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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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解説要求

 舞台裏ですぞ。


「みんなお疲れ様ー! 今日もベストなショーをして貰ってよかったよ。本当……最初は出来る演目が少なくて困ったときもあったけど、こうして集まってくれたみんなのお陰でここまで俺たちのサーカスは大きくなった。改めてありがとうー!」


 とのお義父さんの労いの言葉を受けてみんなやる気に満ちてますぞ。


「さてと、既に準備してあるけどみんなご飯を食べて次に備えてくれ、じゃあ各自、自由行動!」


 とまあこうしてサーカスの時間は過ぎていったのですな。

 舞台裏の隅でつまらなそうに立っている樹にお義父さんが近づくと、樹は定位置とばかりにお義父さんの背中を駆けのぼって両肩を足場にして乗りますぞ。


「どうだった? 少しばかり舞台に出た感想は」

「賑やかそうでしたね。最後は人種関係なく楽しいは共通とでも言いたげの締めでしたね」

「そうだね。ここは俺のメッセージが強いかな。フィロリアル達の歌と踊りが素晴らしいからみんなで楽しくってやってるようにしたかったんだよ」

「俺は出られないけどな」


 ルナちゃんに抱えられた錬が半眼でお義父さんに抗議するとばかりに返しますぞ。

 美味しく頂かれた扱いなので出られませんぞ。


「最後の賑やかで良いよなー剣の兄ちゃんも二軍サーカスの方で出ようぜー」


 ちなみにキールは豚姿での登場は許可されているので混ざってましたぞ。

 二軍サーカスはキール達がゼルトブルでのサーカスをそう呼んでいるのですぞ。

 お義父さんが注意をするのですが時々ぽろっと出てしまうのですな。


「嫌だ。ただでさえ見世物なのにそんなにできるか」

「えーでもみんな少しでも目立ちたいって感じで楽しそうじゃね?」

「まあ、楽しくて目立ちたいってみんな思ってくれたら俺は嬉しいかな」


 ね? とお義父さんが周囲に顔を向けると、みんな若干照れくさそうにしますぞ。


「楽しい時間を満喫しないとね。みんなが楽しいとお客さんも楽しんでくれるってさ……裏の仕事だけが全てじゃないんだし」


 そう、俺たちはサーカスを運営しながら奴隷売買を生業にしているのですぞ。

 と……こうして客が家路に着いた後、お義父さんは奴隷の売買をしに行くのですな。

 表の派手で明るい時間は終わり、裏にして闇のお時間が来るのですぞ。

 その前にお食事ですな。

 サーカス開始前にお義父さんとパンダの養父が協力して派手な出店のショーは行われてましたが、それがサーカスが終わった後、サーカスに携わった者たちの労いにと特製料理として振舞われるのですぞ。

 トントントントンと小気味の良い裁断の音が響き、サッとお義父さんが切り分けた食材を空中に飛ばしてパンダの養父に渡すとパンダの養父は巧みに空中で跳ね返して鍋へと投入したり中華鍋に投入してザッザと手際よく炒めるのですぞ。

 更に蒸し器なども用意されていて、ドンドンと煮えたぎった鍋の上に積み上がって行くのですぞ。


「頼むさねー」

「はいはい」


 スパパパっとお義父さんはステータスをフル活用して食材を切り刻んでいきますな。

 飛ばされてきたキャベツに似た野菜が一瞬でみじん切りになるのですぞ。

 その様を錬とエクレアが凝視しております。


「あの技、見切れたか?」

「いや……どういった角度で切るのか、下手な角度で切ると野菜が吹き飛ぶ」

「切れ味だけじゃないはずなんだが……」


 うーんと錬とエクレアがお義父さんとパンダの養父の裁断風景を凝視してますぞ。

 錬、お前もそろそろ渡して置いた包丁に武器を変化させられるようになったのではないですかな?

 似たようなスキルを他のループでは放てるようになってましたぞ。

 あくまでお義父さんの模倣でしたがな。


「尚文さん。料理によるウンチクとか言わないんですか?」


 樹がモグモグと出された料理に舌鼓しながら聞きましたぞ。


「ウンチクって?」

「そう言うのあるじゃないですか。この料理は三流だとか食材が悪いとか、とても食べられたものじゃないとか、どこの食材が最高だとか」

「闇の料理界のルールさね?」


 パンダの養父が料理の合間に逆に聞いてきますぞ。


「料理で白黒つけたがる連中がそういった理屈をよくこねるさね。如何に悪いかとか美味しい理由とか」

「一緒に食べてると不味くなりそうなやり取りじゃない?」

「そうさね。白を黒にも出来る能弁者が時々いるくらい面倒な語りさね」

「まあ……問題があるのだったらそういった指摘をするのも手だとは思うけどさ」

「問題点を注意するのは否定しないさね。でもここでそんな美食に拘るのさね?」

「俺としてはみんなが満足して楽しく食べれれば良いと思うよ? 手抜きも悪くは無いと思うけどそれで俺の方が美味いとか自慢されたら困るかな」

「誇るものじゃないさね」


 と、お義父さんとパンダの養父が仰いましたが、この場に居る連中の殆どがどの口が言っているのだろうと思ったそうですぞ。


「……聞き方が悪かったですね。じゃあ今回の料理に関して詳しく説明してくれるとより美味しく食べられそうなので教えて下さい」

「え?」


 っと、お義父さんはキャベツメンチカツをカラッと適切なタイミングで揚げて振舞いながら言いますぞ。


「普通のキャベツメンチ? 食材はみんなが狩ってきた複数の魔物の肉をあいびきにしてキャベツモドキとか野菜を裁断して捏ねて衣を付けて揚げた感じ?」

「一緒に肉団子も作れるさねー!」

「ハンバーグも一緒に作ってるよ。手抜き手抜きー」


 魔物の合いびき肉ではありますが俺はわかってますぞ。

 料理一つ一つでその配分が全て違う事を、それをお義父さんとパンダの養父は無意識にやっているのですぞ。

 俺じゃないとわかりませんかな?

 きっとパンダ辺りは見切っているのではないですかな? その辺りを察している動きがありますからな。

 ともかく、挽肉で作れる似た料理を手抜きと称してお義父さん達は大量に作っているのですぞ。

 応用と大量生産に特化した作りですな。

 この作り方はどの世界のお義父さんも当たり前のようにやるのですな。


「わーい。ごはーん」

「ごはーん! もっとー!」

「中々良い味ですわ」


 フィーロたんにコウ、ユキちゃんに始まり、フィロリアル様たちも召し上がってますぞ。


「……もっと美味しそうな能弁を聞きたいんですよ」

「うーん……あ、野生で生きたブラウンウサピルの肉を最適な環境で熟成させたのを贅沢に挽肉にし、同様に培われたフロッグサラマンダーという淡泊ながら生命力にあふれた魔物の肉と合わせ、ルロロナ村近海で作られた最高級の塩、及びメルロマルクの大地で壮大に育ったまさに大地の一滴と言える野菜と香辛料を贅沢に投入して揚げられた一品! みたいな語り?」

「白々しい言い回しをしてませんか?」

「そうは言ってもなー……一応、合いびきキャベツメンチカツって事になるのかな?」

「もっと美味しそうに説明する場合、ウサピルの腿は機敏に動き、蹴りや逃亡に役立つために引き締まっているので旨味を十分に内包しているとか付け加えるさね。生きる為に、精一杯使われた箇所……あふれる肉汁としてその力が口の中に広がるとか」

「なんかどこかでウサピルの食材を語ってる人が言いそう」

「聞いた事がある語りさね。もしくは油をどうやって作ってるとか」


 あ、これは知ってますぞ。

 フォーブレイに行った際の旅路でお義父さんが当たり前のように揚げ物を作っている所で樹が聞いたのでしたな

 あの時は……。


『尚文さん。揚げ物を野営で作れるって凄くないですか?』

『元康くんが火の調整してくれるからそこまで難しくないよ?』

『それはわかりましたが油なんてどこにあったんですか? 荷物にありました?』

『え? みんなが狩ってきた魔物の脂身から作ったラードだけど?』

『ラードって……』

『あ、正確にはラード、豚脂じゃないけどね。牛脂ともちょっと違うから……魔物脂って言うのかな?』


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― 新着の感想 ―
[一言] やべえ……盾本編時より終わりが全く見えない……作者が生きてる(執筆可能な)限り続くのでは?
[一言] 樹から料理関連で無理無茶ができることの質問が来た場合は、音楽関連で樹がいろいろやれるのと同じだよで通じると思うんだ
[一言] 樹「どうして自然環境の中にいる魔物の脂から揚げ物に使える分を確保できるんですか」
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