしはじめた。


「きゃ~! アルフレッド様ってば、大胆ですね~!」


「からかわないでくださいまし! はぁ……本当に、あの方の考えていることがわかりませんわ。信じていいのかも、話して良いのかも、判断しかねますし……」


「話す? わたしも愛しています! って伝えるとか?」


「あなた、今日は私をからかう日なのですか?」


「冗談ですよ~! 話すって、もしかして例の力のことだったりします?」


 リズの鋭い質問に、私は小さく頷いて見せた。


「先程、どうやって危険を察知したのか聞かれましたの。アルフレッド様は、無理に話さなくてもいいと仰ってくれましたが、このまま隠し通すのは難しそうで……」


「なるほど。う~ん、難しいところですけど……わたし個人の意見としては、アルフレッド様は信じて良いって思ってますね」


「それはどうして?」


「なんていうか、この何日か一緒に過ごしていて、悪意を全然感じないんですよね。セリア様も、そうじゃないですか?」


 それは……確かにその通りだ。なんていうか、アルフレッド様も、他のお城の方々も、当然の様に誰かを助け、そして互いに助け合っている。普段の言動も含めて、彼らの行う行為に、悪意は感じられない。


 ……私、信じてもいいのだろうか? 私のお母様を奪っていった、戦争を起こした敵国の王家の人間を……。


「まあ、決めるのは当事者であるセリア様ですけどね。わたしは、あなたがどんな選択をしたとしても、ついていく覚悟はあります! あっ、前もお話しましたけど、人の道を踏み外すことは止めますからね!」


「リズ……ありがとうございます」


「えへへ、お友達として当然ですよ。ダメだったら、その時は一緒に逃げちゃいましょう! それで、誰にも見つからないような所で、ひっそりと暮らすんです!」


「ふふっ、それもいいかもしれませんわね。復讐なんて考える必要のない、誰の悪意もない……自然の中で、静かに暮らす……」


「それ素敵ですね! そうならないことが一番なんですけどね。あははっ」


 リズの屈託のない笑顔を見ていると、私に強い安心感をくれる。そして、私も自然と笑顔にしてくれる。


「……リズ、私……決心がつきました。アルフレッド様に、この力のことを話そうと思います」


「セリア様がそう決めたのなら、わたしは大賛成です! そうだ、話す時にわたしも同席しますね。ほら、事情を知っている人が一人でもいた方が、説得力が増しますし!」


「いいのかしら? 私、あなたに頼ってばかりな気がしてならないわ」


「お友達なんだから、頼ってくださいよ!」


「リズ……本当にありがとうございます。もしあなたに何かあった時は、お友達として力にならせてくださいね」


「セリア様……! はいっ!」


 まったく、リズにはずっとお世話になりっぱなしで、自分が情けなくなってくる。リズのお友達として、もっとしっかりしないと。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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