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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
1286/1287

インテリ枠


「お昼寝は今度にする。荷物はここに置いて下さい」

「うん」


 そうしてお義父さんは持ってきた宿泊用の荷物を置きましたぞ。


「これからどうしようか? みんなで集まって待機でもする? 何かヴォルフが考えた歓迎をここでするんでしょ?」

「ヴォフ、既に使用人とか周囲の貴族たちとかには連絡済みで準備も進んでる。割と自由時間あります。どこでも案内出来る」


 どこか行きたい所はありますか? っとヴォルフがお義父さんに尋ねますぞ。


「そうだなー……さっきの話からヴォルフの部屋の方を見て見ようか」

「ヴォフ! 俺の部屋気になる?」


 目をキラキラさせてヴォルフが聞きますぞ。


「自宅訪問だし、見て欲しくないなら行かないけど?」

「見て欲しい!」

「あ、そう?」


 などとやり取りをしているとワニ男とウサギ男がヒソヒソと会話を始めるのを俺のウサウニーイヤーが捕らえますぞ。


「最初に案内させるのを本人の自室とか、無自覚なのか知りませんが困りますね」

「そうだな」

「とはいえ、ボクの方でも屋敷でボクが住んでいた所が何処か聞いて見に行ったんですよね。少しでも思い出が無いかとか気を使うんですよ」

「誤解を招きそうな態度だが、無自覚なんだ。そう言えば自分の部屋だった所も同行してたな。修繕を優先するようにエクレール様とエルメロにお願いしていた」


 ちなみにお姉さんの場合は既に家が無くなっていたので跡地をお義父さんと一緒に見たとかの出来事があるのですぞ。

 配慮は変わらないのですぞ。

 そうして向かったのは元々のヴォルフの部屋らしいですぞ。


「ここ」

「おお、ヴォルフの部屋……」


 ガチャリとヴォルフの部屋に入るとそこには沢山の本棚がありましたぞ。


「おー……書斎なのか、本ばかりだね」

「ヴォフ、読書好き」

「今は全然してませんけどね」

「してるよ?」


 小首を傾げてウサギ男の言葉に反論してますぞ。


「時々眼鏡掛けて片手で読んでるよね。屈強な肉体を持ちつつ勉強もする狼男って感じで」

「ヴォッフ」

「カルミラ島でペックル姿ではしゃぎまわっていた印象しかないです」

「ヴー」


 ヴォルフが威嚇の声を上げてますぞ。


「まあ最近のテオの自室みたいな感じだね。似た者同士で共通の話題とか出来そうだけど」

「学んでいる言語の所為でちょっと読むのが難しいですね。翻訳されているのならどうにかって所ですよ」


 ウサギ男はシルドフリーデンの言葉と文字が少し、それ以外はお義父さんと一緒に学んだ範囲ですぞ。

 逆にヴォルフは勇者に既に成っているので言語は問題なく、文字がシルトヴェルトの方面が主らしいですな。


「異国の本が並んでいるという感じだな。読むのは難しい」


 ワニ男はメルロマルク出身なので読み書きはメルロマルク基準なのですぞ。

 この辺りはお姉さんと同じですな。


「俺は読めますぞ」


 長年この世界に居ますからほぼ読めますぞ。


「何張り合っているんですか」

「同じ物語とか翻訳されて読むとかあるでしょ? そう言う話、ヴォルフとテオって盛り上がりそうだけど」

「この人、普段は槍の勇者並みに遊んでるんでそんな踏み込んだ物語談義しませんよ」

「ヴォッフーリーシア挟むときっと盛り上がる」

「そこは否定しませんね。あの人、本気で頭いいですよ」


 リースカですかな? 確かにフォーブレイの学校で実は成績トップ帯らしいですからな。

 あまり目立たないのは本人の気質という所でしょうな。

 他にも優秀なフィーロたんファンクラブの居る場所なので思い出せますぞ。


「改めて考えると結構知能指数高い人が知り合いに居るよねーってのはともかく、ヴォルフの部屋ってこんな感じなんだね。あ、一応鉄アレイみたいのもあるね」

「うちの家訓もあるし兄が脳筋で色々と補佐と稽古相手をしてるうちに……」


 そう、兄の話をするヴォルフのテンションが僅かに低いように見えますぞ。


「苦労人ポジなのにそう感じさせないね。ヴォルフは」

「フフ」


 何を思わせぶりに笑っているのですかな?


「本当はインテリ系っぽいのにね。この部屋だけ見るとさ」

「見る影もないですよ」

「ヴォフ」


 照れるようにヴォルフは頭を掻いてますぞ。


「褒めてない」

「実際ヴォルフって学校とか行ってたの? 貴族なら行きそうだけどさ」

「うん。しばらく通ってた。とはいえ、兄の従者をするようになってからは自主勉強と通いの教師に教わってたくらい」

「兄弟仲良かったんだね」


 お義父さんの言葉にヴォルフは少しばかり寂しそうな顔になったかと思いましたがすぐに頷きましたぞ。


「ヴォッフ! 馬鹿な兄だったけど裏は無いので付き合いやすかった」

「どっちかというとあなたが裏があるポジションだったそうですものね」

「そう」

「兄弟仲が良いのは良い事だと思うよ?」

「お義父さんも弟が居るのでしたな」

「そうだね」


 あまりお義父さんは話さないですが優秀な弟がいらっしゃるとの話ですぞ。

 世間体を気にするとの話ですぞ。


「岩谷様の弟に関してはちょっと気になりますね」

「時々話すけど世間体を気にする所があるけど、運動も勉強も良い優等生。逆に俺は弟と比べて成績が悪い。岩谷家の兄弟の不出来な方とか言われてたよー」


 サラッと仰いますが……お義父さんよりも能力が高い弟がどんな化け物なのか逆に気になりますな。

 樹もお義父さんの話を聞いた感じではお義父さんに甘えているブラコンではないかと疑ってますぞ。

 俺の読みでは……学業関連だけ成績が良くて他はお義父さんに負けているという感じのステータスでは無いですかな?


「兄より優秀な弟というのは往々にしてどこでもあるって事でしょ。スポーツ選手とかも下の兄弟の方が成績が良いって話もあるし」

「そう言うものですかね」

「テオも従兄弟が見つかったんだし、シオンはエクレールさんでしょ? そう言う関係って良いよね」

「……ナオフミ様は、弟に再会したい?」


 恐る恐ると言った様子でヴォルフが尋ねましたぞ。

 おそらくお義父さんの返答はそこまでではないではないかと思いますな。

 何せ他のループでも弟に会いたい等とは仰いませんからな。


「別に俺が居なくても弟は大丈夫でしょ。割と馬鹿にしてたし、そう言えば今夜はシチューを作っておけとか言われたっけね。はは、作ってやれなかったね」


 やや小ばかにした笑いをお義父さんはしてましたぞ。

 異世界に来たので知らないという反応ですぞ。

 そもそも……ここはループしている世界の一つなので、槍の精霊曰く……他の世界との繋がりは無いでしたかな?

 最初の世界のお義父さんが一度、帰ったと仰っていた事があるのでその際に色々とあったのではないですかな?

 何より、その辺りの憂いを見せなかったのもありましたぞ。

 そして……俺がループを始めた際の事を思い出すと最初の世界のお義父さんがどうもフィーロたんと再会出来るみたいだったので今もご存命なのでしょう。

 きっと弟さんの辺りも上手く解決しているはずですな。

 おや? そう言えば虎男がお義父さんの方の世界に行った虎娘を窘める為にそちらの世界のお義父さんに呼ばれたとか聞いたような?

 お義父さんは分裂している事だったような……? どうでしたかな?

 話して大丈夫ですかな? やめておいた方が無難でしょうか。

 曖昧ですし確証がないので黙ってましょう。


「ヴォッフ」


 お義父さんの返答に少しの沈黙の後にヴォルフは合わせるように鳴き声を上げましたな。


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― 新着の感想 ―
確か今は上書きループじゃなくて、分岐する並行世界を増やしてる感じのはずだけど、元康はその辺認識しきれてないんだっけ? 槍の精霊もそこらへん曖昧になるように記憶に干渉してるっぽいし。
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