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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』

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226:メイクサクリファイス-1

「ログインっと」

『おはようでチュ。たるうぃ』

「おはよう、ザリチュ」

 リアル時刻19時、私は『CNP』にログインした。

 ゲーム内は……今はほぼ真夜中なのか、そう言えば、昨日のメンテナンスで正午と真夜中になる時刻が入れ替わったとか言われていた気がする。

 同じ時刻にしかログイン出来ないプレイヤーが昼も夜も楽しめるようにとの措置だし、『CNP』は呪詛の霧があれば最低限の明かりは確保されているから、特に感想を抱く必要はないか。


『今日はどうするでチュ?』

「とりあえずは昨日のイベントで手に入れたアイテムの確認ね」

『第一回の時と一緒で、イベント終了後から今までログインしていないでチュものね』

「次の日に疲れを残さない方が重要だもの」

 私はセーフティーエリアに置かれている二つの箱をマイルームへと移動する。

 これはザリアとの取引で手に入れた調理用アイテム一式と量産用アイテム一式である。

 鑑定結果はこんな感じだ。



△△△△△

調理用アイテム一式

レベル:1

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:1


調理を行うのに必要な道具が一通り収められた道具箱。

安全な場所でしか展開できない代わりに、正しく扱っている限りはまず壊れない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

量産用アイテム一式

レベル:1

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:1


指定したアイテムの作成を自動で行ってくれるアイテム。

ただし、指定したアイテムごとに素材、DC、時間が必要となるだけでなく、作成されたアイテムはオリジナルより質が悪化する。

安全な場所でしか展開できない代わりに、正しく扱っている限りはまず壊れない。

▽▽▽▽▽



「ふむふむ」

 調理用アイテム一式は調理を行うための台にフライパン、鍋、包丁、菜箸などなど、調理に必要な道具が一通り揃っている。

 だが、揃っているのは継続的に使えるものだけであり、当たり前ではあるが、塩、砂糖、その他調味料は付属していない。

 とりあえず優勝報酬である無限調味料・塩と砂糖は調味料用の棚と思しき場所に移動しておこう。


「量産の方は……」

 私は量産用アイテム一式に煎った『ダマーヴァンド』の斑豆を入れてみる。

 すると半透明の画面が目の前に表示される。


『二パターンあるみたいでチュね』

「そうね。品種改良時点から始めるパターンと、斑豆から始めるパターンがあるみたい」

 どうやら斑豆自体が品種改良と言う名のアイテム作成を挟んでいるアイテムであるため、どのタイミングから始めるかを聞かれたようだ。

 で、念のために品種改良の方から始めた時に必要なものを見たが……うん、止めておこうか。

 必要な素材はともかく、要求されるDCと時間の桁がおかしかった。

 この上さらに、出来上がった斑豆は今『ダマーヴァンド』で繁殖しているものより質が悪くなると言うのだから、これは駄目だ。


『まあ、『七つの大呪』を積極的に利用したアイテムが量産できると言うだけでも、十分頭がおかしいでチュけどね』

「いやまあ、それはそうなんだけどね」

 対照的に斑豆から始めるパターン……斑豆を煎るだけの場合だと、DCの消費は僅かで、時間も短かった。

 劣化の内容についても、味や満腹度の回復量が多少落ちる程度で済むようだ。

 当然だが必要な素材も斑豆だけである。

 うん、やはりではあるが、こちらで量産するのがよさそうだ。


「じゃあ、素材の斑豆をセットしてっと」

『これで後は待つだけでチュか』

「そういう事ね」

 ちなみに量産用アイテム一式で量産を行えるアイテムは、箱一つにつき一種類だそうで、複数種類のアイテムを量産したい場合は、その数だけ量産用アイテム一式を準備する必要があるらしい。

 なので、数が必要な消耗品を作っている生産組は、何個も箱を持っているそうだ。


「さて次ね」

『目録でチュね』

 では続いて、アイテム交換会によって手に入れたアイテムの処理である。

 今回手に入れたアイテムの内容はイベント中にも確認した通り、ハーブと野菜ばかりだ。

 で、『ダマーヴァンド』の環境は……はっきり言って普通の植物には厳しいものがある。

 水気は毒液だし、私の影響を受けてか有毒化も進むようだしで、本当に厳しい。

 ましてやハーブとはすなわち薬草であるので、前回手に入れた薬草がどうなったのかを考えると……全滅前提で進めた方がいいだろう。


「掌握完了」

『何が起きているのかを確かめる。と言う感じでチュか』

「ええ、その通りよ。何が起きているのかが分かれば、次回以降は対応できるかもしれないから。本音を言えば目録から少量だけ取り出し、それに起きる変化を見る事で、今回から生かしたいのだけど……」

『目録は一括でしか出現させられないでチュねぇ』

「そうなのよねぇ」

 私はセーフティーエリアを後にすると、いつもの噴水広場から少し離れた場所に立つ。

 大気中の呪詛、毒液中の呪詛の位置の把握は、私が所有するダンジョンと言う事もあってあっさり成功。

 これで呪詛がどう流れて、どう作用しているかぐらいは分かるだろう。


「えいっ」

 私は目録を投げ、目録は床に付くと同時にその内容を実体化。

 大量のハーブと野菜が『ダマーヴァンド』の床に転がる。

 と同時に、私は周囲の呪詛が動き出すのを感知する。


「ふうん……なるほどね……」

 何時からそうなっていたのかは分からない。

 が、やはり『ダマーヴァンド』に属する呪詛には植物に影響する呪いが含まれているらしい。

 そして、その呪いは植物を枯らす事もあるが……


「適合すれば、毒素を獲得。あるいは薬効を高めることによって、結果的に毒を得ている。と言う感じなのかしら」

『毒と薬は量次第ってことでチュか?』

「そういう事ね。まあ、毒にしかならない部分と量次第の部分が不可分な状態で入り混じっているから、結果的に全部有毒化する。と言う事なんでしょうね」

『そして、適合すれば、瞬く間に大繁殖でチュか』

「そうなるわね」

 益をもたらす事もある。

 とりあえず目録の中身の植物たちはたった数分で数倍の量に膨れ上がり、これまでに『ダマーヴァンド』に存在していた植物たちと競合、共栄、新たな生態系を築き上げていった。

 うーん、ダンジョンの力とは凄まじいものである。

 あっという間に『ダマーヴァンド』が新しい『ダマーヴァンド』に変わってしまった。


「さて、調理用アイテム一式の使い勝手を確かめるために適当に一品作りつつ、身代わり用アイテムの試作もしましょうか」

『分かったでチュ』

 なんにせよ、今回のイベントの成果のおかげで、私の『CNP』内における食糧事情は大幅に改善された。

 『ダマーヴァンド』が植物にどう影響を与えているかも分かった。

 では、次を始めよう。

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