ラスタの記憶1(後編)
地面に飛び散る鮮血、苦痛に歪む顔に滝のように流れ落ちる汗そして血。夜の空に響く、押さえつけた苦悶の声。
夜が明けまでまだ遠い時間、その暗い地面に小さく白い何かがぺたりと落ちている……
手。
ヒトの手。
それも幼い、子供の手。
本来誰かの腕や体に繋がっていなければならない部位だけが、ころりと地面に血まみれで落ちている恐ろしさ。更にヒトの肉を喰らう魔獣の吠える声から、逃げる様にラスタはハッっと目を覚ました。
「……何、だったのでしょう……か……」
夢……にしてはリアルな、けれど身に覚えもない光景。
彼女はその名に由来して、意図せず大地の記憶を読んでしまう事がある。今、この大地は比較的平穏で、大きな戦闘や民族の争いはない。だが小競り合いは常にどこかに転がっている。
美しく静謐な世界樹の居所。世界樹はこの星の核を支える特殊な樹でこのエルフの森にしか生えない。この居所は代替わりしたかつての世界樹。その樹皮の壁に光る宝石はいつものようにハイエルフの自分達を見守り、父王の魔法がエルフ達の森を幾重に覆い隠し、同族達を常に保護している。
だが、他の種族はそうはいかない。魔法も持たず、不老でも長命でもなく、小さく短い生を必死に生きている。
今、見たのは最近この大地の片隅の、どこかであったであろう誰かの痛みと慟哭……
「……痛かったでしょうに」
誰とも知らない子供の非運と苦痛を悼み、ラスタは酷い胸の動悸を収めようと、ベッドから降り、テラスへと出る。
エルフの森の清浄な空気をいっぱいに吸い込むと、控えめな胸が、薄い夜衣に透けた。サラサラと風に揺れる木々が、そして夜闇に舞う優しい妖精の光が心を和ませてくれる。空にはキラキラと数多の星が輝いて、流星群がハラハラと光を落とす。
美しい夜空なのに。同じ黒なのにとても暗い、あの男の底なしの瞳を思い出してしまった。
「3000年なんて。思い出してしまったからでしょうかね」
ふぅと虚空に息を吐く。長い金の髪が背中で揺れた。
言った本人は気にもしていないだろうし、果たされるはずもない約束。もともと長くとも百年程しか生きられぬ人間が、戯れに……生前、あのいい加減な男は言ったのだ。
300歳のラスタに、
「お前は、3000歳になってもきっとヒヨコで変わんないだろう」
と。
今も昔もラスタは他人を笑いながら騙すとか、確かにそう言う腹芸が苦手だった。きっと3000年経ってもヒヨコ、そうだろうと言う彼。
それも機嫌良さそうに言い放つ様に、とっても失礼な! とラスタはプンスコしつつ、
「そんなこと、そんな事ないですっぅー」
そう勢い返す。漆黒の彼は笑って、
「じゃ、変わってなかったら責任もってもらってやるよ」
なんて言ったのだ。
「ぇ…………」
300歳のラスタが3000年くらいしたら、ハイエルフの彼女にとっては適齢期か、少し遅いとも言える頃。もしその頃に誰とも添そうていなければ……ふと、目前の彼が膝を付き求愛してくれる様を思い描いてしまう。だが、それは有り得ない幻想だ。
「…………って、ぁ、貴方人間だからっ! 生きてるわけないじゃないっ! それもその頃まで私がしょ、しょ、処女だって思っているなんてっ」
「違うのか?」
まぁ処女の話までは言ってないと、あの男は嗤う。ラスタはくっと言葉に詰まってしまう。
この男には随分なれたし、ちょっと喰われかけた事もあって……逆に気安いくらいだが、それでも男性はちょっと嫌いだったから。
それもハタと気付けば、求愛を受けるなら『妄想だけでも何故、イル様からじゃないの!』っと自分の中に浮かんだ想像が、『最低男』からなのを悔やむ。
彼も何か考えていたのだろう、二人の間に落ちた一瞬の間の後、軽くそれを口にした。
「まぁ人間は三十歳まで童貞だと魔法使いになれるらしいから、お前は何になれるんだろうな……あー俺は五歳にはヤられてるから……もう魔法使いにはなれないぞ?」
「ご、ごさ……ぃ……???」
彼の住む所では、三十歳まで童貞だと魔法使いになれるという言葉があったらしく、そんな事を言い出した。『なぁ、攫われたんだ。信じられるか?』などと付け加え、ラスタの顔も見ずに軽く嗤っている……自分を明らかに揶揄する言葉。ソレは自分で望むには幼い、どうやっても自分の意思なくそう言う目にあったと言う意味。
親しくしていたからだろう、だからこそ、五歳と言うリアルな数字や、そこにあるはずの『嘘』の空気がなかったのに気付いてしまった。
それもエルフの森を興味本位で出ていたエルフが、拉致されかけた事件を兄達の口から聞いたばかりだったのもいけなかったかもしれない。エルフは芸術的に整った美しい容姿をしている。肉感的な美人ではないが、水面下の闇に攫われて商品される事例は少なくない。
男がイルから引き受ける仕事に、誘拐犯からヒトを奪い返す仕事の系列が多かった事も、彼の履歴に由来するのではないかとこの時に初めて思った。ラスタにとってただ無謀に走っていくように見えた背中が、真摯に被害者救済に取り組む姿に置き変わる。
今までどこか浮かれていた気持ちが、耳から入ってきた言葉で冷え、ぐるぐる思考を支配した。
当時ラスタが思い付く五歳といえば、可愛い可愛い末妹末弟のエクラやゼアだった。
庇護の元、よく食べよく遊びよく眠って。
すくすくと成長しているだろうその時に。
五歳の年に……ヤられ……た?
は? 奪われたってコト?
誰が、誰を、何が、何を……
なんてラスタにはとても聞けなかった。
目の前の男はもう成人したいい大人だった。
イルの出身の星はラスタの世界ではない。地球と言う星からイルは偶然、ラスタの住むエルフの森に降り立ち、その危機を救った『森の英雄』。彼がその世界から呼び寄せた異邦人のあの男。その大きな手にラスタの大地には珍しい刀を振り回す。それも炎を纏う赤い刀。
イルのお気に入りなのは、同じ星の出身だったせいか。ヒトをくったような表情や性格、頼まれれば危うい橋を平然と渡って見せた度量か。
イルに連れられてラスタの住む星の大陸や、彼の住んでいる町、その他、二人の出身星以外にも『仕事』に行かされた。
その度に男はなんの素振りもなく罠に滑り降りて、敵に捕まってそのアジトを炙り出してみせたり、敵の前に平然と躍り出たりして行く。こちらの気持ちなど考えもしない最低な男。その様に毎回ラスタの肝が冷えるのなどお構いなしだ。
「貴方って人はっ。毎回、毎回、一体、何をやっているんですかぁ!」
「解決早かったろ?」
「でも当たってますっ! 弾っ」
「だから?」
「はぁ? 当たっていいわけないでしょ」
「買わないと当たらないからな、宝くじ。そうだな、今回は四等くらいか?」
「そんな宝くじ誰が買いますかっ! 一等当たったら死ぬんですよっ」
「天国にご招待、か。温泉付きがイイな」
「地獄の釜ですかっ! 閻魔様ですかっ」
「お、閻魔がラスタの世界にもいるのか?」
「いませんよ。アナタのトコの伝承とか調べるように、イル様に言われて調べていただけですよっ」
こんなふうに『冗談』を言い合って来たのだから。ソレを見たり聞いたりしてイルもよく笑っていた。だから『もう魔法使いにはなれないぞ』というセリフも、ラスタは笑うだろうと彼は本当に何気なく言った様子だった。そんな世界は当たり前だと。
でも、冗談ではあっても嘘がないと気付いてしまった彼女は、その日、どうしても嗤ってごまかせなかった。
「…………そん、な…………」
呟くように出た声は。
自分で思っていたより、掠れて震えていて。
「なんて……なんて、惨い、ことを……っ」
目の前の男が、黒曜の瞳を見開いて驚いていた。その後に彼女にそんな顔をさせる気はなかったのだと、ありありとわかる表情が浮かび……それがラスタの視界の中、ぼやけていく。
『どうしてそんな……惨い事が出来るのでしょう』
言葉には出来なかったそれに対し、彼は非常に気まずそうにしていたが、ラスタにはもう見えていなかった。
涙を流しながら、フラフラ歩き。
いつの間にか、彼の傍まで来て。
聞くより先に身体が動いて。
その漆黒の頭を胸に抱いたのだ。
「……抱きしめても、いいですか」
「…………もうやっている」
そう答えた彼が息を飲み込んだのをラスタは感じた。そして男の口から出た言葉は、先ほどの自分の言葉も言動も否定するモノだった。
「…………嘘だ」
「……っ!」
「冗談だ。そんなだから3000歳になってもヒヨコだろっていうんだ」
余りに軽薄な言い方、唇の浮かべた酷薄な笑い。その言葉に反射で手を上げ、ラスタはその頬を叩く。
「貴方って、アナタって人は! 言っていい冗談と、言って悪い冗談の区別もつかないんですかっ! 本当に本当に、サイテーですねっ!」
お決まりの罵詈雑言を並べたなら、どこか安心したように更に嗤う彼に…………心底腹が立った。
五歳の彼に何があったのか知ってあげる事も、替わってあげる事も出来ないけれど、それが本当に、本当に悲しい事なのに、それをわからない彼に腹がたった。
そして真実を嘘と言わせてしまった、そんな自分にラスタは怒りを感じた。何で悲しいのにこんなにも怒っているのか、彼は知らないまま。
その後、ラスタは今まで以上に彼を目で追うようになった。
彼の黒曜の瞳……それが時折何にも映さない虚空の穴になる時がある事や。
自分の目的を通すがために、自分の命をドブに捨てるような、自分を厭わない戦い方をするのも。
赤い刀を振り回す時、狂ったように嗤って……怖い、と思うが、目が離せなかった……
その時は主のイルから頼まれたからでもあったけれど、あの日から今までより彼を見ていた。
「そう言えば……」
いつだったろうか、あの男の住む星。どこかのカジノビルに忍び込まされて『証拠を掴んで来るように、彼に言っておいたから』とイルに告げられそこに行けば。あの男は信じられないほど慣れた様子でカジノディーラーを務めていた。
ラスタは男装で見習いサポートとして側に付いたが、あの仏頂面がどこから出してきた仮面を被っているのか、ニコニコニコと愛想を振りまき、客の動向やドリンクまで気を使い、手早くカードを配ってチップを計算してゲストをもてなしているのを見た時、唖然とした。
「どちらかというと『表』の特技だ……口閉じろ」
「誰がアホ面ですかっ!」
「言ってないからな。とりあえず笑ってろ。お前は……顔だけで皆が喜ぶから」
「なんですか、それ……」
あの男が自分に顔を寄せて耳打ちしてくる。さも指導なり指示なりをしている振りをして耳元で囁くだけで、女性客が喜ぶのはわかった。……理由はわからないが。
ただ耳元で囁かれるとその低い声に脳を汚染されるかのようにゾクリとするし、息がかかると更にゾワゾワする。嫌悪ではないが、どんな表情をしていいかわからないのに。笑えと言われて顔を上げれば、御婦人達の新人を見る生暖かい目つきが恥ずかしくて頬を染めてしまう。
「そろそろ変わって下さい。二人は休憩を」
何とかやり過ごして、他の人の声掛けで二人共に休憩に入ったフリをする。それも肩を組んで、さも仲良さそうにニコニコと人当たりの良い笑顔を浮かべて。そうしておいて控室に入った途端、誰も居ないのを確認してあの男は素に戻る。
「ココに居ろ。ついてこなくていい。誰かが来たら俺はトイレとか誤魔化して欲しい。でももし捕まったらイルに連絡してくれ」
「ちょ、置いて行く気ですか? まぁーた捕まって探す気でしょ……今、舌打ちしましたよねっ! ダメですって」
「見つかったら痛い思いをするぞ」
「大丈夫です。イル様が、今回はこの世界から自分の家ならば、どこからでも一瞬で帰れるようにして下さいましたので。ご心配なく。だいたい最後の鍵は私が持っていますから、連れて行かないとあげませんよ」
「瞬間自動帰還とか便利、だな」
羨ましそうに言う彼の後を付いて行く。驚異的な勘か、耳の良さか、人が来る気配を察知して避けながら、目的の場所までスルスルと進んでいく。
「鍵。室内は誰も居なさそうだ」
目的の場所に到着すると、彼に促されて部屋を開け、入ってから閉めた。
男は入るや否や素早く部屋を漁る。その手際は泥棒も顔負けだ。その後、さらりと部屋を見て回り、窓際のハンガー掛けを引っ張れば、その後ろに更に小さな扉が後ろにあって、その中に目的のモノを見出す。メモノートのようなソレをラスタの懐に押し込む。
「胸がなくて助かる」
「どーいう意味ですかっ……だいたい何故そこにあるとわかったのですか?」
「あの位置にハンガーをかけると半分、窓の方に服がはみ出るだろ」
「まぁ? 確かにそうですけど。ソレが何か?」
「陽があたり、服が傷む。高級住宅なのにそんな場所にわざわざデザイナーが掛ける場所など作らない」
なら、何かあるだろうと考えたら、答えだろう。そう言った時、彼は扉を元に戻しつつ、スッと目を本棚の方に走らせた。
「古典的過ぎるだろ……」
その時にはラスタの耳にも、本棚の向こうから人の声がするのを捉えられた。あの男は彼女の手を掴み、近くのクローゼットに素早く忍び込んだ。中は本来狭くないのだが、服やゴルフバックやらが詰め込まれ、ヒト二人が入るのに充分なスペースがあるとは言い難い。
『誰も居ないって……もう少しズレてください。狭いです』
『地下に居るとか反則だ。これ以上は無理だ。見える。お前、自動帰還しろって』
『は? 貴方をココに置いて行ったら、何するかわかった物じゃないでしょう』
『ならもう少し、奥だ。ホントにバレる』
ラスタもこれ以上奥に入れない。だが扉の真ん中に擦りガラスが嵌めてあり、そこに男が立つ形となれば不自然な影が外からも見えてしまう。
すると横並びだった男は身を反転させて。ラスタの足の間に自分の足一方を入れ、前に立って向き合う様に立つ。そのまま扉横の壁に寄りかかるラスタを抱くように、すっぽりと腕の中に収めてきた。眉根を寄せるラスタだが、一つため息をして。
『…………まぁ、合理的、でしょうか……』
本棚が移動する音、人が二人出てきて部屋を去るまで……数分。その後、本棚の扉も開け、地下の秘密部屋も漁ってしっかり必要なモノを小型カメラに収め、部屋から出て、何食わぬ顔で仕事に戻って……
「緊張したわ……あの後、四時間も見習いをさせられて」
男はカメラ、ラスタは原本を隠し持って。退勤までソレを身に付けたまま……
あの時は本当に緊張して……いつ見つかるか気が気でないのに、あの男は本当に平気そうに客をあしらっていた。
そう、そう……とてもとても緊張していたけれど、あのクローゼット……今考えたら、密着しすぎでは!?
厚い胸板に戸惑いつつも、あの瞬間は敵が近いと言うのに、安心を感じてしまっていた事とか、力強い腕に引っ張られたのとかまで……足の間に足、太ももが……その……どこに当たっていたか……ラスタは改めて思い出してしまう。
途端にかぁっと頬が熱くなる。
「あ、あれは、そうっ! 仕方なかったのです。合理的でした。見つからない為の妥協点。そう。あ、相棒、バディとして、頼りになるという意味でっ、許したわけで!」
断じて他の色々を許したからでは……っと、誰にともなく言い訳するラスタだが……3000年前の記憶が今も鮮明に思い出せてしまう事に驚く。
けれども……親しくしていた、とても……そう思うのに彼の過去を深く知る事はなかった。聞けなかったのだ。
貴方はどんな人生を歩んできたの?
どうしてそうやって嗤っているの?
そんな単純な事さえ。単純だからこそ怖くて。
そして死んでから、死んだからこそイルはやっと彼の魂の『欠陥』を教えてくれた。
今も『魂の瑕疵』とやらを抱えたまま、輪廻の輪で悲しい事も悲しいとわからぬまま、あんな笑いを浮かべているのだろうか……
いや、いろいろ含んだ嗤いだったけれど、それでも笑い合えることを望むなら、それもイイのだと言う多様性をもラスタは認められるようになった。
「嗤っている時は……あの瞳がちょっとだけ光を帯びるから……」
ただせめて彼が一人ではなく、その笑い合う相手くらいみつけられていれば……そう思い願ってしまう。
「3000年経ってもヒヨコだったら……もらってやるなんて、本当にいい加減な事を言う男だったわよね……まさか来るわけないでしょうけれど」
徐々に見えている星の数が減り、黒から藍、藍から紺、少しずつ明けて淡く透明な淡水色になっていく空に、まばゆい太陽のオレンジがかかっていく、夜明けの空を眺める。彼にも明るい夜明けがあるとイイのに、と。
そしてはた、と気付く。
「え、わたくし、名乗ってない?」
こうやって……時折思い出してしまう程に印象的だった黒曜の男。3000年経った今になって、彼に正式な自己紹介すらしておらず、彼本人にも名乗ってもらった事はなかったという事実に気付く。だいたいイルが呼んでいた『名』さえも、あちらの世界の『番号』だったとか言う……本当にふざけた男だった。
ラスタはいつだったかに『天然物の、ほーんものの、は、い、え、る、ふ! ですっ』くらいは言ってやった……気がする。ハイエルフ、この星では絶滅して伝説の存在なので名乗らないのだが……他の星の生物だからイイだろうと言い放った気がする。けれど、そんな事を言う暇はあったというのに、互いの名前を名乗るような事も、正式な名を呼び合う事もついぞ無く……………………
「まぁぁ……今更………………ですけれども」
彼はもうこの世に居ない。
どこかで生死を繰り返しているのかもしれないが、ラスタにはわからない。イルの言うような『地獄のような生』に、産まれついていない事を祈るしかない。
時間が経っても、時空が違っても、ヒトが生きて居る限り、争いは止まない。エルフだってそうであるけれど、自然と寄り添い共生する気質の為、人間よりイイと思う。それもそうある様に彼女は尽力しており、これからも手を抜くつもりなどないから。
「そうね……本当に来てくれるなら、エルフに生まれるとイイのだわ。そうしたら私がすぐに見つけて、今度こそそんな事にならないように……ちゃんと守ってあげるのよ」
自分の側の風がふわりと舞って、光を帯びれば虹色となって虚空に消えて行く。
その風が。
あの時、流した自分の涙が。
この世の底辺に堕ちて育った、五歳にもならない少年を突き動かしていた事など、この時のラスタが知る事はなかった。
小藍様よりいただいた小話~
カジノの控室にて~
「単発バイトだけど、イイ二人が入ってくれたな」
「だな。あの二人セットだと、ご婦人方の財布の紐が緩みやすくて助かる。昨日、稼がせてもらったぜ〜」
「おいおい。俺たちが稼いでどーすんだよw」
「黒髪の方、どっかで何かやってたんかね? 要領良すぎだし、手も早いし」
「あの手に、惚れてる婦人がいるらしーぞ?」
「それを言うなら、あの金髪見習い、『喰べちゃいたい♡』ってご婦人だけでなく、変な好色家のジジイまでいるんだぞ」
「げー、マジかよ」
「まー、あの見た目じゃあ、なぁ……そっちの方面、全く経験なさそーじゃん?」
「だよなー」
「それがイイんじゃね?」
控え室で盛り上がるバイト陣
「あ〜、あの二人、休憩入らせんのも一苦労だぜ…」
そこにやってくる主任
「「「主任、お疲れ様っすー」」」
小藍様:裏でこんな話をしてそうな…
桜月:(笑)ありそう…
llllllllllllll
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