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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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繋がる波


「まあ、獲物は即座に回収して撤退するのが身のためですかね。あまり人里の方へ行くと良くないでしょう? 指名手配中ですし」

「そうですね。ただ、魔物の取りこぼしなんかがあったら困るので確認はしますか」

「村の方にいこー」


 と、樹を乗せたコウとウサギ男は老婆の村へと偵察に行ってましたぞ。

 何にしても波は速攻で処理できましたぞ。

 ユキちゃん達がレースの続きをしている間に素材を確保ですぞ。

 なんてしていると……。


「んー?」

「元康様ー!」


 ユキちゃん達がバッと急いで俺の元へと駆けつけて来たのですぞ。

 一体どうしたのですかな?


「ドラゴンの匂いがしてますわ」

「何!? ですぞ」


 まさかあれだけ高速で仕留めたのにライバルの奴が近くにいるという事なのですかな?

 周囲をキョロキョロと見渡していると錬に化けたラフミが錬の仲間と一緒にゆっくりと近づいてきましたぞ。


「どうした? 何時までも遊んでいると思っていたが随分と警戒しているではないか」

「ユキちゃん達がドラゴンの匂いを感知したのですぞ。ラフミ、お前も何か感じるのではないですかな?」

「そこまで確定で私も索敵はしていないが……ふむ。クロも何やら感じているようだぞ」

「むー……遥かなる因縁の宿敵の陰謀の気配がクロ達を更なる運命の戦いへと導くー」


 という所で空からゆっくりと……一匹の、奴が降りてきましたぞ。

 姿が違えど俺にはわかりますぞ。

 ライバルが居ましたぞ!


「おめーまたやりやがったの! 今回はあっちの世界に送るとかやらかしも良い所なの!」


 怒りの形相でライバルが俺に向かって敵意ある目を向けて来てましたぞ。


「馬鹿な!? どうやって俺たちの猛攻を凌いできたのですかな!」


 仕留めるにしても手口を把握しなければいけませんからな!

 クエー! っとフィロリアル様が揃ってライバルに威嚇の声を上げる中で詰問してやりますぞ。


「おめー馬鹿なの! ここの波だけ出待ちしてただけじゃガエリオンの帰還を阻止なんて出来ねえなの! 他の波でもあっちの世界と繋がってる所はあるなの!」

「なん、だとですぞ!」


 この返事だけで答えが導けたのですぞ。

 どうやら他国の波の中にあっちの世界と繋がっている波があるようですぞ。

 ですがそれが分かれば次の手立ても容易いのですぞ。


「次やったらガエリオンも考えがあるから覚えておけなの!」

「覚えておかないですぞ!」

「ここに来たのは丁度いい合流地点だからと言った所か」


 錬に化けたラフミがライバルに聞きますぞ。

 するとライバルはラフミに顔を向けて何度か瞬きした後に頷きましたな。


「そうなの。というかあの方が用意した滑り止めのお前が居るって事はフィーロの件は成功したって所なの」

「正解だ」

「で? なんでラフミが剣の勇者に化けてるなの?」

「それは……教えてやらないよチャン!」


 ライバルの問いにラフミはいつもの返事をしますぞ。


「あっそうなの」

「その反応はつまらん。もっと聞け」

「聞いてやる必要……あるなの? 見ればわかりそうなの」


 ライバルの返事にラフミが深くため息をしましたぞ。


「つまらんなぁ……」

「それはこっちの台詞なの」

「ライバル、近寄るなですぞ!」

「既に今回のお前らを捕捉したからどこへ行っても居場所の特定できるなの」


 くっ……遭遇する時点でアウトとでもいう気ですかな!

 ならば口封じをするのが得策ですぞ!

 槍を強く握りしめますぞ。


「槍の勇者? ここでガエリオンが容易く倒せると思ったら、大間違いなの。このガエリオンが実体だと思うなの?」

「お前までラフミみたいな事を抜かすのですかな!?」

「ガエリオンは既に魔法の達人なの。竜帝を舐めるななの」


 おのれ……どこまで厄介な成長をする化け物ですかな! とはいえ腹が立ったのでブリューナクですぞ!

 ズバンとぶち抜いてやったのですが、奴は霧のように霧散して姿が掻き消えたのですぞ。


「まあ落ち着け、槍の勇者。見つかってしまっては手の施しようがない。素直に相手をしてやるのが良いぞ?」

「嫌ですぞ! 俺の恨みは晴れませんぞ。この周回の平穏が脅かされるのですぞ」


 俺は声高々に叫んでやりますぞ。


「ライバル! お前はあっちの世界を平和にでもしてろですぞ!」

「あっちの面倒な目はあっちの部下共に色々とやらせて大抵排除を進めてるから問題ねえなの」


 ……おのれですぞ!


「ま、ガエリオンも何だかんだ色々と合流までに聞き込みはしてある程度は把握しているなの。どうやら今回はガエリオンと初めてあった周回と似た流れで……サーカスをしていたって話なの」


 ライバルの奴、事前に調査済みで俺たちと合流してきているという事ですぞ。


「なんか剣の勇者が随分と有名になってるけど……ラフミ、お前がやってるようなの?」

「概ね間違いは無い」

「おい! 何を素直に説明しているのですかな!」


 面白ければなんでもするラフミが素直にライバルと話をするのはどういう事ですかな?

 黙って居ろですぞ。


「ふん、槍の勇者。わからないのか? 内緒にしてても一目でわかる答えしか来ない。更に問題として、こいつと下手に衝突を繰り返すとこの世界では良くても他のループに行った際に禍根により任務に支障を来しかねない」


 だから完全な敵対は避けるのが無難だとかラフミが抜かしましたぞ。


「何を言っているのですかな? そんな事は織り込み済みでループごとにお前がライバルと火花を散らす攻防でもしていろですぞ!」


 その間にフィーロたんとお義父さんと俺が仲良くするのですぞ。


「面倒くさい」

「面倒なの」


 なんでそこで同じ返事をしているのですかな!

 ぐぬぬ……俺のループに便乗する寄生虫とチョコ共ですぞ。


「それより槍の勇者、そろそろお前も身の振り方を考えんといかんぞ。こいつが帰還したのだからな」


 ラフミが何のことかまるで分らない返事をしましたぞ。

 言われて考えると……ラフミだと大丈夫だけどライバルだと上手く行かない事ですかな?

 ……樹と錬を妖精姿にしたウサウニーの犯人を暴露する可能性が高いのですぞ!


「どうせしょうもない事を仕出かしていると思うなの。ガエリオンは物分かりは良いつもりなの」

「だが、物分かりと最適解をし過ぎては面白味も幅も無くなるぞ」

「そこはガエリオンも引けないラインまでは多めに見てやるつもりなの。まあ……限度はあるけどなの」

「お前の手伝いなど不要なのですぞ! 俺の邪魔をしたら容赦しませんぞ!」

「何をしでかしているか次第なの」


 く……何をライバルに知られたらいけないかの心当たりが多くて困りますぞ。


「ドラゴンは敵ですわ」

「そうですな。ですがユキちゃん、こいつはそんじょそこらのドラゴンよりも厄介な化け物なのですぞ。安易に攻撃すると危険なのですぞ」

「なんとでも抜かしていろなの。まあ……もう少しだけ様子を見て混ざるタイミングでも用意してやるなの。おいラフミ、合流の手伝いをしろなの」

「ふふふ……良いだろう、手伝ってやろうではないか」

「聞き訳が良いなの。何か裏があるのは間違いないなの」

「手伝いなんてするなですぞ!」


 ラフミの奴は本当、碌な事をしないのですぞ。

 ライバルをお義父さんに近づけさせるわけにはいかないというのに厄介極まり無いのですな。


「ところでラフミ、お姉ちゃんたちが巣に居なかったけど知ってるなの?」

「ああ、色々とあって預けられたぞ。サーカスの雰囲気に釣られてノコノコとやって来てな」

「へー……なの」

「ふふふ……面白い物が見えるぞ。是非とも姉に会いに行くがいい」

「お前を喜ばせるのはなんか嫌な気がするなの」


 そうして……樹たちが戻って来る頃、ライバルはササッと姿を消していたのですぞ。

 何を企んでいるのですかな!


「なんかコウさんがドラゴンの気配がすると仰ってましたが」


 キョロキョロと樹とウサギ男が周囲を見渡していましたな。


「取りこぼしは無かったようですし……色々と物資と魔物の死体を回収して帰りましょうか。国の連中がかぎつけると面倒です」

「そうですな。ちゃんとボスの死体も確保なのですぞ」


 ライバルの出現阻止は出来ませんでしたがフレオンちゃんを育てるための素材は確保しましたぞ。

 そんな訳でユキちゃん達を見せて仙人からフレオンちゃんを譲ってもらった卵に登録を済ませる事は出来ました。

 ただ、国内の情勢で仙人が警戒気味ではありましたがな。

 誤解であり、フィロリアル様への熱意で仙人は納得してくれていたのですぞ。

 こうして……ゼルトブルとシルトヴェルトに避難しているお義父さん達の元へと合流することが出来ました。

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― 新着の感想 ―
これもしかしてライバルは四霊の力使えるんじゃないか? 霧みたいに消えたってあるし⋯
あけましておめでとう御座います。今年も宜しくお願いします。 ガエリオン、ようやく再登場しましたね。次回からフレオンも出てきてさらに賑わいますね。
今年も楽しく読ませていただき、ありがとうございました。 良いお年を!
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