本来はクソガキ
ちなみにお義父さんは虎娘と稽古をして体を鍛えていたらしいですな。
更に後半にもなるとお姉さんのお姉さんと海での泳ぎで体を鍛えて居たとか……お姉さんのお姉さんの戦闘センスは凄いですからな。
そもそもお姉さんのお姉さんは海を泳いで体を鍛えている方ですぞ。
下手なバーベルなんかよりも筋肉を常時使う訓練だったのでしょう。
前回のお義父さんがペックル姿でお姉さんのお姉さんと楽しく海を泳ぐ姿は幻想的で可愛かったですな。
それで体力も強化できるのなら一石二鳥ですぞ。
「そこでなんでヴォルフやシオン達が話題に出るのが分からないんだけど? ラフミちゃんは何を知っているのかな?」
「何も知らんぞ? 別に未来の話でもない」
一体ラフミは何を見ているのですかな!
「お義父さん、何にしてもラフミがフィーロたんに変な事を教えているのですぞー!」
フィーロたんはザァコなどと言いませんぞ!
そんな事を言いそうなのはタクトの所に居るグリフィンなどの豚ですぞ!
「フィロリアル様たちはザァコとは言わずに「弱いねー?」「弱いけど大丈夫ー?」「どこかでやられちゃうから頑張った方が良いよー」と仰るのですぞ!」
フィロリアル様たちはみんな思いやりがある方々で相手が弱いのなら優しく助言をする天使なのですぞ。
「それもどうなんだろ……」
「煽るのは同じだがな」
「違うのですぞ!」
と、俺はしばしお義父さんを交えてラフミにフィロリアル様に関する注意事項を議論したのですぞ。
「何にしても適度にスリルや危機感を与えんといかんかもしれん……」
「ぐー……」
フィーロたんがお昼寝してますぞ。
愛らしいお姿ですな。
思えばフィーロたんとサクラちゃんはよく似た所が沢山あったのですぞ。
おっとりなのは最初からなのですな。
「……まあ、フィーロもこういう所があったか。むしろユキはともかくコウがいい子過ぎではないかと思うのだがな」
「ここでコウにも飛び火をしちゃう流れなのかな? 樹の事が心配で何かあると見てる良い子だと思うけど……」
「本来はクソガキなのだぞ? キールの尻尾を執拗に狙い、弓の勇者の髪も同様にモシャモシャとしたと聞く、挙句イミア達ルーモ種の連中をいずれ食料とするのだと思っていたりな」
「今のコウとは考えられない位の子だなぁ……なんか元康くんが妙に警戒していたのはこれだったっけ」
お義父さんにお説教をされてしまうとコウはとんでもなく落ち込んで臆病になってしまうのですぞ。
治療法としてはゾウと一緒に居ると何がダメなのかをわかって明るいコウになってくださるのですがな。
「ゾウが居るお陰なのですゾウ」
「元康くんが妙にエルメロさんへの信頼が厚い理由なのはわかるけど……ちなみに元康くんにとってエルメロさんってどれくらいの重要度なんだろ?」
お義父さんの質問に考えますぞ。
そうですな……ループの最中、どこかで逢えたらどうにかして勧誘したい位には優先度は高めではありますな。
いると居ないとではフィロリアル様方の教育に雲泥の差が出ますからな。
自由でのびのびとしたフィロリアル様も良いのですが、ダメなラインというのがあってそれを越えるとお義父さんや他の方々の説教などが発生しかねないのですぞ。
あまり暴走が酷すぎるとコウのようになりかねないですし、ブラックサンダーがラフミの襲撃で別人のようになってしまう危険性もありますぞ。
そう考えるとゾウは非常に助かるゾウですゾウ。
「フィーロたんにお義父さん、フィトリアたん、フィロリアル様の次の重要度でしょうな」
優先度としてこの辺りが落とし所でしょう。
確かにお姉さん達は大事ではありますが、まずはフィーロたんに始まるフィロリアル様方ですぞ。
その次がゾウで良いのではないですかな?
俺としてはゾウとパンダの二択だったら迷わずゾウを優先しますぞ。
物分かりも非常に良いですからな。
パンダは俺が声を掛けてもついて来なかったのですぞ。
「結局は中々元康くんの知ってるフィーロちゃんを維持するのも難しいって事か」
「盾の勇者が甘やかすのがいけないのだ。もう少し自己主張をさせねばいかん……嫌なら時にはフィーロを無視するのだ、『ああ、フィーロか……忘れてた』などと言って順番を抜かせ。当然の如く他の奴隷共の世話に追われている風にな」
「それって虐待なんじゃないかと思うんだけど……」
「満たされていると思わせるほどの世話をしているのがいかん。欲求というのは本来、底なしなのだぞ?」
お義父さんは奴隷たちを含めてその辺りのコミュニケーションがパーフェクトなのですぞ。
助ける事が出来なかったお義父さんの場合はこの辺りが適当でやりたいことをするようになるのですが、このループのお義父さんはこの辺りの技能が卓越してきている気がしますぞ。
何時も周囲に誰かいますからな。
むしろ寝る時間を削ってまで誰かの世話をしているので奴隷たちが就寝時間になると見張りをするようになるほどですぞ。
おっと、これは最初の世界のお義父さんも同じでお姉さんに寝る時間を注意されていましたな。
抱えきれる程の人員の世話をしているのが原因でしょうかな。
「フィーロちゃんの場合はその日の報告とかした後、少し遊んでからご飯とか上げたりしているとお昼寝し始めちゃうからなー」
「そこが既にサクラ化しているのだ。もっと適度にながら作業で相槌を打てば良いのだ。ワガママを言ったらやんわりと諭すのではなく突き放せ!」
「うーん……ラフミちゃんの目的はわかるんだけどさ」
「ううむ……調整が中々難しいものだな。これは私自身がノウハウを構築せねばならん問題だ。まあ……サクラ化を防ぐ目途は立っているがな」
「なんだかなぁ……」
「槍の勇者、抗議は受け付けんぞ? 今のままではお前もいずれフィーロ……たん? と首を傾げる事になっていくのだからな」
「ぐぬぬ……」
フィーロたんではなくなってしまう等とラフミが抜かしていますがフィーロたんはフィーロたんなのですぞ!
と、いう訳でラフミに関して注意はしたのですが上手い事、やめさせるのは出来なかったのですぞ。
「ぐー……」
ああ……フィーロ、たん? 今日も寝顔が愛おしいのですぞ。
ただ、確かにサクラちゃんのような雰囲気というのも間違いは無いのですな。
サクラちゃんとフィーロたんが同一存在だというのを感じられる寝顔だったのですぞ。
「サーカスだよ!」
「カーニバルだよ!」
「キャラバンだよ!」
今日も今日とてサーカスキャラバンはメルロマルク内を行脚していくのですぞ。
「なんか景気よくフィロリアルのみんなは毎回声をあげながら馬車を楽しく引いて行くねー」
フィロリアル様たちの楽しい楽しい馬車の旅なのですぞ。
そうして新たな町に巡回してサーカステントが建てられ、本日の興行が開催されるのですぞ。
「ブヒィ!」
「うぐ!」
「うぎゃあああ!?」
と怠け豚が見せる最初の鞭打ちショーでむち打ちされるワニ男とウサギ男、最近ではヴォルフもむち打ちショーに組み込まれてますぞ。
一旦やらなかった事があるのですが、噂の範囲で知った者たちからのリクエストがあってやむなく再開となった演目なのですぞ。
ですが、この所……始まりのショーに関して拍手等の受けが悪くなっているようでお義父さんは楽屋裏で眉を寄せてましたな。
「ブヒィ……ブヒブヒ!」
怠け豚もむち打ちをした直後に観客に見られない範囲でため息をしているようですぞ。
「お義父さん、何か問題があるようですな?」
サーカスには参加しない樹はお義父さんの肩を足場にして肩車の態勢で演目を見てますぞ。




