表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です  作者: ゆうき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/75

第二十四話 君には幸福に

「朝からさすがに食べ過ぎすぎてしまったかしら……あなたもそう思う?」


 アルフレッド様と共に朝食をいただいた後、一旦自室に戻ってきた私は、少し大きくなったお腹をさすりながら、ベッドに置いてあるぬいぐるみを撫でた。


 今日も朝から随分と気合が入った食事だった。種類もさることながら、その量も凄くて、どう頑張っても一人で食べきれるわけがない。


 ……残ったのって、どうしているのかしら? もし捨てているのだとしたら、絶対に許せない。食べ物は粗末にしてはいけないなんて、子供でも知っていることなのだから。


「セリア様、アルフレッドだ。少しいいかな?」


「少々お待ちくださいませ」


 私は、ぬいぐるみを元あった場所に戻してから、アルフレッド様を出迎えた。相変わらず、とても爽やかな笑顔を浮かべている。


「どうされましたか?」


「君に、まだ城の中を案内していなかったからね。食後の運動を兼ねられるし、どうかな?」


「…………」


 相変わらず、この方の考えていることはよくわからない。一緒に行動していれば、わかるかもしれないわね。


「案内といっても、恐らく君が住んでいた城にあったものばかりだと思うけどね」


「あるものは一緒でも、どこにあるかは違いますもの。迷子になってご迷惑をおかけしないためにも、今のうちから覚えておきたいですわ」


「わかった。それじゃあ、いこうか」


 アルフレッド様は、何のためらいもなく、私に手をそっと差し伸べる。それに対して、一瞬躊躇したものの、私は自分の手を乗せると、アルフレッド様は嬉しそうに表情をほころばせた。


「近い場所から案内しよう」


 アルフレッド様と共に、私はソリアン国のお城を色々と見て回った。行ったことがある応接室に始まり、食堂や厨房、謁見の間に兵士や使用人の厩舎といった、様々な場所を案内し、丁寧な説明もしてくれた。


 その道中で、私はとある場所に連れてきてもらった。それは、見上げるほど大きな本棚がひしめき合っている書庫で、その光景は、まさに圧巻だった。

 同時に、本が好きな私にとっては、文字通りよだれが出てしまうほど、魅力的な空間でもあった。


「うわぁ……うわぁぁぁぁ……!!」


「ふふっ、気に入ってもらえたようだね。ここにある本は、いくらでも読んでくれて構わないよ」


「本当ですの!? 借りるのに、なにか大きな代償があるとかは……!」


「あはは……随分と物騒な言い方だね。まったく、一体どんな生活をさせれば、こんなふうになるんだ……カルネシアラ王家め……」


「アルフレッド様?」


 どうしたのだろう。なにか小声でブツブツ言っているみたいだけど、小さくて何を言っているかは聞き取れない。


「なんでもないよ。読むのに何か必要なものも、してほしいことも無いから、自由に読んでいいよ。ああ、外に持ち出す際には、入口の所にいる司書に声をかけてね」


「はい、わかりました!」


 ここにある本を、全て読んでいいの!? 一体どこから読めばいいのか、目が回ってしまいそう――じゃなくて! 好きなものを目の前にぶら下げられて、本来の目的を見失うところだったわ!


「さて、これで一通り城の中は案内したけど、何か質問はあるかな?」


「特にございません。ご丁寧に案内していただき、感謝いたしますわ」


「どういたしまして。そうだ、公務までもう少し時間があるから、朝の散歩に付き合ってくれないか?」


「ええ、わかりました」


 本当は、ここの本を見て回りたいところだけど、まだアルフレッド様の真意はわからない以上、共に行動できるこのチャンスを、逃すわけにはいかない。絶対にその思惑を暴いてみせるんだから。


「ありがとう! それじゃあ、行こうか」


 アルフレッド様に手を引かれて中庭に行くと、そこには色とりどりの花がたくさん咲き、小鳥や野生の動物達が楽しそうに遊び回る、とても美しい場所だった。


「お城の窓から見えておりましたが、こうして改めて近くで見ると、本当に綺麗な庭ですのね。ここにいるだけで、心が洗われるような気分になります」


 こんな素敵な庭で、お花の甘い香りに包まれながら読書をしたら、どれだけ気持ちが良いだろう。考えただけで、心がウキウキしてくる。


「僕のご先祖様に、大層花が好きなお方がいたようでね。そのお方が自らこの庭を作ったそうだ。それからずっと、王家や城のみんなで面倒を見ているんだ。おかげで、僕も花が好きになってしまったし、花言葉を色々覚えてしまったよ」


「素敵なことだと思います。私の故郷には、花や動物を愛する人は、あまりおりませんでしたから」


 私の家族の話になってしまうが、彼らは愛するどころか、花を踏んでもなにも思わないみたいだし、よく動物を狩りに行き、散々逃がして怖がらせてから殺してやった、なんて話を何度も聞かされていた。


 ……これでは、まるで立場が逆じゃないの。祖国の方の方が、よっぽど野蛮じゃない……。


「ところで、君はぬいぐるみや読書が好きなのか?」


「えっ、どうしてご存じなのですか?」


「とある人物から教えてもらったんだ」


 ……そんなの、リズしかいないじゃないの。別に知られても問題ないことだから、全然良いんだけどね。


「ぬいぐるみは、私のお友達です。私は人生で一度も、人間のお友達が出来たことがありませんでした。今は、リズがお友達になってくださいました。それと本は、唯一私を現実から逃がしてくれるので、コツコツ集めて、時間がある時に読んでおりましたの」


「そうだったのか。君は、本当にずっと苦労してきたんだね」


 これは、私の身に起こった出来事。私の人生だ。それなのに、どうしてアルフレッド様が、そんなつらそうな顔をするの? あなたには関係のないことなのに……。


「どうして、アルフレッド様がそんな悲しそうなお顔をされているのですか?」


「どうしてって……誰かが悲しい目に遭ったら、僕だって悲しい気持ちになるさ。だって、みんなには笑顔で幸せになってもらいたいからね。婚約者の君なら、なおさらだよ」


「そう、ですか……」


 ああ、頭が混乱する。一体何が本当で、何が嘘なのか全然わからない。頭がパンクしそうだ。

 そんな私を見かねてか、アルフレッド様は、ちょっと待っててと私に伝えると、一人で中庭のとある場所に行き、一輪の花を持って帰ってきた。


「はい、これを君に。ああ、もちろん今回は変な魔法はかけていないよ」


「可愛らしいお花ですわ。これは、チューリップ?」


「そう。ピンクのチューリップには、幸福という花言葉があるんだ。これからの君の未来に、悲しいことなんてすべて忘れてしまうくらい、多くの幸福があることを願って、君に贈るよ」


「アルフレッド様……」


「もちろん、君が幸せになるために、僕も協力は惜しまないつもりさ。手始めに、君が欲しいぬいぐるみや本の調達から始めるとしようかな?」


 だから、どうして私にそんな優しくしてくれるの? そんなに優しくされたら……私の決意が、復讐の心が鈍ってしまう。


「失礼します。アルフレッド様、そろそろお時間の方が」


「もうそんな時間かい? 楽しい時間というのは、あっという間に過ぎてしまうな。セリア様、自室まで送っていくよ」


「……ありがとうございます」


「セリア様、そちらのお花は、私めが花瓶に生けておきます」


 私は、声をかけてくれた初老の使用人にお花を渡すと、アルフレッド様にリードされたまま、私は自室に向かう。


「……うっ……!?」


 もう少しで自室に着く。だというのに、私は突然強い眩暈に襲われると同時に、目の前が真っ暗になってしまい、その場に座り込んでしまった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


読んでいただいた方々に、お願いがございます。5秒もかからないので、ぜひ⭐︎による評価、ブックマークをよろしくお願いします!!!!


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタッチすることで出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ