第607話 いろんなことが収まりきらない
「美味しい〜♪ おやつを〜♪ ごちそうさま〜♪」
「ごちそうさま〜♪」「〜♪〜♪〜♪」
ハンバーグを食べ終わったところで、みんなで『おやつなにかな』を合唱。
終わったところで、本当におやつの時間にしよう。
「今日のおやつはなんですか?」
「おやつ〜」「〜〜〜♪」
「今日は手作りチーズケーキ。送ってもらったグレイプルワインのデザートソースはお好みで」
アンバーナウトのミルクからクリームチーズを作るのに苦労したけど、そこさえクリアできればあとは簡単。
空砂糖、ヤコッコの卵、コハク(小麦)粉、レモン果汁の代わりにグリーンベリー果汁で代用。
一回作ることができれば、次からは楽チンなのがありがたいんだけど、もっと美味しいのを作ろうとするとって感じなんだろうな。
「グレイプルワインのソースはお酒ではないんですよね?」
「うん、沸騰させてアルコール分は飛んでるから大丈夫だって」
と作ったマスターシェフさんのメモがあった。
グレイプルワインにグレイプルジャムを加えて加熱。粗熱をとって冷やせば完成っていうお手軽さなので、島のグレイプルで作ってみてほしいとのこと。
【ライジング】「うまそ〜〜〜」
【シャルラン】「ちょっと冷えてるぐらいが美味しいよね」
【ギガノト】「鑑定プリーズ!!」
【ツバイ】「そのワインソースどこで売ってるの!?」
etcetc...
用意してあった分を保管庫から持ってきてみんなに配る。
おっと、鑑定しないとだった。
【(仮)チーズケーキ】
『アンバーナウトのミルクから作られたクリームチーズをメインに作られたチーズケーキ。グレイプルワインのデザートソースが添えられている(解説修正、追記可能)
効能:DEX・AGI上昇+7%(2時間)、抗毒I(3時間)
料理名:(未定)、作成者:ショウ』
まあ普通かな?
あんこのMP回復量上昇のインパクトが強すぎて、いまいちピンと来ないんだよな。
この後、戦闘するようなこともないし、味の方が重要……
「〜〜〜?」
「チーズ苦手ならこっちをどうぞ」
マンゴーにグレイプルワインのデザートソースをかけたもの。
こっちはこっちで味変って感じで美味しいんだよな。
「ショウ君」
「あ、ごめんごめん。食べ始めていいよ」
俺を待っててくれたみたいだけど、デザートなんだし、気にせず手をつけてもらって問題なし。
「じゃ、食べながら質問コーナーでいいかな?」
「はぃ」
みんなが美味しいと食べてくれてるのを確認しつつ、すごい勢いで質問が流れていくコメント欄を追う。
島からの販売物の話、島の北側の塔について、南の島へまた行くのか、離島連合というか互助会について……、やっぱり北側の話が一番多いかな?
「じゃ、まず島の北側なんですけど。崖下から見えた塔なんですが、あれは城の一部でした」
【フェムラ】「お城!?」
【マジプ】「大きさどれくらい?」
【ペーター】「とうとう妖精王の居城が!」
【ウィズン】「めっちゃ見たい!」
etcetc...
さらに盛り上がるコメント欄。
めちゃくちゃ期待されてるみたいだけど、そんな大きい城じゃないんだよな。
「大きくはないですよね?」
「と思う。本物の城は見たことないから、なんともだけど……」
言葉ではうまく説明できないので、短編で見てもらうのがいいかな。
「中庭は綺麗にしたんで、次のライブはそっちでやってもいいか」
そうなると城の中も先に確認しておきたいところ。
崖下の船着場(?)と繋がってるのかもチェックしておきたいし。
「城の中もだけど、森の西側も気になるんだよな」
「何かいましたよね」
「少なくとも、クロクハイエナはいたね」
それ以外にも何かいそうなんだよな。エリアボスだったりすると面倒なんだけど……
その話だけ続けてもなので、次の質問にいこう。
「はぃ。次の質問は『南の島へはまた行きますか?』です」
「うん。いつとは決めてないけど、島の産物を持っていく時についていくかも」
基本はシャルたちとエメラルディアさんに任せるけど、たまには俺も行こうかなって思ってる。
ミオンも一緒には……ミオン次第だけど、しばらくは無いかな。ベル部長とコラボする時がいいなって思ってるし。
「持っていく物は島でたくさん取れる物ですね」
「だね。コハクとオオハクが多め。お酒はアージェンタさんたちが欲しがるのもあって、たくさんは出せないと思います」
アズキはまだ増やしてる途中だし、白竜姫様のためにも量は確保しておきたい。
あと外に出せそうなのは……フロスコットンとか?
「互助会の話も進めないとです」
「うん。顔合わせするなら、南の島かなって思ってるし、その辺は決まったらちゃんと連絡します」
「はぃ」
あとは……
「あー、ステンドグラスは全然進んでないです。色ガラスの作り方の調査依頼は出してるので、何かあればお願いします。断片的な情報でもいいんで」
「よろしくお願いします」
こんなところかな?
時間もちょうどいい感じだし、最後にミオンに歌って終わってもらおう。
「じゃ、みんなも食べ終わってるみたいだし」
「はぃ」
曲はもう決まっていて『妖精の円舞曲』なんだけど、ミオンがピアノを演奏しつつみんなで歌う予定。なので、応接室へと移動。
さすがに妖精たち全員は入りきらないので、今、参加できない子たちはライブ後にまたってことで。
あの北端にある城に、もっと大きな部屋があったりしないかな……
「えっと、今日はミオンがピアノを弾きつつ、みんなと一緒に歌います」
【ガフガフ】「うおおおお!」
【ラクイチ】「え? 自動演奏?」
【ナシゴレン】「ショウ君も演奏するの?」
【シェケナ】「キター♪───O(≧∇≦)O────♪」
etcetc...
ちなみに俺は、歌うか演奏かの二択で演奏を選んだ。
演奏ならスキルレベルのおかげで自動演奏できるし……
「〜〜〜♪」「「「〜〜〜♪」」」
スウィーとフェアリーズはピアノへ腰掛けて音程を調整中。
白竜姫様がエメラルディアさんの手を取って、ピアノの側へと引っ張っていった。
「エメラも歌うの〜」
「ぅぅ……」
困り顔のエメラルディアさん、結構、歌がうまいのになあ。
それはそれとして、エルさんがしっかり気配を消して、妖精たちに場所をゆずってくれている。さすがだ。
「ショウ君」
「おっけ。じゃ、妖精の円舞曲で」
ミオンは当然というかマニュアル演奏で、俺の自動演奏に合わせてもらう形。
ちょっと情けないけど、ミオンの歌はやっぱり綺麗に聴いてほしいもんな。










